イベントレポート

妖怪フェスティバルinドーム2008-ナゴヤドームで恐怖と畏怖とそして神秘

記事公開日:2008年8月26日 更新日:

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 ナゴヤドームにこの夏、妖怪が出没する...というわけで、8月20日から27日まで、東海テレビ放送開局50周年記念イベントとして開かれている「妖怪フェスティバルinドーム」に行ってきました。当初は初日に行こうと思っていたのですが、思わぬ家族の入院で行けなくなってしまい、退院して落ち着いた26日の火曜日に行ってきました。

 実はこの夏、私は鳥取県境港市の水木しげる(先生)ロードに行ってきまして、妖怪まみれになってきたところでしたので、まさに妖怪の夏!となりました。

 妖怪といえば鬼太郎。今年も映画が公開されて人気なんですけど、私はどこかやっぱり妖怪に対して怖いという思いを抱いているのです。しかし今回はあえて一人で行ってきました。ナゴヤドームですし、そんなにたいしたことは...と思いながら一歩足を踏み入れると...。

どうしちゃったのナゴヤドーム

 いつものナゴヤドームとは全く趣が違います。全体がほの暗い...。でもまあ、夏休みということで子どもたちの姿も多く、結構賑やかです。足元に気をつけながらフィールドへ。

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 会場のあちこちに、泥田坊、ガシャドクロ、八日市のいましめ妖怪「がおう」などのオブジェが。やっぱり、イベントとはいえちょっと怖い。

 でもちょっと待てよ。いましめの妖怪に対して怖いという感情を抱いてしまうということは、今の自分自身の生き方に後ろめたさを感じているということか...。こ、怖くなんかないや!

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上空から見下ろすオヤジさん

 会場でひときわ目立っているのが、空中に浮いている大凧「妖怪地大凧」です。これは2004(H16)年に滋賀県八日市市(現・東近江市)で開催された「第9回世界妖怪会議」において、開催成功を祈念して制作されたもので、八日市大凧にちなんで妖怪地大凧と名づけられ、水木しげる先生によるデザインとなっています。

 さらに、会議に出席した京極夏彦さん、荒俣宏さん、多田克己さん、唐沢なをきさんのサインが書き入れられています。七つの海を股にかける目玉のオヤジさんの壮大さにビックリ。オヤジさんをはじめ、妖怪たちが会場を見下ろしています。

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鳴り止まぬ悲鳴

 会場内には、「最恐!都市伝説ホラーハウス・あきら」「怨念迷路・シャッター」といった、お化け屋敷系の有料アトラクションがあったのですが、悲鳴が鳴り止むことはありません。もちろんこれは用意されたテープなんかではなく、実際にお客さんが叫んでいる悲鳴でしょう。

 その昔、軽い気持ちで東京ジョイポリスの特設ホラーハウスに入った際、本当に文字通り度肝を抜かれてしまい、私はそれ以来こういうアトラクションには入らないと心に決めています。ましてや、一人でなんて絶対無理無理無理。

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ステージイベントも豊富

 会場内には、ドームの座席を利用した「妖怪メインステージ」が設けられていて、私が訪れた時間には「ゲゲゲの鬼太郎」第1シリーズ第1話の「お化けナイター」と、東海テレビのアナウンサーによる朗読会を見ることができました。

 お化けナイターはこの場所にぴったり。ストーリーそのものは、結構大団円で、第1シリーズによく見られるおどろおどろしい感じは無く胸を撫で下ろします。内容以前にまず、白黒映像というのが怖い。

 アナウンサー怪談朗読会では、小泉八雲作「怪談」から、斉藤誠征アナによる「策略」と「葬られた秘密」。そして藤本晶子アナによる「貉(むじな)」を聞くことができました。朗読は東海テレビのサイトでもご覧になれます。(※最下部にリンクしておきます)

 この地方、いや、日本で最も妖怪に造詣の深いアナウンサーであろう、三重テレビの一色アナウンサーの朗読も聞いてみたかったな。

 朗読された作品「怪談」の小泉八雲さんは元々外国人ですけど、日本へはまず島根にやってきてるんですよね。そして水木しげる先生は鳥取。島根・鳥取の山陰は特に妖怪が多いのでしょうか。確かに、神話も多く残されている場所ですし、日本の原風景とも言える景色がたくさんありましたから、感受性が強いとビビっとくるものがある地域なのかもしれません。

 もちろん私もこの夏、山陰でビビッと来るものがありましたよ!ということにしておきます。

鬼太郎博物館で猫娘に複雑な思い

 妖怪メインステージ近くには、妖怪専門ムック「怪」編集部や、荒俣宏さん、京極夏彦さん、水木しげる先生らによるコレクションが展示されています。荒俣さんのコレクションは世界中に伝わる妖怪的なものの人形やフィギュアなどで、これまた独特な空間が形成されていました。

 そして、鬼太郎博物館のコーナーでは、第1作から最新作まで、テレビアニメの設定資料や台本、セル画などが展示されています。私は幼少の頃によく第2作を再放送で見ていましたね。「♪カラ~ン、コロ~ン」というエンディングを聞くと思わず、あぁ、そろそろ夕方5時か...という気持ちになってしまいます。

 それにしても、前々から思ってるんですけど、最新作の猫娘の変貌ぶりには思わず絶句です。どう見てもツンデレ系キャラのデザインです。しかも聞いた話では、ハイビジョン画面の端っこに限って、猫娘のパンチラサービスショットもあるそうです...。

 つまり、アナログ放送でご覧の方にはパンチラはありません。

 これも地デジ推進策のひとつでしょうか...。ゲゲゲの鬼太郎のアニメも変わりましたね...。

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水木しげる先生コーナー

 水木しげる先生のコーナーには、雑誌の表紙などに描かれたカラーの絵と、「大水木しげる展」のために描かれた、「水木しげるの人生絵巻」が展示されています。水木先生がこの世に生を受けた時から、水木しげる記念館が開館するまでの波乱の人生が絵巻物になっています。

 先日、境港の記念館を訪れたので、このあたりもしっかり予習してきました。先生は結構若いころ苦労されているんですよね。しかも、やりたくないことはやりたくないと、昔からはっきりされている方で、生き方にあこがれます。最近では先生自体が妖怪なんじゃないか...ということになっていますが...。

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妖怪のミイラに江戸時代の絵

 入場無料の「妖怪大博覧会」では、江戸時代から現在まで、様々な形で伝えられてきた妖怪にまつわる品がずらりと揃い圧巻です。

「百鬼夜行」に「化け物づくし」と、江戸時代の豊かな表現に思わず見入ってしまいます。しかもそこにあるのが江戸時代の実物なのですからね。

 さらには妖怪が描かれた着物や絵馬なんかも。妖怪というと「怖い」というイメージがどうしても私のなかで強かったのですが、昔から信仰の対象でもあり、身に着けるというキャラクター性もあったりしたのですね。意外でした。

 そして目玉は、妖怪のミイラと頭蓋骨。「竜」の頭蓋骨に、「人魚」「雷獣」「件(くだん)」のミイラはゾクゾクしました。だって、目の前に本物の妖怪のミイラがあるわけですから。自分のなかにある、空想と現実を隔てる壁が今にも崩れそうな感覚になれました。雷獣、かっこよかったなぁ。

ぐるっと見渡します

 他には、東海地方によく出没するという、妖怪が100体描かれた水木プロ公認の車「百鬼夜号」の展示や、世界妖怪会議が今年行われた東映太秦映画村に、水木先生の出身地鳥取県など、妖怪に関係するブース。妖怪絵画コンクールに、お子さま向けの「ゲゲゲの鬼太郎」アトラクションも。このアトラクション内にある「ゲゲゲの森」には、鬼太郎、猫娘、ねずみ男のオブジェがあり、撮影スポットとなっていました。

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その名も冥土のみやげ屋...

 ぐるっと全体を見渡しましたので、その名も「めいどのみやげや」でお買い物です。と言いましても、先日境港で結構鬼太郎グッズは買いましたので、そんなに買うものは無いかな...と思っていたのですが...。

 妖怪に詳しい友人に、「カレーがオススメ」と言われたので、目玉のおやじのカレーを買います。これって、あのレトルトカレーにパッケージが似せて目玉のおやじなのかな...と思いつつ。

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 他にもキャラメルとかキャンディとかいろいろ買っちゃいました。鬼太郎関連のおみやげって、食べ物関係でも、書いてある言葉が面白いのですよね。パッケージにショートコントみたいなマンガが載っていたり、クッキーに言葉が書いてあったり。

 やっぱりそのへんは、妖怪は教訓を伝えるものという思いがあるのかもしれませんね。

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目玉のおやじを食らう!

 ちょっと小腹が空いたので、妖怪屋台「笑家」で「目玉おやじ団子」を購入。うーん。これは色使いどうこうよりも、おやじを口に入れるようで、思わずちょっと躊躇してしまいます。

 意外と大きくて食べ応えがありました。味は甘めなのにダシが効いている不思議な味。躊躇したあと実際に食べる際、裏向きにしたのは内緒。

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ねずみ男のご利益?

 会場内には、他にも妖怪ボディペイントや、水木しげる先生の版画販売など、史上最大妖怪グッズショップがあるのですが、そこに挟まれてひっそりと存在していたのが「ねずみ男大明神」。

 ねずみ男って、なんだかずる賢くで調子よくて、昔はあまり好きになれないキャラだったのですが、いざ自分が大人になってみると、とても親しみが持てるようになってしまいました。自分もいつの間にか調子のいい奴になってるんだろうな...。

 しかし、ねずみ男に願い事をして叶うか?と半信半疑でいると...。

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 会場内をウロウロしていた鬼太郎とねずみ男に遭遇!大明神、意外とご利益あるじゃん。お参りして無いけど。

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 この鬼太郎やねずみ男たちは、境港からこのイベントのために名古屋までやってきています。境港ではねずみ男にしか会えなかったのですが、今日は鬼太郎に会えました。これもねずみ男大明神のご利益?でもなんか、目の怖い鬼太郎だったなぁ。

カワイイ!と思ってもいいですか?

 ちょうど今、東海テレビでは新作の「ゲゲゲの鬼太郎」が放送されていますし、映画も公開されたということで、旬な「妖怪」を、東海テレビは50周年記念事業として持ってきたのだと思いますが、妖怪好きな人に言わせると、妖怪をこのような集客イベントとして扱うのには難しさがあるのではないか?とのこと。

 確かに、妖怪って奥が深くてちょっと怖くて、いわゆる集客の見込めるキャラクターイベントとは一線を画しますし、誰か個人の創作物というだけでもなく、各地にある民間の伝承という、どこかあまり深入りしてはいけないような、それでいて教訓を人間に伝えるような、さらには信仰の対象であったりと、軽々しく扱えるものではないですよね。

 その反面面白かったのが、展示物のなかに1931(S6)年の「お化け大会」という妖怪イベントのチケットがあって、そこに「グロとナンセンスの世界」というキャッチコピーがつけられていたことや、昔のかわら版や新聞に妖怪が登場した記事などです。戦前には既に妖怪が、子どもたちの楽しみとか、大人の興味を惹くものであり、その対象となった実物が目の前のあることのすごさが感慨深かったです。

 なんといいますか、こんなことを言ったら妖怪好きの方に怒られてしまうかもしれませんが...。

 実は妖怪って、その昔からいわゆるキャラクター要素も充分に持っていて、怖い一方でかわいらしさや愛嬌を感じさせる部分もあって、そこに魅力を感じた人も多かったのかもしれませんね。妖怪を怖いと感じる私も、鬼太郎と同じ水木先生原作のアニメ「悪魔くん」に出てくる妖怪「百目ちゃん」には、見た目の怖さとは別の愛くるしさを感じたものです。

 神秘性を持ち、恐怖と畏怖を感じさせ、教訓じみたことを言うのにその一方で愛くるしい、妖怪って一体何なんだろう。そんなことを考えていると、妖怪にハマりそうで、これまた怖い。

関連情報

妖怪フェスティバルinドーム
アナウンサー怪談朗読会(東海テレビ)


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