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地元住民が里山再生-定光寺ほたるの里一般開放レポート

記事公開日:2010年6月15日 更新日:

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★地元住民がホタルを養殖
★天候コンディションはよくありませんでしたが...
★雨のなかでもフワフワ

 かつて20~30年前くらい前までは、名古屋の郊外であれば、ちょっと綺麗な小川でホタルを鑑賞することができたものでしたが、水のよごれ、河川護岸のコンクリート化などによって、ホタルの生息できる環境はどんどん減少し、ふと乱舞するホタルを目撃...というようなことはすっかり無くなってしまいました。

 そんななか、地元の住民団体が民間の休耕田を利用して、ホタルが生息できる環境を作り、そこでホタルの繁殖を進める活動を行っている施設が瀬戸市にあります。「定光寺ほたるの里」です。

 毎年、一週間だけ一般開放を行っていると聞き、行ってきました。

全て地元の方の手づくりです

 定光寺ほたるの里は「定光寺自然休養林」のなかにあり、今から13年前の1997(H9)年、「市民による里山の保線と活用」の研究を、2005年日本国際博覧会協会から瀬戸市の市民団体が委嘱され、ホタルの復活に取り組み始めたのがスタートです。

 その翌年に整備が始まり、その次の年にはホタルが飛び交う様子が確認され、一般公開もされるようになりました。その後もバリアフリー化、新しい棚田の造成など、地元企業の協力もあり、その規模は次第に大きくなり、テレビや新聞などでも大きく取り上げられたことから、毎年の一般開放には多くの人が訪れるようになりました。

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この時期だけ看板が設置されています

 今年、2010(H22)年の一般開放は6月13日(日)から20日(日)の8日間で、それぞれ午後6時から9時の3時間となっています。それにさきがけ、この「ほたるの里」を運営している「定光寺ほたるの里の会」の会員には会員開放日が設定されていて、会員になるとゆっくりと見られるようになっているそうです。

 瀬戸市街から定光寺へと抜ける県道沿いに大きな「定光寺ほたるの里」という看板がある入口がありますが、こちらからは入場することができず、裏側から駐車場に入る格好になります。ちょっとわかりにくいですが、この一般開放期間中だけは案内看板があちこちに設置されています。

 ボランティアの方に駐車場へと誘導されます。キャンプ場の駐車場も含め、300台が駐車可能となっているのですが、それでも人出がある日は満車になってしまうとのことで、人気の高さが伺えます。

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こちらも手づくりなのかな?

 私たちはちょっと早めに、まだ明るいうちに現場に到着しました。受付があり、そこで、どこからやってきたのかというアンケートと、1人100円程度の寄付を、ということだったので、応じたところで横を見ると、これも地元住民の方による手づくりなのでしょうか、たけのこ御飯やみたらしダンゴが販売されていました。

 私たちは今回は、ホタルの写真を撮りたい!という気持ちが強く、ホタルの写真を撮るのは、相当難しいという話を聞いていたので、今回のホタル鑑賞は長期戦になる予感。そこで、みたらしダンゴをいただくことにしました。外で食べるのは気持ちいいですね。ちなみに「ほたるの里」の敷地内では飲食、喫煙、懐中電灯の使用は禁止されているので注意が必要です。

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 この日の天気はくもり。しかもさっきまで雨が降っていたという、なかなかのコンディションの悪さ。ホタルが飛んでくれるのかどうか心配になります。ちなみに、ホタルが乱舞する最高のコンディションとは、雨があがった後のよく晴れた夜で、不快指数が高いほど多くのホタルが飛び交うとのことです。

 やっぱり、今日はちょっと乱舞は難しいかな...と思いつつ、それでもホタルの姿を一目見ようと、まだ明るいうちに、ほたるの里の敷地内へと入っていくことにします。

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道を照らすのはろうそくの明かりのみ

 ホタルが生息するのに最適な環境ということで、一歩踏み入れるとそこは里山。まだ明るいとはいえ、覆う木々によって光がややさえぎられます。足元を照らすのは、くりぬかれた竹のなかで燃えるろうそくの明かりのみです。

 このほたるの里では、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルが飛び交うとのこと。彼らはなぜ光るのかといえば、それはオスとメスが繁殖する相手をさがすため。幼虫として約1年間水の中で暮らした後、成虫となって陸上に出てくるのです。

 陸上で生きられるのはわずか7日から10日といわれ、その間に光って繁殖相手を探して、次世代に命を繋げているのです。求愛の光であるのと同時に、人生最後の輝きともいえます。そう考えると少し切ないですね。

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写真撮影ポイントは?

 ボランティアの方に、写真撮影のしやすい場所はどこかと伺うと、このほたるの里の場合ですが、バリアフリー化などでデッキとなっている部分があり、そこがホタルの乱舞する様子はよく見られるものの、床が揺れるので、光の軌跡が、ホタルの飛んだ形なのか、床が揺れた動きなのかわからないのでオススメできず、地面が土のしっかりしたところがいいよ、ということで、土にしっかりと三脚を立ててホタルを待ちます。

 午後7時半頃には飛び始めるよ、と...。でもその気配は明るいうちはなかなか感じられません。しかし...。

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来ました来ました!

 すると午後7時20分頃でしょうか、あたりがだんだんと暗くなり始めると、周囲にいた子どもたちがあちこちで「光った!」「光った!」という声を上げ始めます。しかし自分たちにはイマイチ認識ができません。やはり子どもというのは、視力も良く、また、好奇心旺盛だから、素早く気付くのでしょうね。ああ、若いってうらやましい。

 しかしその20分後くらいには、大人でもはっきりわかるほどにホタルが飛び交いはじめました。

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 光を点滅させながら、まるで気流に乗っているかのようにフワフワと、あちこちをホタルが飛び交います。その幻想的なムードに大人も子どももみんな夢中。あたりはすっかり真っ暗になっていて、一見そうは見えなかったのですが、よく目を凝らすとかなりの人数が集まっていました。しかし...。

しかし雨が...

 午後8時を過ぎた頃、雨がポツポツと再び降り始めたではありませんか。既にそれまでに、ホタルの飛び交う様子を満喫するには充分な時間があったため、その雨をきっかけに人はサーっとはけていきます。

 もうちょっといい写真が撮りたいな...と私たちは粘ります。

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 その甲斐あってか、デッキ部分にもあまり人はいなくなり、飛び交うホタルの数も雨で少なくなってはしまったものの、初のホタル撮影にしては上出来な写真が撮影できたと、相方も満足していました。

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 こういった環境を地元の住民の方々がボランティアで守られているというのは、すごいことですね。その一方で、人工的に繁殖させないと、都市の近郊ではなかなかホタルが乱舞する様子は見られなくなってしまった、という現実も寂しい気はしますね。

 今回改めて感じましたのは、子どもの頃の記憶では、ホタルの光というのはもっと強くて、しっかりしたものかと思っていたのですが、実際にはかなり暗く、ちょっとした携帯電話の光なんかがまぶしい!と感じるほど。これを写真に収めようというのは、なかなか難しいことだな...と。

 定光寺ほたるの里の一般開放は今月20日(日)まで。天気予報を見ますと、16日(水)が雨のち晴れ、それ以降もくもりとなっていますね。これは、16日はホタルが最高に飛び交うのではないでしょうか。ただその場合、不快指数的にはかなりの数値となるかと思いますので、気長に気長に、ホタルに癒される気持ちで訪れてみてはいかがでしょうか。

関連情報

定光寺ほたるの里(愛知・瀬戸市)MAP

35.263107, 137.090338

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