台湾オリジナル「名古屋カレー」を食べに…名古屋人が台湾に行ってきた

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  • 名古屋の台湾ラーメンは台湾では名古屋ラーメン
  • 名古屋には存在しない台湾の「名古屋カレー」とは
  • 台湾と名古屋の不思議な関係は相互関係に

いわゆる「名古屋めし」のひとつで、醤油ベースのラーメンに、唐辛子とともに炒めた豚挽き肉、ニラ、モヤシなどをのせた辛いことでおなじみの「台湾ラーメン」。

台湾ラーメンと名古屋カレー

かつては、台湾から名古屋に持ち込まれたラーメンと誤解されることもありましたが、名古屋で台湾料理店を営む台湾出身の店主が生み出した、名古屋オリジナルの料理であることが、今では広く知られるようになりました。

そんな「台湾ラーメン」が台湾に逆輸入され、「名古屋ラーメン」という名で提供されていることは知っていましたが、それとは別に「名古屋カレー」なるものがあると知り、台湾へと飛びました。

名古屋には「台湾ラーメン」のほかにも「台湾ナポリタン」「台湾まぜそば」「台湾おろしきしめん」そして「台湾カレー」と、辛い挽き肉とニラとモヤシをのせれば何でも「台湾」になる風潮があります。

台湾ラーメンが名古屋ラーメンとして逆輸入されたのと同じように、その「台湾カレー」が「名古屋カレー」になったのかというと違うようで、どうも、台湾オリジナルの「名古屋カレー」だというのです。これは楽しみです。

まずは名古屋ラーメンを食べてみる

中部国際空港(セントレア)を飛び立って3時間ほど、台湾の桃園国際空港に到着です。ここで、先に台湾に入っていた、今回の台湾取材に同行していただいた取材コーディネーターさんと合流。さっそく空港内にあるフードコートへと向かいます。タピオカミルクティーや小龍包、台湾の鶏唐揚店などが並ぶなかにあるのが「熱烈一番拉麵」です。

メニュー表は日本語で書かれており、「一番人気!とんこつラーメン」「超人気!すっきり醤油ラーメン」「ゴマパワー!熱烈タンタン麺」「本仕込み!みそ叉焼ラーメン」と並んで、ありました「やみつき刺激的辛さ!名古屋ラーメン」です。

さっそく注文してみます。ベルを渡され、出来上がりを待ちます。日本のフードコートとまったく同じスタイルですね。さあいよいよです。台湾で食べる「名古屋ラーメン」という名の台湾ラーメンと向き合います。

見た目はまさしく「台湾ラーメン」と言いたいところですが、若干、色が薄い印象を受けます。そして食べてみますと、名古屋の台湾ラーメンよりも辛さが抑えてある印象です。名古屋で言うところの「台湾ラーメン・アメリカン」といったところでしょうか。

以前、名古屋に旅行をしたことがある台湾の方に台湾ラーメンの印象を伺ったところ「辛すぎて全部は食べられませんでした」と言われたことがあり、台湾の人に台湾ラーメンは辛すぎるのかもしれません。ローカライズされているんですねきっと。

ちなみにこのお店には他にも「うまいねん大阪!大阪そば飯」「みそかつセット」もあり、日本のラーメンハウスが台湾にやってきたというイメージになっており、その「名古屋ラーメン」が名古屋では台湾ラーメンとして提供されているなどといった紹介はありません。

この「熱烈一番拉麵」ですが、日本では「熱烈一番亭」という名前で三重県伊勢市に本社を置く株式会社ダイムが展開しており、日本から台湾進出を果たした格好になっています。

初体験の名古屋カレーへ

桃園国際空港から、2017年3月に正式開業した桃園MRTで台北駅へ。直通車でわずか35分にて到着です。ここで、今回の取材で言葉の面や文化の面で、お世話になる台湾のフォロワーさんとも合流。この台北駅の2階には、テーマごとのフードコートがいくつもある、フードコート街があります。夜市をテーマにした「台湾夜市」ゾーン、外国の料理が楽しめる「美食共和國」、そしてカレーがテーマの「咖哩皇宮(カレーパレス)」です。

咖哩皇宮には、本格的なインドカレーを出すお店と、日本式のカレーを出すお店があり、その日本式カレーを出している3店舗のうちのひとつが「日本名古屋カレーMONI咖哩」です。お店自体に「名古屋カレー」と銘打たれていますが、名古屋カレーという名のメニューがあるわけではありませんでした。

そこで、代表メニューとしてディスプレイに鎮座していた「炸蝦咖哩飯」を注文しました。「エビフライカレーライス」。本来、エビフライは名古屋名物ではないのですが、イメージとしてはいかにも名古屋なカレーです。

驚きの名古屋らしさ

出来上がりを見てびっくり。何が驚いたのかと言いますと、名古屋には無い「名古屋カレー」にもかかわらず、どう見ても名古屋なのです。

まず、のせられているのがアツアツの鉄板。名古屋は各家庭に鉄板があるくらいに鉄板文化の街です。喫茶店でスパゲティを注文しても、鉄板で提供されるのが基本です。鉄板の上に卵を敷き、その上にナポリタンをのせた「イタリアンスパ」という名物料理があるほどです。

鉄板のうえには、卵が。敷いたものではなく目玉焼きですが、黄身はちゃんと半熟。そしてライスと、立派なエビフライが3本。さらにスープもついています。カレールーは別添え。カレーをかけると鉄板から溢れんばかりの状態になり、ジュージューと音を立てます。

何だろうこの、名古屋には無いはずなのに、いかにも名古屋らしい感じは。

名古屋はカレーの街?

調べてみますと、どうやら、このお店の方がかつて名古屋に住んでいた際、ホームシックにかかってしまったのですが、それを救ってくれたのが名古屋のカレーの味だったそうで、それを台湾で展開したいと始めたとのこと。さすが、名古屋に住まわれていただけあって、名古屋らしさがしっかり再現されています。

ちなみに、名古屋には、かつて「ハヤシもあるでよー」のキャッチフレーズで全国区となった「オリエンタルカレー」の本社があり、名古屋近郊の清須市には「カレーハウスCoCo壱番屋」の一号店があり、さらに、名古屋には「若鯱家」を筆頭に独自のカレーうどん文化もあり、実は、外から見ると名古屋はカレーの街なのかもしれません。

もちろん、「日本名古屋カレーMONI咖哩」も「ハヤシもあるでよー」と言わんばかりにハヤシライスがあるだけでなく、なんと、名古屋式のカレーうどんまでラインナップされています。

名古屋よりも名古屋らしい、台湾の「名古屋カレー」。名古屋に、実際には台湾には無い「台湾」の名がつく料理が溢れていることへの逆襲が始まったのかもしれません。台北で名古屋には無い名古屋を感じてください。

その一方で、このフードコート街には、昨年5月19日に名古屋コーチンの親子丼や手羽先唐揚げなどを提供する「鶏三和」が名古屋から進出。こちらは、実際に名古屋にあるお店の台湾店舗です。名古屋と台湾の不思議な関係はさらに深くなっていきそうです。

記事作成協力

Topaz/KENrokuEn さん(取材同行・イラスト)
翼狐レナード さん(取材同行)

関連情報

取材日・確認日

2018年5月および2019年7月

この記事を書いた人
TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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