
名古屋に新しいチャンネルだ! の 第12回です
テレビ愛知は三重や岐阜のニュースをどう伝えるか
今回からは、テレビ愛知の報道について見ていくことにします。まずは、テレビ愛知と近隣U局の協力体制についてです。
TXNではない放送局からの協力映像
全国ネットのニュースを見ていると、関東以外で事件、事故など大きなニュースが発生すると、系列局からの映像となり、それを示すテロップが出ることがあります。「NNN南海放送」だとか、「ANN名古屋テレビ・メ~テレ」などです。
大抵の場合「NNN」や「ANN」といったニュースネットワークの名称とともに、その映像を撮影したテレビ局名が表示されます。TXN・テレビ東京系列の場合も「TXNテレビ愛知」「TXNテレビせとうち」など、同じなのですが、TXNに限って、それ以外の局から映像を受ける場合があります。
独立U局からのニュース素材
TXNのニュースを見ていると、「協力・岐阜放送」「協力・三重テレビ」「協力・びわ湖放送」と言った映像が登場することがあります。
これはテレビ東京と協力関係にある独立U局であります、岐阜放送、三重テレビ、びわ湖放送、KBS京都、奈良テレビ、テレビ和歌山に限って起こる現象で、協力体制の無い絶縁状態のサンテレビがある神戸で事故が発生しても、その映像は「TXNテレビ大阪」となります。
また、協力U局も無く、TXN系列局も無い地域は、系列6局でそれぞれ分担しているようで、金沢の映像がテレビ愛知だったり、高知の映像がテレビ大阪だったりすることもあります。
TXNのニュースに生中継も入れる岐阜放送
もちろんテレビ愛知も、岐阜放送、三重テレビと協力体制をとっており、岐阜や三重の事件・事故等については、これらの局の映像を使用することがあります。ところが、岐阜放送と三重テレビ、環境は似ているのですが、協力体制が全然違います。
中日新聞対岐阜新聞と、資本新聞社同士が犬猿の仲であり、さらには、岐阜放送がメ~テレ(名古屋テレビ)と協力協定を結ぶなど、岐阜放送とテレビ愛知は、つながりが希薄なのではないか想像してしまうのですが、実際はその逆です。
岐阜放送は、TXNのニュースを数多くネットしており、また、岐阜からはテレビ愛知、テレビ東京に対し事件・事故の映像提供だけでなく、台風中継や、季節の生中継を行うという積極的な協力体制をとっています。
協力体制が薄く感じる三重テレビ
しかしそれに対し、本来、中日資本同士できょうだい会社の三重テレビは、TXNのニュースを一切放送せず、「総理が伊勢神宮を参拝」など、三重県からの生中継は、三重テレビではなく、テレビ愛知が行うという状態で、協力体制が消極的な感じを受けます。この違いは何なのでしょう。
実は三重からは映像を伝送できないという事情があった
答えは、映像のやりとりの方法にありました。(※2003年当時の話です)
まず、テレビの映像というのは、発信する局と受ける局で、どのようにやりとりされ
ているのでしょうか。通常、キー局から地方局へは、NTTコミュニケーションズが運営する中継回線によって番組が送られます。
TXNで例えると、映像はテレビ東京からNTTの東京基地局に送られ、NTTの回線で名古屋まで来て、名古屋の端局から、テレビ愛知へと送られます。これを下り回線と言います。
逆に、ニュース素材などを、テレビ愛知からテレビ東京へ送る際は、今の逆のルートをたどります。これを上り回線といいます。このようにして、映像のやりとりをしているわけです。主に番組を送る契約回線と、素材回線とがあります。
NTTの中継回線に左右される
各系列は時間をやりくりして、番組を送ったり、映像を送ったりします。東京、名古屋間などは、数多くの回線があり、あまり問題無いのですが、民放テレビ局が1つしかない、岐阜や津となると、状況は一変します。
岐阜放送や三重テレビにも、この回線で東京などから番組がやってきます。テレビ愛知と違うのは、名古屋のNTT基地局からさらに、それぞれ岐阜、津のNTT端局へ送られ、そこから岐阜放送、三重テレビへと送られるということです。
岐阜は下り回線が複数&上り回線もある
ただ、その回線数には限りがあります。岐阜放送の場合は、名古屋からの「下り」が2回線、名古屋への「上り」が1回線あるため、テレビ東京からの番組を受けながら、もう1回線で、テレビ愛知からの中部圏知事会議の映像を受けながら、なおかつ、岐阜からの生中継をテレビ東京に送る、といったことができるのですが、問題は三重テレビです。
三重には下り回線1本しかない 上り回線は無い
名古屋から津への回線は、「下り」1回線のみなのです。つまり三重テレビはテレビ東京から番組を受けていたら、他に何もすることができないのです。それ以前に、三重テレビから他の放送局へ、映像を送るということは不可能なのです。
例えば、三重県知事の参加した中部圏知事会議が名古屋で行われ、会議が長引き、会議の映像が夜7時過ぎにテレビ愛知に到着したとします。
その映像を、「夜9:55の三重テレビニュースで使いたいから送ってください。」と三重テレビがテレビ愛知に依頼したとします。しかし、これが不可能な場合が多いのです。
三重テレビが、テレビ東京からの番組を受けている時間は、回線が埋まってしまうため、テレビ愛知から三重テレビに映像を送ることができないのです。
同時ネットが減少している三重テレビ
そのためか理由はわかりませんが、近年、三重テレビはテレビ東京との同時ネットを減らしているようです。以前は同時ネットだった「ポチたま」や「いい旅夢気分」なども、時差ネットとしています。
そのため、同時ネットを録画した場合にどうしても入ってしまう、テレビ東京の提供クレジットが入っておらず、また、NTTの回線に見られる高音カットもないことから、後日NTT回線で送ってもらうのではなくテレビ東京からテープを送ってもらうという、テープネットになっているようです。もちろん、そのほうが安いという面もあるのでしょうけど。
ウラ送りが存在しない
下りが1回線ということは、例えば三重テレビが、サンテレビのナイターをネットしている日に、中止になったテレビ東京の番組は、その日、三重テレビには届いていないということです。これについては、後日テレビ東京から、NTT回線で送られてくるか、テープが送られてくるそうです。
また、MBSの高校ラグビー決勝(生中継)と、日本テレビの高校サッカー準決勝(三重テレビでは録画で時差放送)との受け時間が重なったとき、NTT回線は生放送のラグビーを受けていたため、録画で放送する予定だった高校サッカーは、生中継を流していた中京テレビの放送を録画して、後でそれを放送したそうです。三重テレビに、NTT回線のウラ録りはあり得ないのです。
三重テレビからテレビ愛知に映像を送る時はどうする?
では、三重テレビの映像を、テレビ愛知、テレビ東京が必要としたときはどのように送られているのでしょうか。答えは実に簡単でした。テープを送るのです。
しかし、その日の事故の映像を、郵便や宅配便に乗せていたのでは遅すぎます。正解は…。
なんとテレビ愛知が三重テレビに対し、「ダビングしたテープを、○時○分名古屋着の近鉄電車に乗せてください。」と依頼するのです。そして、テレビ愛知は名古屋駅へと、テープの受け取りに向かうのです。なんと原始的な方法なんでしょう。
ということは、つまり

近鉄線とJR関西線が不通になったときの津駅の映像は、
絶対にテレビ愛知に届かない
同様のケースに奈良、和歌山、があり、カレー毒物混入事件の際、録画部分は「協力:テレビ和歌山」、中継部分は「TXNテレビ大阪」となっていたのも、同じ理由からのようです。



コメント