制約があるなかで奮闘しているローカルニュース

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ローカルニュースは1日2回

さて、開局直後からローカルニュースに力を入れているテレビ愛知なのですが、それでも、現在放送されているローカルニュースは1日に2回です。これは開局当時から変わっていません。

平日は夕方のワイドニュース、現在は「ニュースアイ」(月~金17:25~55、30分)と、スポットニュース「テレビ愛知ニュースフラッシュ」(月木金20:54~21:00、火21:54~22:00、水19:54~20:00、6分)のみという状況で、さらに土日は「TXNニュース(ローカル)」(17:25~17:30、5分)のみとなっています。

事件や事故の発生時刻が鮮度に影響する

つまり、他の在名局と違い、朝、昼、深夜にはローカルニュースが無いのです。ここで問題になるのが、事件や事故の発生時刻です。

単純に考えても、「ニュースフラッシュ」が終わった後に発生した事件や事故については、撮影しても放送されるのが、次の日の夕方になってしまいます。もちろん撮影してすぐに、VTRを局へ運べるわけではありませんから、実際はさらに制約があります。

企画モノや検証が中心

そもそも、テレビ愛知の取材体制はどのようになっているのでしょうか。テレビ愛知のニュースを見ていると、唯一の愛知県域局として、地域密着を売りにしたいという気合いは伝わってきます。ただ、あらかじめ用意された企画モノや、特集、検証が多く、突発的な事件への対応は、幾分弱い印象があります。

すべて名古屋からの取材

と言うのも無理は無く、テレビ愛知の報道記者・カメラマンは名古屋にしかいません。この時点で、名古屋から遠い三河エリアへの対応が違ってくるのです。

他の在名局は全て、豊橋市に支局を置いていて、記者やカメラマンを常駐させています。従って、三河で事件があった場合は、豊橋からクルーが撮影に向かい、その映像を、豊橋の支局から電波によって名古屋の報道部に送るわけです。

しかし、テレビ愛知に関しては、岡崎市に三河支社を設置しているものの、ここには営業部員しかおらず、記者もカメラもありません。例え三河の山奥で事件が発生しても、名古屋から飛んでいかなくてはなりません。

タイミング良く速報が入れられるかどうか

そこで、問題になるのが発生時刻なのです。テレビ愛知の「ニュースアイ」は午後5時25分からの放送です。

例えば東三河で、午後4時に事件が発生したとします。名古屋からその時間に取材に行ったところで、中継車を出さない限り、映像を撮影して、名古屋・大須の本社まで戻ってくるのは不可能なのです。この場合、他局が夕方のニュースで大きく扱うなか、たとえ撮影に向かっていても、テレビ愛知は口頭で伝えるのみとなってしまうのです。

テープを抱えたアルバイトスタッフが新幹線に乗って

また、微妙なのが午後3時頃の事件発生時です。こういった場合は、カメラマンとアルバイトが現場に向かい、撮影したテープをアルバイトが抱え、タクシーに乗り豊橋駅へ、そして新幹線「こだま」で名古屋駅まで向かい、さらにそこからタクシーでテレビ愛知へ滑りこむという、綱渡りをしなければならないのです。

夕方のニュースで伝えられる、豊橋のニュース。電波で豊橋からサッと映像を送る他の局と、人力でテープを運ぶテレビ愛知では、撮影の苦労が違うわけです。テレビ愛知で、三河の事件が映像付きで伝えられた時は、「今日も頑張ってるなぁ。」と感じずにはいられません。

ニュースフラッシュに間に合わないと…

さて、そうして夕方以降に発生した事件を、せっかく撮影しても、夜の「ニュースフラッシュ」に間に合わなければ、全国ネットのニュースに乗らない限り、放送されるのは次の日夕方の「ニュースアイ」となってしまいます。

その頃にはもう、他局では扱われなくなっていたりして、映像に鮮度は無くなってしまっているわけです。たとえ当日の「ニュースフラッシュ」に間に合っても、正味1分半のニュースに使われただけでは、カメラマンの苦労は報われない気もします。

ヘリコプターはその都度借りているので…

他の在名局との違いは、三河の報道拠点についてだけではありません。テレビ愛知には、ヘリコプターが無いのです。他の局は、名古屋空港に各局ヘリを配備しています。

海上での船舶事故や、爆発事故、洪水などの災害時に、ヘリからの映像は不可欠です。こういったとき、他局はすかさずヘリを出動するのですが、テレビ愛知はそうは行きません。

ヘリをチャーターしなければならないのです。従って、予算の都合からヘリを出せない場合もあり、そういったとき他局が空撮映像を流すなか、テレビ愛知は船が沈没した場所を、遠く海岸から撮影したり、地図のCGでカバーすることが多いのです。

撮影用のヘリは底にカメラが付いているのだけど

さらにこの違いが、映像にも差をつけてしまうのです。テレビ愛知がチャーターするヘリは、中日本航空の普通のヘリです。それにカメラマンが乗って、窓からカメラを出して撮影するわけですから、どうしても手ブレしやすく、目標物にしっかり寄れないのです。

ところが、他局は撮影専用のヘリで、ヘリ機体の底部にカメラが固定されていて、それを中からリモコンで操作するのです。ですから、当然真下の映像も撮影でき、ぶれることもなく、目標物をしっかり撮影できるので、映像の迫力が違ってくるのです。

2003(平成15)年9月3日、午後7時14分、愛知県東海市の新日本製鉄名古屋製鉄所内で、ガスタンクが爆発する事故が発生しました。タンクの爆発ということで、テレビ愛知もヘリを出動し、午後10時頃現場の様子を空撮しました。

この事故は、全国ネットでも扱われたため、翌日夕方のローカルニュースで使われる以前に、その映像は使用されました。一夜明けて、他局は翌朝もヘリを飛ばし、その後の状況を空撮しました。

しかし、翌日のテレビ愛知「ニュースアイ」では、空撮映像は事故当日のもののみで、翌日の映像は、地上から撮影だけでした。ヘリ映像ひとつ取っても、他局と重みが違うのです。

ヘリからテープを名城公園に投下する!?

ちなみに余談ですが、ヘリで映像を撮影し、ヘリは名古屋空港へ帰るのですが、映像はいち早く報道部へ届けたい場合、どうするかと言うと、撮影したテープを、発砲スチロール製の保護袋に入れて、場所を決めて落下させるそうなのです。

場所は大抵、名城公園などが使われるそうです。名城公園を通りがかって、中日本航空のヘリから、発泡スチロールの箱が落とされているのを発見したときは、テレビ愛知がヘリを出した証拠ですから、かなり大きな事件、事故が発生したと知ることができます。

ローカルニュースに力を入れ続けるテレビ愛知

TXN(テレビ東京)系列のなかで、唯一、開局以来30分のローカルニュースを守り続けているテレビ愛知。当初はテレビ愛知もそうであったのですが、他の系列局は、生活情報、企画モノが多いなか、テレビ愛知はストレートな報道に力を入れています。

しかも在名他局よりも環境が悪いにもかかわらず、その姿勢には、頭が下がるばかりです。普通なら「ウチはよそと違んだから…。」という雰囲気になりそうなものですが、テレビ愛知の「ニュースアイ」からは、そういった印象を受けることはありません。

ところで

me-ko
me-ko

テレビ愛知のニュースに出てくる日本経済新聞や中日新聞の協力って何を協力しているの?

そう思われる方がいらっしゃるかもしれません。確かに、テレビ愛知のニュースには協力として、それら新聞社の名前が出ます。しかし、実態は違うのです。協力の意味とは…。それはまた次回。

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