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ナフコチェーンの店舗はなぜ急激に減っているのか…ボランタリーチェーンとは

記事公開日:2006年8月2日 更新日:

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「フレッシュフーズのナフコチェ~ン。」

 ある年齢以上の名古屋っ子でしたら、このフレーズをテレビCMで何度も耳にされたことがあるでしょう。かつてナフコチェーンといえば名古屋を代表するスーパーで、その店舗はかなりの数を誇っていました。

 しかしここ数年で、店舗が一気に減少した印象を受けていたところに、一つ大きな出来事が起きました。2006(H18)年6月末をもって、ナフコのうち20店舗がナフコの看板を下ろし、「マックスバリュ」に看板を架け替えました。しかし不思議なのは、それ以外の店舗は今もナフコという看板を掲げているということです。

ナフコとはどういうスーパーなのか

 ナフコとは一体どんなスーパーなのでしょうか。マックスバリュといえばイオングループです。なぜナフコのうち一部がイオングループ傘下になったのか。昔たくさんあったナフコの店舗はどうなっているのか。今回は名古屋のスーパー「ナフコチェーン」について歴史を紐解いてみます。

ナフコはボランタリーチェーン

 ナフコは「ナフコチェーン」を名乗っています。チェーンには二種類あり、ひとつの会社が多店舗化を図る「チェーンストア」と、複数の企業により共同事業として行われるものがあります。そして共同事業には「フランチャイズチェーン」と「ボランタリーチェーン」があります。ナフコは後者のボランタリーチェーンです。

 フランチャイズチェーンには本部となる企業があり、いくつかの企業がそこに加盟する形で形成されますが、それに対してボランタリーチェーンはいくつかの企業が自発的に組織を結成しているものです。

 ボランタリーチェーンであるナフコは、いくつかのスーパーが寄り集まって出来上がったグループのようなものです。

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 ナフコのなかで最大の店舗数を誇っていたのが蟹江商店、のちの株式会社ナフコカニエです。続いて株式会社ナフコはせ川、株式会社不二屋、株式会社うおときフード、株式会社トミダ、株式会社ヤオトヨなど、中にはたった1店舗しか無い会社も含めて、いくつもの会社が集まってナフコチェーンを形成していました。

 共同で仕入れを行ったり、共同でテレビCMを打つなどしてスケールメリットを出そうとしたのです。なぜ過去形で書いたのかといいますと、この中に今はそうではない会社があるからです。

最大のナフコカニエが脱退を発表

 ナフコが大きな転換点を迎えたのが、2001(H13)年です。ナフコのなかで最大規模の会社だった株式会社ナフコカニエが、ナフコの脱退を発表したのです。

 ナフコカニエはそれまでの「とにかく値段だけは安い」というナフコのイメージを払拭し、「FEEL(フィール)」という新しい名前で再出発を果たします。ナフコ当時からある店舗には「FRESH FOODS」の文字など面影も見られます。FEELはナフコ時代のキャッチフレーズである「フレッシュフーズ」をそのまま現在も使用しています。しかし新店舗のFEELには、ナフコの頃のイメージは感じられません。

 FEELは単独でテレビCMなどを打ち、存在感をアピールしました。

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二番手のナフコはせ川はマックスバリュ…いやフレックスに

 残されたナフコチェーンも黙ってはいませんでした。それまで2番手だったナフコはせ川を筆頭に、負けじとテレビCMを流すなどしましたが、2006(H18)年4月、ナフコにとって衝撃的なニュースが報じられました。三重県松阪市に本社を置く「マックスバリュ中部」が、5月1日付けでナフコはせ川を買収することが決定したのです。しかもその買収価格はたったの1円でした。

 マックスバリュという名を聞きますと、イオンがナフコはせ川を傘下におさめた印象を受けますが少し違います。マックスバリュ中部は生粋のイオンではなく、名古屋証券取引所2部上場まで果たした三重県のスーパー「フレックス」を中心とした会社の後継会社なのです。

 つまりこれは、三重県地場のスーパーによる名古屋進出と言えるのです。三重県、しかも南勢地域に本社があるにもかかわらず「中部」という社名を名乗っていることから、以前から名古屋支配を狙っていたことが伺えます。

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買収価格は1円

 名古屋市内には古くからナフコをはじめ中小様々なスーパーが入り乱れていましたが、ここ数年で岐阜県のスーパー「バロー」が急激に出店を果たしました。そして今回は、出店という形ではなく買収という形で、三重県のスーパーが名古屋に一気に進出を果たした格好になるのです。土地を取得してひとつひとつ出店をするよりもはるかに効率が良い方法です。

 しかも買収価格はたったの1円です。なぜ1円だったのか。それはナフコはせ川が事実上債務超過に陥っていたからです。ナフコはせ川はマックスバリュ中部の100%子会社となり、マックスバリュ名古屋に社名変更しました。

 残されたナフコチェーン6社はこれからどうなるのか。マックスバリュに看板を架け替えたナフコはせ川はどういう方向に向かうのか。そして、ヤマナカ、ヨシヅヤ、カネスエ、アオキスーパー、清水屋といった名古屋地場のスーパーは生き残っていけるのか。今後も注目していきたいと思います。

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 6月末、まもなく「ナフコ」という看板を下ろす状態だったあるナフコはせ川の店舗では、ナフコという名との別れを惜しむかのように、それまで普段は全く耳にしなかった「さかなちゃ~ん、さかなちゃん」というフレッシュフーズのナフコチェーンの歌が繰り返し繰り返し流されていました...。

 残ったナフコも必死です。新たに録り直したと思われる、フレッシュフーズのナフコチェーンというテレビCMを流し、ナフコが健在であることをアピールしています。

追記

2007(H19)7月、マックスバリュ名古屋はマックスバリュ中部に吸収されました。
2009(H21)11月、写真のナフコはせ川引山店は、マックスバリュ名古屋引山店を経て、再びナフコブランドのナフコニワキン名東引山店となりました。
2010(H22)5月、うおときフードは自己破産申請へ。
2013(H25)5月、マックスバリュ中部の本社が松阪市から名古屋市に移転。
2014(H26)2月、ナフコニワキン改めラクエツが事業を停止。自己破産申請へ。
2014(H26)11月、ナフコニワキン名東引山店跡地はスギドラッグ引山店に
2019(R元)9月、マックスバリュ中部(旧フレックスアコレ)がマックスバリュ東海(旧ヤオハン)に吸収合併

関連情報

マックスバリュ中部
マックスバリュ名古屋
ナフコ不二屋
うおときフード
ナフコトミダ


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