協力〇〇新聞とは一体なにを協力しているのか

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協力:中日新聞 日本経済新聞の表示の意味

テレビ愛知のローカルニュースを見ていますと、必ず「協力:日本経済新聞社 中日新聞社」というテロップが表示されます。

他にもこの地方では、CBCテレビ、東海テレビ、三重テレビのニュースに必ず「協力:中日新聞」と表示され、また、CBCラジオ、東海ラジオのニュースは「中日新聞ニュース」で統一されています。

この状況から、中日新聞の力の強さを感じることができますが、協力とはいったい何を協力しているのでしょうか。そこで取材をしたところ、実は「中日新聞ニュース」も「協力:中日新聞」も意味合いはほとんど同じなのです。ひとつひとつ疑問を紐解いていきましょう。

新聞社から記事がニュース原稿として配信されることは無い

まず、これらの中日新聞関連放送局のニュースに対し、中日新聞から原稿が配信されることがあるのでしょうか。答えは×です。これら各放送局は、独自の取材活動でニュースを放送しています。

ちなみに余談ですが、エフエム三重が放送している「FM三重ニュース」は、三重テレビからの原稿配信を受けていますが、「三重テレビの協力」「協力:三重テレビ」と言ったアナウンスはありません。たとえ原稿配信があったとしても、それは協力とは違うのです。

新聞記事を「ニュース」として放送することは可能か?

では、これら放送局の記者が、事件の裏付けを取ることができない場合、中日新聞の記事を基に、それをニュースとして放送して良いのでしょうか。これも答えは×です。

放送局がニュースとして放送できるのは、基本的には自社が直接取材し確認した事実と、共同通信など加盟通信社から配信されたニュースのみであり、放送局が自ら裏付けを取らない限り、「協力:中日新聞」であっても、中日新聞の記事を、ニュースとして放送することはできないのです。

ちなみに、新聞紙面を映して紹介する番組は、新聞記事の紹介として別の契約で、ニュースとは意味合いが違います。また、先述の「FM三重ニュース」についても、特例となっています。

どんなときに「協力:中日新聞」が表示されるのか

では、何が協力なのか…。このテロップはどういう時に出ているかを見てみましょう。CBCテレビ、東海テレビ、テレビ愛知、三重テレビ、全ての局に共通して、ローカルニュースの冒頭にこの協力テロップは出ます。ところが、東海テレビに限っては、フジテレビからの全国ネットのニュース番組にも、「協力:中日新聞」が登場するのです。

現在は違いますが、以前は夜のニュースのタイトルを独自に変更したり、タイトルにテロップを付け加えたりしていました。

例えば、フジテレビでは「FNNニュースレポート23:00」という番組であっても、東海テレビでは「FNN東海テレニュース 協力:中日新聞」と、独自のタイトルであったり、フジでは「FNN NEWSCOM」という番組タイトルでも、東海では「FNN NEWSCOM 協力:中日新聞」に。また、フジでは「DATE LINE」という単純なタイトルでも、東海では「東海テレビDATE LINE 協力:中日新聞」と、テロップが付け加えられていました。

全国ネットのニュースにも登場する協力表示

確かに、それら全国ネットのニュース内でも数分、東海テレビのローカルニュースが放送されるため、それにこの協力テロップは係っているのかと思いきや、そうでもないのです。

週末の早朝に放送される、フジテレビの「FNN産経テレニュース」は、現在でも「FNN東海テレニュース 協力:中日新聞」に差し替えられるのですが、このニュースには、ローカルニュースは存在しません。一部ローカルの天気予報が挿入されているものの、ニュースとしてはすべてが東京からのもの。これのどこに「協力:中日新聞」が係っているのでしょうか。

協力の意味は「資金協力」

実は、この「協力:中日新聞」には上にもう二文字、隠れている文字があるのです。それは「資金」です。中日新聞はこれら放送局に、用途を報道分野に限った資金を入れているのです。つまり、関連会社の支援策と広告の一環として、協力しているのです。

となると、ローカルニュースの冒頭にのみテロップが出る、CBCテレビ、テレビ愛知、三重テレビは、この中日新聞から協力を受けた資金をすべて、ローカルニュースの取材活動に使っているというわけです。

すると、先ほどの東海テレビの例が当てはまらない気がするのですが、そうでもないのです。テレビのニュースネットワーク、「FNN」や「TXN」にはニュース基金というものがあり、各加盟局は、系列挙げての報道用に、資金をニュース基金に納めています。

その基金によって、全国規模の大きな事件等の報道は行われています。ここからは推測ですが、東海テレビは、このFNNに対する協力費の支払いにも、中日新聞からの資金を当てているのではないでしょうか。

となれば、FNNへの加盟自体にも、中日新聞からの資金協力が係ってくることになり、フジテレビから送られてくる「FNNニュース」も、「協力:中日新聞」とすることができるのではないでしょうか。となればつじつまが合います。

さらに深い関係にある場合もある

一方で、岐阜放送と岐阜新聞の協力関係は、共通の取材、原稿配信もあったり、支局も共通です。また、岐阜新聞の記者が、岐阜放送で喋ることもあり資金に限ったものでは無いのですが、「協力:岐阜新聞」「岐阜新聞ニュース」についてはあくまでも資金協力の表示です。

つまり、「協力:中日新聞」は「資金協力:中日新聞」であり、「中日新聞ニュース」は「中日新聞がネーミングライツで番組タイトルを購入しているニュース」であって、内容について中日新聞は全く関与していないというわけです。そして、テレビ愛知のニュースには、中日新聞と日本経済新聞から資金が入っているということなのです。

協力表示以外の実際の協力

他にも、これら放送局と新聞社間では、人事交流が行われています。かつて、「FNN東海テレビ イブニングニュース600」や「三重テレビニュース」は、中日新聞の人がキャスターを勤めていました。

前者は西沢信正さん、後者は故・関戸正信さん、渡辺多聞さんといったように、中日のベテランが、関連会社の重要ポストに座るということがあります。これは他の新聞社にもよくあるケースなのですが、テレビ愛知にはもう少し違ったケースがあります。

テレビ愛知だけでなく、テレビ東京の系列局の一部は、日本経済新聞社から記者やデスクを受け入れています。テレビ東京で記者として画面に登場している人が、実は日本経済新聞の人であったり、テレビ愛知でも同様のケースがあるのです。

ただ、系列局によってもいろいろ考え方があるようで、報道現場には一切受け入れを行っていない局と、テレビ東京やテレビ愛知のように、積極的に受け入れている局とあります。

ニュース番組自体は自前取材

というわけで、テレビ愛知の報道について、お金や人材の派遣といった形では新聞社の協力を得てはいるものの、内容や取材については、すべて自前で行っているのです。

前回も書きましたが、他局に比べ、設備面、人員面で厳しい状況にあるテレビ愛知が、他の局と同じようにニュースを製作しているというのは、当たり前ではなく、特筆に価するのです。

実際テレビ東京系列のなかで、テレビ愛知と同じように、開局以来毎日夕方30分のローカルニュースを守り続けている局はありません。(テレビ北海道が最近並びましたが。)

これからも、愛知県民にとって一番身近なテレビ局。テレビ愛知の報道に期待しています。広域局の目の届かない、細かな話題を私たちに提供し続けてください。

とはいえ…

me-ko
me-ko

でも見る側は、ここまでがニュースでここからは新聞記事紹介なんて区別してないよな…

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