名古屋に新しいチャンネルだ！ の 第7回です
もう関東だけじゃない！新社名「テレビ東京」に
さて、1981(S56)年1月23日に大阪新局となる、テレビ大阪株式会社が設立されました。それとともに、東京12チャンネルも、テレビ大阪が設立される数日前、1月5日の新年祝賀会の席上で、中川社長（当時）が社名を変更することを発表しました。
そして、6月1日に記者会見を行い、新社名を「テレビ東京」とすることを公表し、10月1日、「緑さわやか」テレビ東京がスタートしました。言わば3度目の開局です。この日は社名変更を記念し、18時間の生ワイド「わたしの東京、世界の東京」が放送されました。
▲テレビ東京誕生記念特番の、オープニング。18時間ってすごいな。（出典：テレビ東京）
テレビ東京「誕生」で投入された強力ラインナップ
番組編成も刷新され、ゴールデンタイムの改編率は実に53％となりました。テレビ東京開局以来初となる、朝のワイドニュース「ビジネスマンNEWS」やお昼の「生活経済ニュース」、どこよりも早いプロ野球速報を謳い文句にした「スポーツTODAY」をスタート。
若者向け音楽番組「ザ・ヤングベストテン」、スタジオクイズショー「クイズくいず食図」、世界の情報を伝える「世界おもしろネットワーク」、そしてアニメは「まいっちんぐマチコ先生」など強力な新番組ラインナップを投入したのです。
▲テレビ東京となった時の放送開始画面。「緑さわやか」（出典：テレビ東京）
ネットワークセールスで本物のキー局に
また、それまでは独立局だったため、気にすることのなかった、セールスの問題が発生しました。テレビ大阪が誕生することで、テレビ東京はキー局となるため、CMをそれぞれ別で営業する、ローカルセールス枠と、テレビ東京が一括して営業するネットセールスの枠決めを行わなければならなかったのです。結果、ネットセールス53.5％、ローカルセールス46.5％と決定しました。
ネットワーク名は「メガTONネットワーク」に
そして、ネットワーク名称が決まりました。メガロポリスである、東京(T)と、大阪(O)を結ぶネットワーク（N）という意味で、「メガTONネットワーク」と決定しました。（N）は、次に開局することができるであろう、名古屋の意味も兼ねていました。
しかし、日本テレビは「NNN」「NNS」、TBSは「JNN」、フジテレビは「FNN」「FNS」、テレビ朝日は「ANN」と、他の系列のネット名称は、決まって3文字のアルファベットという中で、「メガTONネット」とは、なんと思い切ったネーミングセンスなのでしょうか。
目が点ですね。ベタベタなリアクションですみません。そして、こういった作業を経て、テレビ東京はキー局への道を歩みだしたのです。
船出が難航したテレビ大阪
ところが、テレビ大阪の船出は順調には行きませんでした。まず、送信アンテナの位置です。大阪府域となったテレビ大阪。しかし、できるだけ電波を飛ばしたい、神戸、京都でも見てもらいたいという思いから、最良の場所を探していました。
ですが当然の事ながら、免許が大阪府のみである以上、理由もなく神戸や京都に電波を発射することはできません。ではなぜ、サンテレビは大阪に電波が飛ばせるのでしょうか。もちろん、サンテレビも理由もなく大阪へ電波を飛ばすことはできません。理由があるのです。
サンテレビは「たまたま大阪にも電波が飛んでいる」
サンテレビは神戸市の摩耶山、アンテナ海抜高733ｍのところに送信アンテナを設置しました。神戸市の中心部の近くです。摩耶山から大阪市方面を見ると、東になります。東には芦屋市、西宮市、尼崎市があり、これら兵庫県内の都市へ電波を届けなければならないため、東へ強く電波を出すことができ、そのおまけとして大阪市方面へも電波が飛ばせるというわけです。
▲図解！だからサンテレビは、大阪へ電波を飛ばせる！
さらに南方向も淡路島があることから電波を飛ばすことができ、大阪府南部や和歌山県のある南東方向、香川県・徳島県のある南西方向へも、障害物の無い海上伝播によって強力に電波が強力に飛ぶという状況が生まれ、なおかつ大阪府内には山がないため、大阪府を100％カバーすることができたというわけです。
大阪府内にはうまく全体に飛ばせる高い山が無かった
テレビ大阪もこういう計算をして、神戸、京都へ電波を飛ばそうとしたのですが、大阪府内には大きな山がありません。
そこで、既存の大阪V局が送信所を設置している、生駒山山頂を選定しようとしましたが、この山は大阪・奈良の府県境にあり、山頂にアンテナを設置すると、奈良県側に電波が飛んでしまいます。
妥協で決まった生駒山
そのため、山頂への設置は郵政省から認められず、大阪府側の中腹であればよいとの指導でした。しかし、中腹では思うように電波が飛びません。それはわかっていたのですが、だんだんと、送信所を建設しなければならない日程が迫ってきます。
そこで、テレビ大阪は仕方なく、電波の飛びは期待できないけれども、生駒山の中腹に送信所を建設することにしました。これにより、テレビ大阪は、免許の上でも、実際の電波の上でも、大阪府域のテレビ局となってしまったのでした。
テレビ大阪の電波が飛ばないのは、サンテレビの怨念がそうさせたのかもしれません。生駒山の西側斜面から、西に指向性を向けて、10kWの電波を発射しているのですが、西の神戸方面には思ったほど電波は届かず、京都方面はさらに厳しい状況となりました。
メガTONネットワークが発足
そして1982(S57)年3月1日。テレビ大阪が開局しました。日本の43％の世帯をカバーできる「メガTONネットワーク」の発足です。
テレビ大阪は朝から開局特番。テレビ東京も「テレビ大阪開局記念特別番組・萩本欽一の夢の超特急メガTON号」を放送しました。
開局までにアンテナを設置してくれた家庭は…
テレビ大阪は開局前から、アンテナ普及キャンペーンを展開しましたが、この日までにテレビ大阪のアンテナを設置した家庭は、大阪府では68.1％、京都府では17％であり、この後もアンテナ普及に力を入れなければなりませんでした。
また、電波の面でも難視聴地域が多く、大阪府を100％カバーするのは、9年後の1991(H3)年12月21日、泉南金熊寺、天見中継局の開局を待たなければなりませんでした。
視聴率調査の対象にならず…
このとおりテレビ大阪は、当初目玉番組もなかったことから、爆発的なアンテナ普及とはならず、見られる世帯数も限られていたことで、ビデオリサーチ社の視聴率調査対象にもなっていませんでした。
アンテナを普及させなければ、とにかく見てもらうことができない。そこで10月からは、アンテナ販売コンクールとして、優良電気店を表彰したり、アンテナを取付けた視聴者に抽選で、春のエーゲ海旅行招待などのキャンペーン活動を大々的に展開しました。
開局当時の制作番組は、「関西ビジネス最前線(60分/週)」「奥さんレポート755(45分/週)」「ご同業対抗芸能合戦(30分/週)」「サタデーおおさか(15分/週)」「TVOニュース(10分/週5回)」といったものでした。ご同業対抗芸能合戦…。
テレビ大阪に学ぶこと
絶縁するにも、円満解決を目標に…。怨念は怖い！？
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