長良川河畔(岐阜市)
夏といえばやっぱり花火ですよね。名古屋周辺の東海3県下で最大規模を誇る花火大会では約3万発が打ち上げられます。3万発もの花火が打ち上げられるのは岐阜市の花火大会だけです。
東海3県で岐阜市だけ!が2回も
ところが不思議なことに、その3万発の花火を打ち上げる花火大会が、岐阜市では毎年2回も行われるのです。7月最終土曜と8月の第1土曜日です。なぜ岐阜市でそれほど大規模な花火大会がたった1週間の間を置いて2回も開催されるのでしょうか。岐阜市の人は花火が好きだからという理由ではありません。そこには長年に渡る意地のぶつかり合いがあるのです。そこで今回は実際に花火大会に行って考察してきました。
2つの花火大会とは、今年の場合は7月29日の「第50回全国選抜長良川中日花火大会」と、8月5日の「第61回記念全国花火大会」です。どちらも約3万発が打ち上げられます。私は前者の花火大会には以前行ったことがあったのですが、それを地元の人に話すと多くの人が「長良川の花火は8月のほうに行かなきゃダメだよ」と口を揃えて言うのです。というわけで今回は後者の全国花火大会へと行ってきました。さて結果は…?
2回行なわれる花火大会のそれぞれの主催者は…
先述のとおり、3万発もの花火が打ちあがる花火大会は、長良川の花火以外にはこの地方には存在しません。なぜそんな大規模の花火大会が、岐阜で2回も行われる事態になっているのかは、それぞれの花火大会の主催者を見ればわかります。長良川中日花火大会はその名のとおり、主催は中日新聞社です。そして全国花火大会の主催は岐阜新聞・岐阜放送です。もうおわかりだと思いますが、この2つの花火大会がそれぞれ3万発もの花火を上げるのは、新聞社と新聞社の意地の張り合いなのです。
回数を見ればわかりますが、長良川で花火大会を先に始めたのは岐阜新聞です。そこに後から中日新聞がやってきたわけです。中日新聞は名古屋に本社を置く新聞社です。では中日新聞は名古屋でも花火大会をやっているのかと思いきやそうではありません。中日新聞は名古屋では花火を上げないのです。でもここ岐阜では3万発を上げるのです。
しかも岐阜新聞の花火大会の前の週にです。これは明らかに、岐阜新聞への対抗策としか思えません。ところがそれだけでは終わらないのです。岐阜新聞は中日花火大会が行われる7月最終土曜に、岐阜市から程近い大垣市で花火大会を行うのです。
先を越されたら同じ日に別の場所で
今年も岐阜新聞は7月29日に大垣で「第50回記念岐阜新聞大垣花火大会」を開催しています。勘の良い方はお気づきだと思いますが、同日開催の中日花火大会とこの大垣花火大会の回数を見てください。「第50回全国選抜長良川中日花火大会」「第50回記念岐阜新聞大垣花火大会」どちらも第50回です。この数字から、岐阜市で中日新聞が花火大会をやることが決まった時に、対抗策として同じ日に岐阜新聞は大垣の花火大会をぶつけるようになったということがわかります。もうドロドロです。
そんなことを考えながら、8月5日は友人たちと岐阜新聞の花火大会に出かけました。感想を率直に申し上げます。迫力に大変驚かされました。中日花火大会とは全然違います。同じ3万発のはずなのに、一体何が違うのか…。疑問を持った私に友人は簡単に答えを導き出してくれました。
2つの花火大会の違いとは
このふたつの花火大会はどちらも3万発なのですが、中日花火大会は昼の部も含めての3万発。しかも夜の部の打ち上げ時間は19時15分から20時45分の1時間半です。対する岐阜新聞の花火大会は、19時30分から20時45分の1時間15分だけです。昼の部などありません。1時間15分に約3万発の花火が休むまもなく次々と上げられるのです。この違いは意外と大きかったです。
元々あった岐阜新聞の花火大会の1週間前に花火大会をぶつけてきた中日新聞、そしてその中日新聞の花火大会の同日に大垣の花火大会を更にぶつける岐阜新聞。長良川の花火大会を見ていると、まるでその新聞社同士のぶつかりあいが火花を散らしているかのような錯覚に陥ると言うのは言いすぎでしょうか。
でもやっぱり、競争の原理があるからこそ上を目指すわけであり、これからも岐阜の花火は互いに上へ上へと進化して欲しいものです。開催する側は大変でしょうけど…。
コメント
おつかれちゃんでした(^-^;)。
そっか・・・正味1時間15分でしたね、ウソついちゃったな自分(大汗
それにしても、長良川の花火大会は、何度も訪れてるけど、
飽きないデス。こんな蒸し暑く長い夏ですが、唯一と言うても
過言でないくらい、ステキな夏のイベントなのデス(笑)。
今回は今までで一番疲労も少なかったのが驚き。寝不足だったのに(汗
(2006/08/07 7:44 AM)
>yassさん、こんばんは。
花火は本当に良かったです。往復かなりの距離を徒歩で歩きましたが、私も不思議なことにそれほど疲れませんでした。そのうちどちらかの新聞社が「今年から 5万発にします」なんて言い出したら、大変なことになりそうですね。矢田川の花火大会が無くなってしまった今、大規模な花火と言ったら長良川ですね。でも矢田川は1万発だったんですよね…。
(2006/08/09 1:59 AM)
興味深くしかもよくまとまっているレポートありがとうございました。正直、私が中日新聞社主催の花火大会を知ったのは、東海地方を離れてだいぶ経ってからだったと思います。だって、中日新聞読んでないと分からないですからね。実家は岐阜地域以外では珍しい岐阜新聞購読者でしたので。そうそう、大相撲名古屋場所の共催が中日新聞社というのも、東京で東京新聞を購読するようになって初めて知りました。中日か否かはそこまで根深いのです。高校生半ばまで、中日新聞社の力がいかに岐阜県でも根強いか知りませんでしたし(購読率を知ってから10年経ってないはず)。
岐阜(日日)新聞を購読していると、大垣と岐阜だけでなく、お盆に向けていろんなところで花火大会をやるのが分かります。だから余計に、大垣と中日花火との関係が分かりづらかったのかも。岐阜日日購読者として、県内のあちこちで花火やるのは普通だと思ってましたが、他地域ではそういうことはあんまりないようですね。「大垣花火は中日との対抗ではない」という岐阜新聞側のアリバイ作りだったりして。ちなみに以前、岐阜新聞が掲載した大垣花火の歴史では、地元(大垣)が熱心に動いたが、当時は実現が難しかったものの関係者の熱意がついに実を結んだ、とありました。中日との関係に触れてないのはある意味当たり前ですが・・・。そうそう、8月15日の笠松の花火はどうしてどっちも主催になってないんでしょうね?
なお私の実家からは、工業団地越しに大垣花火がちっちゃく見えます。かなり離れてるので、音がだいぶ経ってから聞こえてきますよ。
(2006/08/10 12:11 AM)