- 梅雨入りしたからあじさい寺へ!
- かんかんでりでちょっとぐったり
- あじさいまつりは6月20日までです
先週の日曜、13日に東海地方は梅雨入りしましたね。平年より5日遅く、昨年より10日遅いとのこと。いよいよ雨でジメジメする嫌な時期がやってきたわけですが、そんな季節をさわやかにしてくれるのが、しっとりと雨に濡れるあじさいですよね。
別名あじさい寺として知られている、稲沢市の性海寺と、その周辺に1992(H4)年に整備された「大塚性海寺歴史公園」一帯では、今年は6月1日から20日まで「第19回あじさいまつり」が開かれています。
メインイベントが開催された12・13日は過ぎてしまったのですが、駐車場も少ないそうですし、むしろ入梅後のあじさいを見ようと思ったのですが…。
愛染明王…なんだ
訪れた日は、見事に梅雨の晴れ間のかんかん照り。この日の最高気温予想は32℃で、今シーズン最高の暑さが見込まれていました。そんななかでも、多くの人があじさいを一目見ようと訪れており、駐車場は常に満車に近い状況で、空きが出たら…という感じで順々に入れ替わる感じでした。さすがにこの暑さから、長居する人は少なかったようで、駐車場待ちが行列になるようなことはありませんでした。
この性海寺(しょうかいじ)に訪れること自体が私たちは初めてでした。そこでまず目に留まったのが「愛染明王」ののぼりです。
愛染明王といって思い浮かべるのは2つ。まずは煩悩と愛欲、そして直江兼続ですね。兼続の兜にあった「愛」の文字は、軍神であった愛染明王を表しているという説もあります。
ということは、戦いにも煩悩と愛欲を?アッー!たとえ戦でも、軍の男同士、友情を越えた愛で結ばれることで戦に勝つ!ということ…でしょうかね?
ちなみに、愛染明王のいう煩悩と愛欲ですが、この人間の本能を向上心に変換して…という教えなので、あながちその妄想は間違っていないのかもしれません。
その幟がはためく山門前では、色とりどりのあじさいがお出迎えしてくれます。そのあざやかさにも驚きですが、大きさも半端じゃなくてさらに驚きです。あじさいは後ほどゆっくり鑑賞することにしまして、まずは性海寺を見ていくことにします。
愛染明王にお参りします
まず正面に見えてくるのが、稲沢市指定文化財となっている、17世紀に作られた山門です。江戸時代の本格的な仕事を見ることができます。その山門の先に見えてくる多宝塔こそ、愛染明王が納められているところです。
この多宝塔は山門よりもさらに歴史を遡り、室町時代に作られたもので、国の重要文化財となっています。さあ、愛染明王にあやかって、何事も煩悩と愛欲のような勢いで臨むぞ!と思ったのですが…。
ここでの愛染明王は、江戸時代より「耳の病に信仰がある」とされ、耳病平癒、家内安全、交通安全、無病息災にご利益があるとのこと。あ、そうなんだ…とちょっと拍子抜け。
そして、抜けたのは拍子だけではなくて、この拝殿に奉納されている「ひしゃく」は、なんと全部底抜け。現在でもここで愛染明王に祈願する際には、底の抜けたひしゃくを納めることになっているそうです。
耳の穴をよくかっぽじる…ということでしょうかね?
本殿、本尊は違うそうです
さて、見るとその先には「本殿」と「客殿」があります。そうなんです。入口ののぼりや、多宝塔に見てきた愛染明王は、性海寺の本尊というわけではないのです。
歴史的には、この性海寺は平安時代前期の弘仁年間(810-924年)に空海によって愛染明王を本尊として創建されているのですが、同じく平安時代末期の治承年間(1177-1181年)に阿弥陀三尊像が安置されたそうで、今ではその善光寺式阿弥陀三尊像を本尊として本殿に祀っています。
その三尊像を見ることはできませんが、毎年このあじさいまつり期間中には、客殿で文化財の特別公開が行われているほか、あじさい茶会も開かれており、午前10時から午後4時まで、1席350円でお茶をいただくことができます。
文化財のなかには、屏風などがあったのですが、やはり本物の迫力というのはすごいですね。時空を飛び越えたような感覚と、その技のすごさの両方に感動しました。
この本堂と宝塔も、多宝塔と同じく国の重要文化財に指定されています。
本堂でしっかりとお参りをしまして、お線香もお供えしたところで、本堂前のお遍路さんの像を見送りながら、本堂裏から、いよいよ歴史公園へと足を運びます。
そういえば、あじさい寺という割には、お寺の敷地内にはあじさいは見かけなかったような…とこの時は思ったのですが…。ところがどっこいです。
古墳から見渡すあじさい寺
本殿の背後には、まぶしい新緑が広がっているのですが、そこにはあじさいがたくさん。この小高い山は一体なんだろう…?と思ったらそれは、古墳でした。
性海寺を取り囲むように整備されています、「大塚性海寺歴史公園」は、この「大塚古墳」が見所の一つとなっています。高さ5メートル、直径40メートルの円墳で、古墳時代中頃の円筒埴輪や形象埴輪が出土しているとのこと。丘の上層部は中世以降の盛土で、後世は何か別の目的で使用されていた形跡があるそうです。
で、誰が埋葬されていたのか…ですが、はっきりとはわかっていないようですが、三宅川の感慨権、水運交通権を掌握していた豪族ではないかと考えられているそうです。そんな大塚古墳は稲沢市内最大の古墳です。
今ではその古墳に、あじさいが咲き乱れています。
ですので、お寺の境内を散策している時には、本堂に隠れて感じなかったのですが、この古墳からお寺を見下ろすと、見事にあじさいとお寺の風景が楽しめ、まさに「あじさい寺」といった風情です。
これは、雨にしっとりと濡れていたらさらに風情があったでしょうね…。
歴史公園にはさまざまな色・種類が
大塚古墳を下りますと、人工川や池、橋が整備されていまして、まさに水と緑の風景。そこにあじさいが色を添えます。まさに見ごろまっただなかという感じで、遠目に見るとイキイキとしたあじさいに一見見えたのですが…。
その、遠目に見えたあじさいのなかで、青・赤・紫と、複数の色の花が咲いているところへ。しかし、近寄ってみると…ちょっとしおれ気味。さすがに、気温が30℃を越え、強い日差しが照りつけるこの環境では、満開のあじさいもちょっと元気が出ないようです。
きっと、雨が降り始めれば、また元気を取り戻すのでしょうね。
イロイロ気になったあじさい
それでも、日陰にあるあじさいは元気な感じがしましたので、晴れの日でももちろん、あじさいを楽しむことはできますので大丈夫です。
それにしても種類の豊富さには驚かされます。園内には日本原産のガクアジサイをはじめ、ヤマアジサイ、西洋のアジサイなど、約90種類1万株が植栽されているとのこと。特に私が気になったのは、ヤマアジサイの「紅(くれない)」。そのあじさいらしからぬ、真紅の色にとても惹かれました。
そしてもうひとつ、別の意味で気になったのはピンクダイヤモンド。その名から、ピンク色を思い浮かべたのですが、どう見ても青。
あじさいの色というのは、その植えられている土壌の成分に左右されるとのことですから、いくらピンク色が綺麗な品種といっても、その土壌によっては青くなってしまうということなのでしょうかね。
どんなに才能やセンスがあっても、身を置く場所を考えないと、その才能を発揮することなく、環境の色に染められてしまうということなのですね。人生もあじさいのようなものかもしれません。自分の身を置く環境を考えるのも、人生においてとても重要なことのようです。
おまつり期間中は販売も
30℃を越える蒸し暑さのかんかん照りの中、歴史公園のあじさいも満喫できましたので、お寺を後にすることにします。すると、山門の北側ではあじさいなどの鉢花が販売されていました。買ってお庭に植えれば、来年は自宅でもあじさいを楽しめるということですね。
この販売も、あじさいまつり期間中のみとなっているそうですので、20日(日)までですね。その他にも、山門前ではお団子やおまんじゅうも販売されていました。もう少し涼しかったら食べたかったなぁ…。
山門の外側にも、公園を取り囲むようにあじさいは植えられていまして、ここは土が良いのか、さらに元気にあじさいが咲いていまして、その色のあざやかさはもちろんのこと、大きさが驚くほどなのです。
相方が手を添えると、その手のひらと比べてもすごく大きい。大迫力です。
そしてここは稲沢市です。このあじさいまつり自体も稲沢市と稲沢商工会議所ということで、稲沢市のキャラクターであるいなッピーが、あじさいまつりの幟に描かれていました。それがなんと、ちゃんといなッピーもあじさいの紫仕様になっていて、あじさいに取り囲まれているではありませんか。
いつもの、ふんどして露出大好きないなッピーとは一味違って、いなッピーもあじさいバーションしっとり加減となっていました。
あじさいまつりは20日(日)までの開催となっています。メインイベントが開催された、12・13日の週末には、いなッピーも訪れたそうです。また、このあじさいまつりの様子を撮影した写真コンテストも開催されていまして、応募締め切りは30日(水)となっていますので、あいにくのお天気の日は、あえて雨がよく似合うあじさいの写真を撮りに、この大塚性海寺歴史公園を訪れてはいかがでしょうか。
それにしても、やっぱりあじさいは雨がいいですね。さすがに、これだけいい天気で気温があがると、あじさいもぐったり、見に来た私たちもぐったりですものね。いや、そこは、愛染明王パワーで何事も頑張りたいと思います。
いまのところは、ありがたいことに耳の病気はわずらっていませんが、情報サイトを運営していく上でも、人生の上でも、チャンスを含めて、何事も聞き逃しの無いように、いろんな声に敏感でいられますように…と、そんな願いを込めて。愛染明王さまよろしくお願いいたします。
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