- 質問する霊仙山から湧き水で養殖された魚たち
- 釣ってそのまま食べられる!
- すごい新鮮!すごいおいしさそしてああ…目が覚めた
今年のNHK大河ドラマ「江」にちなんで、長浜を観光してきましたが、続いてはお隣の米原市に足を伸ばして、楽しい&おいしい体験をしようと思います。
やってきましたのは、美しい清流を利用してマスなどを養殖している「滋賀県醒井養鱒場」です。この東洋一の養鱒場は、川魚とふれあえるだけでなく釣り体験ができ、さらには釣った魚をその場で調理してもらっていただけてしまうというスポットなのです。
ただし、釣り体験には要注意事項があります。楽しすぎると大変なことになります…。
清流をたたえる山からの質問
JR醒ヶ井駅前にて、国道21号線の右折レーンもないような交差点を南方向に曲がり、県道17号を走っていくと、峡谷のなかに現れるのが「醒井養鱒場」です。県道17号は多賀町まで繋がっていることになっていますが、実際には分断県道のため、その先は林道となり、車は通れなくなる自然豊かな場所です。当然、私の使っている携帯電話キャリアは完全に圏外です。
400円の有料駐車場に車を停めて正面入口へ。するとバス停に、「霊仙はあなたに質問します!!」という勢いのある看板が。それは、登山者への警鐘を鳴らすものでした。きっと、意外と遭難者とかが出てるのでしょうね…。
そんな霊仙山のふもとから湧き出す清流を利用して、川魚を養殖しているのが、この養鱒場です。
正門入口で、駐車場代400円プラス入場料金大人400円を支払っていざ入場です。ええ、これがまずは入場だけにかかる費用です。
まずは魚たちとふれあってみよう!
入口では、魚たちにあげるためのエサが売られています。それを手にまずは「親魚養成池」へ。ここではニジマスとイワナが飼育されていて、ニジマスの池につけられているナトリウム灯は、産卵時期をコントロールするためのものだそうです。
エサを池に投げ込むと…すごい勢いで魚たちが奪い合いです。いつぞやの、種まき権兵衛の里のコイたちを思い出します。
この「醒井養鱒場」の歴史は古く、明治時代にさかのぼります。1878(M11)年に琵琶湖特産のビワマスを増殖させることを目的として、県営ふ化場として開設されたのが始まりで、その後一時民営化されるなどの紆余曲折を経て、1929(S4)年にニジマス養殖振興のための種苗生産基地として県の施設となったとのこと。
試験研究や調査事業、技術者指導をメインとしていますが、それだけでなく、一般の人にも観光施設として楽しめるように、水産の普及啓発をはかれるようにという活動も並行しているそうなので、そのあたりを中心に今回は楽しんでみたいと思います。
さすが水産の普及啓発を兼ねているだけあって、地元の子どもたちが遠足としてか社会見学としてかはわかりませんが、この日はたくさん訪れていました。一方、観光施設としての色合いを出すためか、「水のモニュメント」や、地元・上丹生地区の伝統工芸である木彫の作品「醒井の四季」といった芸術作品も展示されていました。
彫刻作品の方は大迫力でしたが、水のモニュメントは私たちには難解でした。
完全出来高制の釣り体験!
さて、この醒井養鱒場で一番のお楽しみといえば「つり場」での釣り体験です。1人につき100円で釣竿とエサを利用することができます。
しかし、ここで要注意です。
釣った魚は、全て買い取らないといけません。釣り上げた魚を故意に池に戻した場合は、1尾につき5000円の罰金を徴収されてしまいます。
買取料金は、「塩焼きサイズ」の池の魚は一律1尾250円、それ以外のサイズの池の魚は100グラム150円となっています。「塩焼きサイズ」という区分けが、もう食べること前提になっていて清々しいですね。
まあそもそも、養殖する目的は食べるためですから、当たり前のことなんですけれども。
つまり、釣り体験と言っても、釣った魚は自分たちで買い取らないといけないわけです。持ち帰ることもできますし、場内の料理店で調理してもらうことも可能です。もちろん持ち帰るための保冷箱も別途有料ですし、調理代金も別途有料です。
ただ、クーラーボックスを持参するのは自由だそうです。では、いざ釣り体験です。
塩焼きサイズの池にも2種類ありまして、片方はニジマスだけの池、もうひとつはイワナ・アマゴ・ニジマスたちがいる池です。
いざ釣りにチャレンジ!
相方がねりエサを針につけて、いざチャレンジ!したのですが…これがなかなか、食いついてくれることはくれるのですが、エサだけを奪って逃げられちゃうんですよね…。「故…故意に逃がしてるわけじゃないよ、疑われないかな…」とビクビクしていたら、ちゃんと係員の方にしっかりマークされていましたので、逆に大丈夫でした。
両方の池から1匹ずつ釣ったのですが、結果として両方ともニジマスでした。さあ塩焼きに…と思ったら相方が「大きい方も釣りたい」と…。え?
そうして見事、相方は1キロの魚を釣り上げ、係員の方にタモですくってもらってゲットです。こちらもやっぱりニジマスでした。
釣り上げた魚は、その場でしめてくださって、内臓も処理してくれますので、確かに、このままクーラーボックスに入れて持ち帰ることができます。私たちは、そんな用意はしていませんので、ここで調理していただくことにします…が、その前に、魚の買取です。
塩焼き用サイズが2尾で500円。そして1キロのニジマスは1500円です。
これ、楽しさに負けてどんどん釣り上げると、後に青ざめることになりますね。
お店で調理してもらっていただきます!
では、そのニジマス3尾を持って、場内の料理店へ。お店自体はたくさんあるのですが、この日営業していたのは「活鱒料理・ます寿しの美ます」だけでしたので、そちらで調理してもらいます。
店員さんが「大きい方はどうしましょう?」と聞いてきたところで、相方は即答。「全部刺身で」
その一言に、店員さんも「えっ」、私も「えっ」。
いくら刺身がたらふく食べたいからって、1キロの魚を全部刺身って…、そして相方は結局、店員さんに説得され、刺身とフライの半々にしてもらうことに納得したのでした。
まずは、塩焼きと刺身がやってきました。
同じ塩焼きサイズといっても、2匹の大きさは結構違っていましたので、塩焼きのボリュームも違います。このあたりも、釣り上げる際に個体選別をしたいところですが、あの、マスたちのパクつき具合からそれは相当困難です。
さすが新鮮。焼き上がりの身がぷりっぷりで、脂がしっかりのっています。そのままでもおいしいですし、お酢でいただいてもうーんたまらない!
そしてお刺身。半分でもすごいボリュームです。相方もこれで納得。
あざやかなオレンジ色、肉厚な刺身を口に運ぶと、もう…とろけちゃいますね。なのに歯ごたえはしっかりあるところがさすがですね。あー、日本人で良かった、魚を生で食べる文化で良かった。そこまで思えました。
ちなみに。焼魚の方は身が白いのに、刺身がオレンジ色なのは、成長して色が変わるとかではなく、エサによって身の色を変えるのだそうです。まあ確かに、刺身はこの色の方がおいしそうですし、塩焼きも白い方がおいしそうに感じますよねなんとなく。
続いてはフライです。一般に、普段スーパーなどで買う魚のフライを想像していると、これは本当に度肝を抜かれますよ。カラっと揚がった衣の油と、魚の脂がケンカすることなく、サックリそしてしっとりほくほく。お店に備え付けだったソースでももちろんおいしかったのですけど、タルタルソースなんかつけても、これはたまらないでしょうねぇ。
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鱒といいますと、これまで富山名産の鱒寿しでいただくことが多かったのですけど、刺身に塩焼きにフライと、鱒づくしはどれも新鮮な味でたまりませんでした。そりゃそうですよね、少し前まで水の中を泳いでいたのですから。
さて…。もちろん、食べた後はお支払いです。加工費は、塩焼きが1尾250円、それ以外が100グラム200円…。
(今回いただきませんでしたが、寿司は7貫につき100円さらに上乗せです。)
醒井養鱒場。
とびっきり楽しく、とびっきりおいしかったですが、まあ、駐車から入場から釣りから料理まで、いろいろ合計するととびっきりなことになりました。
さすが醒ヶ井。目の覚めるような楽しさ、目の覚めるようなおいしさ、そして目の覚めるような…。
さあ、滋賀県の観光振興に貢献(?)したところで、次回はまとめです。湖北を旅して思ったこと…滋賀ってそこがスゴいとは思うんだけど、なんでそれでいつもトラブるの?です。
関連情報
取材協力
・樋口正孝さん
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