開局いきなりの高視聴率・1000万円のクイズ企画に驚き

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太っ腹なイメージとキー局の不足を補う意識

さて、譲ってもらったテレビを持ち帰り、我が家でもテレビ愛知が見られるようになりました。今、当時の資料を見ても、自社制作番組が多く意気込みが感じられます。

女性キャスターによる30分のローカルニュース

まず、月曜から金曜の平日ですが、前述の通り、名古屋テレビがようやくワイドニュース「名古屋テレビニュース600」をスタートし、在名各局が出揃ったばかりだった当時、テレビ愛知は開局のその日から、「TVAホットレポート」(月~金17:00-30)という30分のニュースをスタートさせました。

ホットレポートは、キャスターに三児の母である金山裕子さんを起用しました。在名局で女性キャスターがメインで伝えるニュース番組は初めてであり注目されました。

内容は一般ニュースの他、「お台所フレッシュ情報」「レッツ・ジョイ・サークル」など、主婦向けの情報を強化し、レポーター6人も全て女性で統一しました。当時のコンセプトは「主婦向け生活情報番組」。ニュース色よりも、企画色が強かったようです。

この番組は、リモコンカメラが活躍する、第2スタジオから放送されました。セットは
「TVA」と書かれたクロマキー用の壁の前に、机を置いただけのものでした。

▲TVAホットレポートのオープニング。懐かしい。(出典:テレビ愛知15年史)

お昼前には大きなスタジオから帯の情報番組

しかし、自社番組はそれだけにはとどまらず、同様に帯で「TVカルチャー奥様DO!」(月~金11:30-54)が、広さ396㎡、140基の照明、最新鋭を誇る機器に囲まれた第1スタジオから放送されました。

月曜「暮らしの演出」、火曜「住まいの緑化作戦」、水曜「日本料理コツのコツ」、木曜「素敵にコミュニケーション」、金曜「エアロビクス&ニュートリション」と、それぞれテーマを分け、西川右近西川流家元らがパーソナリティを務めました。

ローカルで帯の情報番組は当時、東海テレビが「奥さま情報あなたの2時」を放送していましたが、午前の主婦向けローカル番組としては唯一の存在でした。

社員アナウンサーはゼロ

開局当時、テレビ愛知に社員アナウンサーはおらず、契約アナウンサーとして採用されたのは、金山さんをはじめ全て女性。男性アナウンサーは一人もいませんでした。

番組内容も、画面に登場する人員も、なぜそれほどまでに女性にこだわったのでしょうか。それには訳がありました。

テレ東が子ども・男性路線だから足りないものをローカルで補う

編成制作担当常務は当時、番組編成について「テレビ東京からのネットものが、子ども・男性路線中心なので、ローカル編成は女性、とくに主婦層にターゲットを絞る」と語っておられます。

東京からの番組が偏っているから、足りないものはローカルで補う。すごい精神ですね。開局当初からそこまで考えるテレビ局って少ないですよね…たぶん。

全体の1割・充実のローカル番組ラインナップ

他にも「みのもんたの時間ですよー」(土曜14:00-15:24)が公開生放送で編成され、第1回は、森光子さん、西城秀樹さん、五木ひろしさん、愛川欽也さん、江川卓さんなど、みのもんたさんの友人25人がゲスト出演し、豪華な番組となりました。

さらには、地元で活躍する経済人に見城美枝子さんが聞く「東海の群像」(火曜23:15~45)、ロサンゼルスから放送する新しいタイプの音楽情報番組「サウンドクラッシュ」(金曜23:00)、「Myドラゴンズ」「あなたと愛知」などが制作され、開局時の自社制作率は9.8%に及びました。

しかし、10月以降売上が厳しくなると、経費削減、自社制作削減の話がチラつくようになり、意気込みは消沈してしまいます…。

みのもんたさん司会の1000万円クイズ

さて、私が最初にテレビ愛知に抱いた印象は、「なんて太っ腹なんだこのテレビ局は」です。開局から1ヶ月間、テレビ愛知は開局を記念して、「テレビ愛知開局記念・1000万円クイズ」を実施しました。

朝、昼、晩と1日3回放送され、それぞれ簡単な3択クイズが出題されました。全部を見る必要は無く、放送日と放送時間とその時の答え、そして希望賞品をハガキに書いて応募すれば、合計290名に総額1000万円の賞品があたるというもの。協賛各社から様々な賞品がプレゼントされました。

▲1000万円クイズの新聞広告。アイシン精機がトヨタベッド?(出典:中日新聞)

このクイズは、みのもんたさんが司会を務めており、1日3回も登場するものですから、今考えればまとめ収録だったのでしょうけど、「やっぱりこの人はずっと朝から晩まで、テレビ愛知にいるのかー。」と思ったものです。

それと同時に、それまで聞いたことの無い「1000万円」という高額賞品。もちろん総額ですから、それほど大したことは無いのでしょうけど、当時は、「テレビ愛知は何て太っ腹なんだ。」と思ったものです。

このクイズで使用されていた、COSMOSの「トロピカルクルーズ」(既に廃盤)という曲を聞くと、当時を思い出します。1日3回の1000万円クイズに加え、そのお知らせを加えたら、1日何回流れていたかわかりません。私にとってこの曲は、今聞いても、テレビ愛知そのものです。それくらいしつこく流れていたのです。

今思うと、スポットCMもそれ程売れていなかったからこそ、何度も流れていたのでしょうね…。太っ腹ではあったものの、決して余裕があった訳ではなかった、無理してやっていたと言うのを、今になって感じます。

代理店も驚く高視聴率

さて、テレビ愛知はテレビ大阪と違い、各家庭がアンテナを新たに設置する必要が無かったため、開局の日から、ビデオリサーチ社による視聴率調査が開始されました。開局日の9月1日はGH帯9.1%、9月の1ヶ月平均でもGH帯5.7%、全日2.1%と、新局として存在感ある数字を記録しました。当初からそれを見込んでいたからか、当時のCM料金は、テレビ大阪よりもテレビ愛知のほうが高く設定してあったそうです。

当時、学校で最初に話題になった、テレビ愛知の番組といえば、「キャプテン翼」です。これを見たいが為に、親にチャンネル設定をしてもらったという同級生も結構いました。何より、テレビ欄の中央に大きく存在しているわけですから、テレビ愛知の浸透は早かったようです。キャプテン翼は、開局2ヶ月後の11月17日には15.1%を記録しました。

また、その一週間前11月11日には「日本歌謡大賞本戦」が16.3%を獲得。在名他局や広告会社は、予想していたよりも、大幅に上回るその数字を、驚異に感じたそうです。

「あくまでも県域放送局の立場を守る」

開局にあたって、当時の黒川社長は「これで、テレビ東京を中心に、東京、名古屋、大阪のメガトンネットワークが完成したわけだ。私たちはあくまで県域放送局の立場を守り、名古屋市や愛知県の文化を作り出す手助けをしていきたい、新時代のテレビ局という立場で、ニューメーメディア関係も念頭において足元を固める」と決意を話しておられました。

県域放送局の立場を守る-。これは三重テレビや岐阜放送へ配慮した言葉とも受け取れますが、それだけではなく、テレビ愛知はテレビ大阪と違い、広告効果的にも、経費的にも県域で満足しており、無理に広域化を進めるつもりは無いという方針の表れと言えるでしょう。

テレビ愛知開局までの経緯の紹介は、今回で一旦締めさせていただきたいと思います。次回からは、開局後のテレビ愛知と、三重テレビ、岐阜放送の関係や、日本経済新聞社、中日新聞社との関わり合い、少人数で頑張る報道体制などを見ていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

みのもんたさんと1000万円。

me-ko
me-ko

今ではミリオネアにサムズアップ…。
テレビ愛知は20年も前にこの2つを結びつけていた。先見の明とはこういうことを言うのか。

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