ベルマウント(ブリティッシュコロンビア州)
バスはちいさな街ベルマウントに到着しました。まずはホテルに向かいます。そこには2階建ての木製アパートの様な建物がありました。これがホテルなのか…。少し不安を感じます。
建物の屋上には、見たこともないような大きさのテレビ用アンテナが設置されています。バンクーバーはケーブルテレビが普及しているのでアンテナを見ることはありませんでした。やはりここまでくるとケーブルテレビは無いようで、遠くの電波を受信しているようです。まるで無線基地です。
マウンテニアー・ベルマウント・ホテル
そして、バスを降りると肌寒いのです。時刻は午後6時を回ったところですが、日没が9時なのでまだ気温が下がる時間ではありません。ホテルから見える山並みは雪に覆われています。明日はあの雪山に近づくわけです、服装がさらに心配になります。
▲ここはロッキーの入口。すっかり雪山に囲まれました。
部屋の鍵を渡され、アパートのような階段を2階に上がります。扉を開けてビックリ、いい雰囲気のログハウスではないですか。なるほど、木で作られているのは演出ですね。山小屋風のホテルなのです。今夜はこのマウンテニアー・ベルマウント・ホテル(Mountaineer Valemount Hotel)にお世話になります。
▲え、ここ?と一瞬焦ったホテルの外観。
▲こんなデカいアンテナ初めて見た。しなってるよ。
レストラン・スパーク
晩御飯は、道路の向かい側にあるレストランです。お向かいと言っても結構な距離があるのでバスで向かいます。
「デイナーはハンバーガーでーす。」
え?ハンバーガー?ふうーんと思っていたら、これは運転手さんのギャグでした。
「うそうそ、今夜はステーキでーす。」
「ワーオ!」
▲ホテルの室内はログハウス風でオシャレ。ロッキーの山小屋気分。
バスの車内に、喜びの声が響きます。隣りで相方も喜んでいます。しかしです。私はそれをおそれていました。ここはカナダです。そう狂牛病、BSEが気になるのです。しかも、アメリカで発見されたBSE感染牛はここから少し先、カルガリーのあるアルバータ州の牛です。アルバータ牛は有名な品種なので、ここでステーキを食べるとなればアルバータ牛を食べることになるのは間違いありません。
私には食肉関係に勤めている友人がいるのですが、その彼に、私は旅立つ前にこう言われていました。
「最近、アメリカでBSEが話題にならないの、なんでか知ってる?今はもう検査やってないようなもんだからね。だから出ないんだよ。」
そんなことを聞かされていたので、カナダで牛肉を食べるというのは恐怖でした。出発の際、空港には「北米からは、ビーフジャーキーでも牛肉は持ち込み不可」という張り紙がしてあるのを見ました。日本では、牛丼チェーンへも、仙台名物の牛タン店へも牛肉がストップしています。
それはなぜかと言えば、政府がアメリカ・カナダの牛肉を危険だと判断しているからでしょう。相方は半年前にこちらにやってきているので、その騒動は知っているものの実感はありません。
▲レストラン・スパーク。このレストランにも別のホテルが併設。
今更そんなことを言っても始まらないのですが、恐怖心について相方に話すと、
「日本人は気にしすぎ。こっちはみんな食べてるよ。」
と、あっけらかんとしています。ここまで来たら、もう腹をくくるしかありません。入ったのはレストラン・スパーク(Spark)。日本のファミリーレストランのような造りです。すると、ガイドさんに韓国人の方が近づいてきました。オーナーでしょうか。どうやらここは韓国系のレストランのようです。席は、先ほどと同じカップルと一緒になりました。「ハイ」と愛想よく挨拶します。私にできることは精一杯の笑顔です。
まずはコーヒーか紅茶かを聞かれました。食前にコーヒーというのも変な気がしましたが、私はコーヒーを、相方は紅茶を頂きました。やはりコーヒーはアメリカンで薄い。しかしマグカップはとんでもない大きさです。相方の紅茶を少し飲みましたが、お茶と紅茶の中間と言った感じでした。そしてキムチが運ばれてきます。やはり韓国人優遇ツアーです。当たり前ですが。
しかし、韓国人カップルはそのキムチを塩辛いと言います。私たちには、キムチの味の違いはわかりませんでしたが、やはり韓国人はキムチの味に敏感なようです。いよいよメインのプレートが運ばれてきます。これでもかという大きさのステーキとサラダ、コーンとガーリックトーストとライスが一つのお皿に盛られています。
このステーキが炭焼の香ばしさ満点。というか、少し炭の味がする程でした。火を通せばBSEも大丈夫だろう。と、根拠の無いことを自分に言い聞かせます。黙っていると、その大きなマグカップにコーヒーをさらに注がれます。そんなに飲まないよー。
▲ステーキ。午後6時半、まだまだ日差しは強い。
ホテルに戻ってお休みなさい
食事が終わり、ホテルに戻ります。ガイドさんはキャンプファイヤーをやりますか?と聞いてきたものの、韓国人3人組の少年達以外は無反応。というわけで却下となりました。たぶん、オプション料金もかかるでしょうから、無くて良かった気もします。
部屋に戻ると、ガイドさんが集金にやってきました。今回の旅行のレストラン、宿、そしてガイドさんのチップ合計50ドル、二人分で100ドルの集金です。チップの額が決まっているのは不思議でしたが、相方は今でもチップの額を迷ってしまうそうなので、逆に決まっていて良かったとのこと。
しかし、計算するとガイドさんの取り分が結構多い。まあ、これだけタフな運転をしているのですから、それくらいは貰わないとやってられないですよね。
もう、牛肉に対する免疫ができました。牛肉どんと来いと、このステーキのお陰で強気になれました。それが結果的に良かったのかどうか、答えは老後の脳に出るはず。
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