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みそ煮込みうどん-しっかり茹でたらニセモノ…その名前に偽りアリ? | 名古屋めし

記事公開日:2006年6月10日 更新日:

みそ煮込みうどん

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手打めん処 平松
<知多>知多市朝倉町

 独特な見た目や味であることが多い名古屋名物の食べ物のなかで、特に異彩を放っているのが「味噌煮込みうどん」である。古くから今日まで名古屋では食べられており、その独特な見た目や食感に、名古屋以外の人はカルチャーショックを受ける食べ物であるが、実は元々は名古屋名物では無かったという説がある。

元は名古屋名物じゃなかった!?

 その昔、味噌煮込みうどんは全国に存在していたというのである。しかし現在名古屋で食べられている赤味噌の味噌煮込みうどんが全国で食べられていたわけではなく、各地方で作られていたそれぞれ特産の味噌を使って味噌煮込みうどんが作られていたそうだ。しかし名古屋以外の全国各地では、味噌煮込みうどんはあまり食べられなくなり、赤味噌を使う名古屋の味噌煮込みうどんだけがなぜか残り、名古屋名物として定着したというのである。

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山本屋総本家
<栄>松坂屋本館10階<名駅>セントラルタワーズ13階<東京>神田和泉店/浅草雷門店ほか

うどん界のアルデンテ

 味噌煮込みうどんが名古屋っ子以外にとって衝撃的なのが、まずそのビジュアルである。土鍋の蓋を開けるとそこには、深いこげ茶色の汁がグツグツと煮えたぎり、その茶色の汁を吸って微妙な色に染まった麺が現れる。しかもその茶色は決して食欲をそそる色ではなく、まるで雨の日にぬかるんだ赤土の水溜りのようである。しかも独特な香りが広がる。英語のファンキーという単語がまさしく適合するといって良いだろう。

 続いて食感である。勇気を振り絞ってその汁に浸かった麺を口に運ぶ、そして噛んだ瞬間、その意外な食感に皆驚く。土鍋で煮込まれたうどんは名古屋以外の場合、一度茹で上げた麺を再度煮込んだもので、どちらかというとコシの無いクタクタなものであることが多い。しかしこの味噌煮込みうどんは全く違う。生麺を煮ただけなので、麺の中心はまだ小麦粉であることがわかるほどに芯がある。「これ生茹でやんかー」と苦情をいう関西方面の方も多くいらっしゃる。しかしそれが正統な味噌煮込みうどんである。

「芯のあるうどんなんて信じられない」と思われるかもしれないが、冷静に考えていただきたい。味噌煮込みうどんとは「うどん界のアルデンテ」なのである。芯の無いパスタが好まれないように、芯の無い味噌煮込みうどんも好まれないのである。アルデンテという共通点があることから、名古屋市とイタリアのトリノ市は姉妹都市提携を結んだ。というのはもちろん嘘である。(姉妹都市提携は本当)

食べ方にも流儀がある

 続いて味であるが、味噌煮込みうどんは赤味噌の味噌汁にうどんを入れたものではない。こげ茶色の八丁味噌に若干の白味噌を加えたものに、だし汁とたまり醤油、みりんを加えたスープとなっている。八丁味噌も然ることながら、名古屋名物のたまり醤油を使っていることからまろやかでありながら深い味わいとなっている。この味の濃さが、ごはんにこの汁をかけたときに威力を発揮するのである。

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 味噌煮込みうどんは食べ方にも流儀がある。正統な味噌煮込みうどん店では、取り皿はついてこない。うどんは蓋に取って食べることになっている。土鍋の蓋には穴が無いことからそれが可能なのである。味噌煮込みうどんは調理中は蓋を使わず、蓋は完成してからお客さんの目の前に運ばれる間しか使われない。従って空気穴は必要なく、また運ばれてきた蓋は熱くない。この蓋にうどんとスープと半熟状態の卵とご飯を一度にとり、グチャグチャに混ぜ合わせるのが最も美味しい食べ方とされている。

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山本屋本店
<栄>中日ビル地下2階/錦店
<名駅>新幹線地下街エスカ ほか

煮込まれたものは味噌煮込みではない!

 名古屋でも、専門店ではない普通のうどん屋さんで味噌煮込みうどんを注文すると、麺が柔らかかったり、味わいがそれ程深く無いなど、名古屋以外の人に迎合しているかのような似非味噌煮込みうどんが登場することがある。それは味噌煮込みうどんに免疫が無い方にとっては食べやすいものであるが、もうそれは名古屋名物の味噌煮込みうどんとは言いがたい代物である。

「煮込みうどん」という名でありながら、あまり煮込まれると「こんなの味噌煮込みうどんじゃない」といわれてしまう不条理なメニューである味噌煮込みうどんをぜひ専門店でご賞味いただきたい。

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