
名古屋に新しいチャンネルだ! の 第13回です
テレビ愛知と三重テレビが協力した報道現場での事例
さて前回、三重テレビからテレビ愛知への映像伝達は、電車によって行われているというお話をしましたが、今回は、画面で見ただけではわからない、テレビ愛知と三重テレビがタッグを組んで、お互いにニュースを伝えあったというケースを聞きましたのでご紹介します。
岐阜放送とのほうが仲がよさそうに見えるのは…
テレビ愛知と三重テレビは仲が良いのか悪いのか、これは長年の疑問でした。放送を見ている限りでは、テレビ愛知は岐阜放送とは仲が良さそうなのに、三重テレビとはあまり仲が良くないのではないか。同じ中日新聞資本のきょうだい会社なのに不思議だなぁと、私はずっとそう思っていました。
それは一見すると、協力体制が希薄なように感じていたからなのですが、前回の回線事情の話を聞き、希薄に感じるのはその事情のせいだということを知り、三重テレビとテレビ愛知の仲は、本当のところどうなのだろう、と思っていました。
報道現場でテレビ愛知と三重テレビが協力した事例
機会がありまして、テレビ愛知と三重テレビの仲について、営業部門はわかりませんが、少なくとも報道現場での仲の良さを裏付ける話を聞くことができましたので、それをご紹介していきたいと思います。
ある時、愛知県からもほど近い三重県の病院で数ヵ月にわたる大きな医療事故が発生しました。それが明らかになった際、名古屋のテレビ局も取材にかけつけました。全国ニュースに乗せるためです。津からよりも名古屋からのほうが近い場所のため、三重テレビの中継車が駆け付けた際には在名各局は既に到着しており、現場は報道陣であふれていました。
この時、テレビ愛知は取材クルーだけが到着しており中継車はいませんでした。しかし、そこから車で大須の本社に戻っていたのでは夕方のニュースには間に合いません。そこでテレビ愛知は三重テレビの中継車を借り、映像を大須の本社に送ったというのです。さらに、三重テレビの現場リポートも一度、大須のテレビ愛知の本社に送られたあと、NTTの回線を介して、三重テレビの本社へと送られたというのです。
理由は教えてくれませんでしたが…
なぜそんなことが行われたのか…。理由は聞くことができなかったのでここからは推測ですが、考えられるのは、こういった事情ではないでしょうか。
三重テレビの中継車は衛星を使うSNGではなく、地上波で中継するFPUです。SNGはどんなところからでも、パラボラアンテナを衛星に向けて中継ができますが、FPUは、中継車から三重テレビ本社や固定局へと電波を飛ばして中継する方式です。
ひょっとしたら現場から三重テレビの本社へは、直接電波が飛ばなかったのではないでしょうか。
FPUの中継には制約がある
通常、あらかじめ中継することが決まっている場合は、地図で電波の飛びを計測し、丘などの障害物によって電波が飛ばないときは、もう一台、間に中継車を配備して中継を中継します。
かつて大みそ日の「おめでとう三重」で、鳥羽市の神島から中継したときは、直接本社へ電波が飛ばなかったため、伊勢の朝熊山にもう一台中継車を配備して、2段で中継しました。そのため、朝熊山からの日の出も副産物として中継できたのです。
三重テレビが開局直後、はじめての松阪競輪を中継した際は、地図上では何も問題がなかったのに、丘陵地が邪魔で、前日になって電波が届かないことが発覚し、東海テレビにお願いして、中継車を出してもらった、ということが過去にはあったようですが、通常の場合は、大抵地図どおりに電波は飛ぶものだそうです。
しかし、こういった急な事故の発生は、あらかじめ用意ができるものではありません。ひょっとしたらそういった事情から、助け合いということで、三重テレビの中継車とテレビ愛知本社が結ばれたのかもしれません。
そもそも三重テレビからテレビ愛知には…
それと、もうひとつ考えられる理由としては、前述のとおり、三重テレビ本社からテレビ愛知へは映像を送れないため、三重テレビ本社に映像を送るのではなく、まずは直接テレビ愛知に映像を送り、一度テレビ愛知に向けたセッティングを、もういちど三重テレビ本社に向けてセッティングし直すのも面倒なので、そのままテレビ愛知経由で、映像を送っただけかもしれません。
逆のパターンも
もうひとつの事例です。三重県で小学生の女の子が連れ去られ、翌日名古屋市で保護され、その場で犯人が捕まったという事件が発生した際には、先程の病院の場合とは逆で、三重テレビはクルーのみが到着し、テレビ愛知は中継車で現場に来ていました。
そこで今度は、三重テレビがテレビ愛知の中継車を借り、一度テレビ愛知を通じて、三重テレビのクルーが撮影した映像は、三重テレビ本社に届いたそうです。
そうじゃない噂話もあるけれど
テレビ愛知と三重テレビの関係についてはネット上にも様々なうわさ話があります。三重テレビは営業面でテレビ愛知の三重支社の存在を嫌がっているだとか、テレビ愛知は広域化したいがために三重テレビを嫌っているといった話です。
しかし現場では力をあわせて、お互いの報道を補い合っているんだ。素晴らしいチームプレイではないか。と思わず目頭が熱くなってしまいました。
三重県に関係する大きな事件が発生したとき、「三重テレビニュース」で伝えられる映像は、ひょっとしたらテレビ愛知の中継車や、テレビ愛知のマスターを経由して伝えられたものかもしれません。
三重テレビのニュースの幅が広がりつつある
最近、三重テレビではニュース映像に幅が出るようになりました。以前は、かなり大きな事件、事故でも起きない限り、全国ニュースの映像が、三重テレビに登場することはありませんでした。
しかし、ここ最近は、2003(H15)年8月に発生した多度町の「三重県ごみ固形燃料(RDF)焼却発電所」火災事故でも、東海テレビのヘリ空撮映像が登場したり、国会の解散映像や、十勝沖地震の自衛隊撮影映像など、今まではあまり登場しなかった映像が、三重テレビの画面に登場するようになったのです。
ひょっとしたら方針が変わったのかもしれませんね。今までは、TXNのニュースもネットせず、全くと言っていいほど、県外のニュースはやらなかった三重テレビ。
ネット上には噂話がよくありますが…

テレビ局の仲が良い・悪いというのは一概に言えるものではないということですね



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