- 長浜と名古屋、長浜と瀬戸とのつながりとは
- 鯖そうめんと三姉妹なさつま芋きんつば
- 元祖男の娘?女装信長ゆかりの赤こんにゃく
「秀吉の作ったまち」というキャッチコピーがついている、琵琶湖の北東に位置する街・長浜市。今回はそんな長浜の中心部を歩きながら、おいしいものをいっぱい食べてみることにします。
秀吉が作った長浜・「長」の意味とは?
まず、なぜ秀吉が作ったまちと呼ばれるのかと言いますと、以前レポートしましたように、江の生まれた小谷城が落城し、それまで北近江を治めていた浅井氏が滅亡します。すると、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)は活躍が認められて、北近江の地を与えられます。
そして、藤吉郎は羽柴秀吉と名乗るようになります。しかし秀吉は、小谷城よりも、湖上交通の要衝となる場所に城を作ることとし、翌年「今浜」という町に城を完成させ、その名を「長浜」に変え、城下町を形成したのです。
この長浜の「長」が何を意味するのかは、もうおわかりですよね。そう、一説には、信長へのゴマすりと伝えられています。さすが名古屋っ子秀吉ですね。
そんな長浜の街を南北に走る旧・北国街道沿いには、古くからの黒漆喰の建物がたくさん残っており、それらを生かして「黒壁スクエア」という観光スポットが形成されています。行ってみましょう。
長浜がガラスの街になった意外な理由
黒壁スクエアのなかでも、歳を重ねた建物と洒落たショップが融合して、レトロでモダンな空間が形成されているのが、昨年オープンしたばかりの回廊「季織の小径(ときおりのこみち)」です。
回廊沿いには、秀吉とは別の、もうひとつの長浜の顔であるガラスのショップがずらり。また、工房も併設されているため、ガラス細工を製作している様子も見ることができます。街の至るところにガラスのオブジェも配されていて、透明感のある作品と漆黒の建物の対比も見ものです。
さて、ガラスといいますと、最近では外国産の原料を使うことも多くなったようですが、国内では瀬戸市がその生産量日本一を誇っています。ここでも、この地方と長浜のつながりを発見することができました。
ではなぜ、長浜がガラスが有名なのでしょうか。長浜がガラス事業に取り組んだ理由はなんと、「人が集まりそうだから」。
意外と、ミーハーな理由だったんですね。でも、黒壁の建物とガラスって相性いいかも。
見た目こってり実はしっとり-焼鯖そうめん
それでは、長浜グルメを食べましょう!まずやってきましたのは、焼鯖そうめんの「翼果楼(よかろう)」です。
かつて、福井の若狭から京都へと鯖を運んだ鯖街道からは、長浜は外れるものの、琵琶湖の交通網を利用して、長浜にも古くから鯖は入ってきていたのでしょうね。嫁いだ娘のもとへと焼鯖を届ける「五月見舞い」という風習が古くからあり、その焼鯖とそうめんを炊き合わせて作られたのが、「焼鯖そうめん」です。
焼かれた鯖とそうめんがしょうゆベースの煮汁で炊きあわされているため、見た目には、そうめんもしっかりと濃い茶色となっていて、これは濃そうだな…と思いつつも口に運んだらこれが違う。
しっとりとした食感とともに、とてもやさしい風味が口のなかいっぱいに広がって、ほんわかした味わいでした。くどくもなく、薄くも無く、本当に絶妙な味加減でおいしかったです。嬉しいことに、テイクアウトがあります。
ひとつ注意しなければならないことは、この「翼果楼(よかろう)」、一見、正面に見える北国街道沿いの商品ディスプレイあるところは勝手口で、正面入口は右手奥の路地を入ったところにありますので、お間違いなく。
芋も三姉妹?全然違う!さつま芋のきんつば
ちょっと甘いものも食べたいな~と思った瞬間、焼鯖そうめんのお店のはす向かいにちょうどあったのが、「元氣や・芋平」。おいしそうな芋きんつばが焼き上げられていました。
見ると、なんとさつま芋のきんつばが3色。
いわゆる、普通のさつまいもと同じ色をしているのが「屋久島高貴いも」、それよりもオレンジ色が強いのが「紅隼人いも」。紫色をしているのが、幻のさつまいもと呼ばれているという「種子島紫いも」を使ったものです。
これが、それぞれに、全然味が違うんですよ。屋久島高貴いもは「ほっこり」、紅隼人いもは「コクのある甘さ」、そして種子島紫いもはさすが、幻のさつまいもと呼ばれているだけあります。これまでに食べたことの無い味でしたね、深みがあるといいますか。どれも熱いお茶とピッタリ。
さすが浅井三姉妹ゆかりの地、芋きんつばも三姉妹…かと思いきや。それぞれの芋きんに押されていた焼印は、全て「江」でした。あ、そこはやっぱり江頼みなのね。
信長の女装が由来?つまり男の娘こんにゃく?
最後に、名物としては近江八幡のものになるのですが、長浜の街で見かけて、思わず買ってしまったのが、「ダイエットにもご利用下さい。」というキャッチフレーズで売られていた「赤こんにゃく」です。
見た目には、その名のとおり赤いこんにゃくでして、その赤さは三二酸化鉄でつけられているので、食物繊維やカルシウム、鉄分が補給できるという優れもの。特に女性には鉄分は嬉しいですよね。しかもカロリーゼロですから、「ダイエットにもご利用ください。」なわけです。しかしこの「ご利用下さい」がなんかツボにはまってしまって、おかしかったです。だって「ダイエットに最適!」「ダイエットに効果的!」の方が…あ、そうか、「ご利用下さい」なら、効果効能の表現にひっかかるリスクゼロだからか。
近江ではこの赤こんにゃくを、冠婚葬祭のときはもちろんのこと、普段から食卓に並べるそうです。さっそく、醤油で甘辛く炒めていただきました。味は普通のこんにゃくですけれども、栄養分があるのは、確かにうれしいですね。
さて、この赤こんにゃく。実は、女装した織田信長が作り出したという説があるのです。
近江八幡では毎年3月に「左義長まつり」が開かれるのですが、そこに織田信長が踊り出した際、信長はなんと女装、しかも天女の格好で登場して祭りを盛りあげ、それ以降、町の男たちも女装して山車を担ぐようになったと伝えられていて、信長は、その祭りで山車に飾られる赤紙の飾りつけのように、こんにゃくも赤く染めさせたというのです。
信長…女装趣味があったのか…。まさしくこれは、元祖男の娘ですね。それから450年。左義長まつりでは、踊子は女装をするという伝統がずっと続いていたそうなのですが、近年は次第に普通になってきたとのこと。
いやいや「男の娘」の時代の今こそ、その伝統を踏襲した方が、いいんじゃない?
長浜から近江八幡に話が飛んでしまいましたが、長浜の食べ歩き、楽しかったです。ただ、鮒寿司だけはちょっと手が出ませんでした。イメージもありますが、何より、冒険するには値段が高くて…。今度来た時には、挑戦してみようかな。
では、北近江の旅最後は、おとなり米原市の醒ヶ井へと向かいます。楽しくておいしい、とびきりのスポットです。いろいろとびきりです。
関連情報
取材協力
・樋口正孝さん
コメント
私も2週間前に長浜・小谷城跡に行ってきました。
雨が降った翌日の日曜日で、もやのため伊吹山が見えなかったのですが、ガイドの案内で小谷城跡の説明がとてもわかりやすかったです。
焼鯖そうめん、私もいただきました。
シャトルバスで行ったせいか、行けなかったのですが、小谷山の近くに須賀谷温泉があるのですが、時間があれば温泉につかりたかったです。
>チャンさま こんにちは
長浜と小谷に行かれたのですね~!
小谷城はやっぱり、ガイドさんの案内があったほうが、
わかりやすいですよね。
私も温泉には入る時間が無かったのですが、
できれば、ゆっくりしたかったですね~。
そして、焼鯖そうめんは、やっぱり外せないですよね。