名古屋近郊の紅葉スポットのなかで、最もメジャーと言っても過言ではないのが、豊田市(旧足助町)の「香嵐渓」です。巴川にかかる待月橋周辺ではたくさんのもみじが色づき、毎年11月中旬から下旬にかけては多くの人で賑わいます。
それだけメジャーなスポットであるが故に、例年大渋滞に見舞われるだけでなく、いざ現場についてみたら駐車場が無く、車を停められずにそのまま素通りさせられてしまうなんてこともあり、私はここ数年避けていたのですが、今年は友人に誘われて久々に行ってきました。名古屋そして三河で紅葉見物と言ったら、やっぱり「アレ」を食べないと、というわけでそれも食べてきました。
例年どおり歩くのも大変な賑わい
訪れたのは11月第3週の週末。街中の木々も色づいて、足助の紅葉はピークかと思ったのですが、今年は冬の訪れが遅く、朝晩があまり冷えなかったこともあってか、木々が一斉に赤く萌える…という雰囲気ではありませんでしたが、ちらほらとまっかっかな紅葉を見ることもできました。巴川に架かる待月橋は多くの観光客が行きかい、歩くのが大変なほどの賑わいとなっていました。しかしこの日は天気があまりよくなかったお陰か、そして友人が抜け道を使ったお陰か、香嵐渓までスムーズに行くことができました。何度か来たことがありますが、これほどスムーズに香嵐渓に到着したのは初めてです。
毎年開催されるもみじまつり
香嵐渓では毎年11月の1ヶ月間「香嵐渓もみじまつり」が行われており、日没から午後9時まで木々がライトアップされます。この日は午後5時に点灯。まだ緑色をしている葉も、黄色いライトのお陰で全てが紅葉しているかのように見えます。ごまかされてる?だからといって、ここで蛍光の真っ白なライトをあてられても困りますが…。
その年によって紅葉の具合もかわりますね
待月橋から三州足助屋敷にかけて、そして飯盛山山麓、ほとんどの木々にライトが灯され、幻想的な風景が目の前に広がります。確かに、まだ緑色の葉っぱが多かったのですが、真っ赤に紅葉している木もあれば、もう散りかけているものもあり、今年は木によって速度がバラバラという、足並みの揃っていない紅葉という感じでした。協調性が失われつつある現代日本の姿を投影しているのかもしれません。
真っ赤に染まっている木は絶好の被写体ということで、多くの人がその木を取り囲んで写真を撮っています。その木をバックに記念撮影をする人も多く、「おや、何の人だかり?」と思って人を掻き分けてみると、そこにはポツンと紅葉している木が一本ある、という状況があちこちで見られました。
足助の味を食べてみる
香嵐渓に来たからにはやっぱりいろいろ食べたい。ということで、三州足助屋敷周辺にある屋台へと足を進めます。この屋敷は、明治時代から昭和30年代にかけての、山間部の農家の暮らしを実際の民具を使って再現したもので、民俗資料館となっています。こちらの施設は午後5時までとなっていますので、夜間入場することはできませんが、外から見ただけでも立派な茅葺屋根は見ごたえがあります。
その屋敷前で長い行列ができているのが、「足助ハムzizi工房」です。みなさんのお目当ては炭焼きフランク。観光地でフランクフルトを食べるとなると、結構な値が張るものなのですが、このお店は炭焼きにもかかわらずなんと1本200円。そりゃ行列ができるはずです。その隣のお店では、鮎の塩焼きおにぎりなどが売られていました。友人は600円の松茸ごはんを注文。秋ですね。でも、名古屋っ子として食べたいものはこれらではありません。
飯盛山の中腹を歩きつつ、待月橋の方へと戻ります。ちなみに、山頂に登るとさぞかしすごい景色が見られるのかと思いきや、上の方はライトアップされていないので、ガックリ来てしまうとのことで今回は登りませんでした。昨年登った友人曰く、疲れる上にガッカリのダブルパンチとのことです。確かに、紅葉のライトアップは見上げる方が良いかも。しかもライトアップが終わる瞬間に山の上にいると大変なことになるそうです。足元を照らすものが全くなくなりますから、闇のなかの下山となります。なかには、それを待って山に潜むカップルもいるかもしれませんが、そんなことを考えていると、たぶん風邪ひきます。
巴川の西岸に、「つぼどん」というお店があります。このお店は河畔にあり、窓からはライトアップされた紅葉と、それが巴川の水面に映る姿を見ることができます。麺類メニューも豊富で、鮎の入ったあゆそばを私は注文しました。そして、友人とみんなで例のものを注文します。例のものとは「みそおでん」。特製のこんにゃくにたっぷりと八丁味噌がかけられています。やっぱり紅葉を見ながら食べるのは、この赤みそのかかったおでんに限りますね。これぞいかにも名古屋っ子です。
ライトアップは午後9時まで。期間は11月いっぱいとなっています。足助は中馬街道の宿場町として古くから栄え、紅葉以外にも古い街並みなど見所がたくさんあります。車では猿投グリーンロードの終点「力石インター」から国道153号というのが王道なのですが、激しく渋滞しますので、一つ手前の枝下インターから案内看板に従って行くと比較的スムーズに行くことができます。
香嵐渓の紅葉は作られたものでその名は…
ちなみに、これらの紅葉は人為的なもので、香積寺の住職が江戸時代に植えたと伝えられていて、「香嵐渓」という名は、1930(S5)年に香積寺の住職が当時の大阪毎日新聞社の社長に命名を乞い、名づけられたものなのだそうです。
ああ、だから、名古屋の紅葉スポットでは必ず見かける、中日新聞の広告の旗がここでは掲げられていないのですね。そのあたりは名古屋らしくないなぁ~って、それは考えすぎですね。でも、中日新聞に命名を依頼していたら、どんな名前になっていたことやら。
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