ころうどん-冷やしうどんやぶっかけうどんとは完全別物 | 名古屋めし

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ころうどん

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寿限無茶屋の梅おろしうどん。自家製の完熟梅がこれまたたまりません。
<本店> 緑区有松町(有松駅下車徒歩5分) 

「ころって何ですか?」と聞いても、おそらく多くの名古屋っ子は何のことかわからないだろう。しかし、「うどんころ(きしめんころ)って何ですか?」と聞けば、ほとんどの名古屋っ子が「ああ」と言って即答するであろう。

いくら味噌煮込みが大好きな名古屋っ子と言えども、名古屋のクソ蒸し暑い夏の気候の下ではいつも味噌煮込みを食べるというわけにはいかない。まあ、クールビズなどどこ吹く風という勢いの、ガンガンのクーラーで冷え切った店で食べる熱々の味噌煮込みうどんというのもそれはそれで格別なのだが、今回はそうではなく、名古屋っ子が夏に食べるメニュー「うどんころ」をご紹介しよう。

冷やし?ぶっかけ?ころ?

うどんころとは、簡単に言えば冷たいうどんのことである。しかし、冷やしうどんやぶっかけうどんとは全く異なる。冷やしうどんというのは、うどんのつゆが冷たいだけのうどんである。これは名古屋でもポピュラーなメニューでは無いが存在する。そして、ぶっかけうどんを簡単に説明すると、つゆの少ないうどんで、暖かいものと冷たいものの両方があるメニューである。名古屋ではあまり耳にしない。

どうも、この「ぶっかけ」という語感を名古屋っ子は下品に感じるようだ。少なくとも私の周囲の人間はそうである。「ぶっかけ、ぶっかけ、ぶっかけうどん~」という、ある会社のインスタントうどんのCMがダサいせいかもしれない。まあ、あれは狙ったダサさなのだけれど。

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若鯱家のうどんころ
つゆはほとんど見えません。

名古屋の夏には欠かせない!

さて本題。うどんころとは冷たいうどんであり、さらにつゆも少ない。つゆはざるうどんのつゆを想像していただければほぼ間違いない。その濃いつゆにどっぶり浸かっている。つまり、茹で上がったうどんを氷水で冷やし、そこにざるうどんのつゆを浸る程度に流しいれたもの、それがうどんころである。

配慮の行き届いた店では、そのつゆを凍らした氷がいくつか入れられており、氷が溶けても味が薄まらないという感動がある。やはり名古屋であるので、うどんだけでなくきしめんころというメニューも存在する。名古屋の夏には欠かせないメニューである。

さらにそのころにオプションが加わることもある。つゆはざるうどん用なのでもちろん濃い。そのため大根おろしがとてもよく合う「おろしうどんころ」。海老の天ぷらが入った豪華版の「えびおろしうどんころ」などである。えびおろしうどんころともなると、ちょっと豪華なお店では単品で4ケタに乗ってしまう。

揚げたてのパチパチ音がする海老天が、舌が痛いくらいに冷えたつゆのうどんころに乗っかっていて、ちょっとつゆに海老天を浸すと、ジュッと音がする。それが最高級のころである。

ころの当たりハズレにご注意

しかしこの「ころ」というメニューは、うどん店としてはあまり出したがらないという話を聞いたことがある。なぜなら、麺の味や舌触りが如実に感じられてしまい、暖かいうどんではごまかせるものが、ごまかしきれないからである。故に、ころのメニューがあるかどうかは、店がうどんの麺に自信を持っているかどうかの判断材料になり得るのである。

ところが、あろうことか大した自信が無いにもかかわらず、ころのメニューを掲げているお店がある。それでもうどんはまだ良いのだが、麺がイマイチの店のきしめんころはどうにもならない。最悪の場合、きしめんころの麺を口に運んだ瞬間、ザラっとした棘のあるきしめんに舌を攻撃されてしまう。あの感触は、つゆの冷たさではなく別の意味で心底冷える。麺を茹で置きしている店のきしめんころには要注意である。

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ころのつゆの色は濃く底は見えません。ご家庭では…なごやきしめん亭「ゆできしころ」もしくは冷凍うどん+ヤマモリ食品そのままつゆ「そば」がおすすめ

ころの醍醐味はやっぱりつゆの濃さ

あのザラっとしたゾクゾクっとしてしまう麺の食感を避けるには、よほどおいしいうどん店を選ぶか、もしくは、邪道だと言われるかも知れないが家で作るのが良い。作り方は簡単である。冷凍のうどんを買ってきて、麺を少し硬めに茹でて氷水で冷やし、それを丼に入れたら、ギンギンに冷やしたざるうどんのつゆをかければ良いだけである。

刻みネギとワサビ、欲を言えば揚げ玉、揚げたての海老天があれば最高のうどんころである。冷凍の麺にはコシがあってころに向いている。

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伊勢うどんは、見た目はころに似ていますが全くの別物です。

「うどんころ」なのか「ころうどん」なのか、ずっと疑問なのだが未だにどちらが正しいのかは私にはわからない。まあどちらも正解なのだろうが。「ころ」とは元々「香露」という漢字を書き、うどんころの発祥は岐阜県多治見市である。つゆは、ざるうどんに使う濃さである上に、たまり醤油を使用しているので、いかにも名古屋ならではの味の濃さである。名古屋っ子以外にとっては「濃露」となるかもしれない。

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