あそこだけに行列のできるヒミツ 積極的に行きたいと思っているわけでもないのに…
今回取り上げる名古屋で必ず行列ができるお店。それはとびきりおいしいラーメン屋さんでも、限定のランチメニューを出すお店でもありません。その行列は毎日できるものではなく、毎月ある特定の日にだけ発生します。しかもその行列は愛知県各地で見ることができ、同業者がガラガラなのにもかかわらず、愛知県の人は皆、時間のかかるその行列に並びます。
はっきり言って根に持ちます 震災の義援金で分配する金額を名古屋はどう決めたのか…
前回は都市銀行の話題でしたが、その中で「さくら銀行」と「住友銀行」が2001(H13)年4月に合併して「三井住友銀行」を誕生させたというお話をしました。この合併を快く思わなかったと思われる企業が愛知県にあります。それはトヨタ自動車です。トヨタ自動車は、昔から東海銀行とさくら銀行の2行をメインバンクとしていました。そのためこの地方にしては珍しく、さくら銀行は地方都市にもかかわらず豊田市に支店を構えていました。ということはつまり、トヨタ自動車は住友銀行のことを良く思っていなかったのです。それどころではなく「出入り禁止」となっていたのです。一体何があったと言うのでしょうか。
「いつかは…」自動車王国のステータス 車は乗り換えるたびにランクを上げて
前回はトヨタ自動車について書きましたが、トヨタでふと思い出したことがいろいろとあったので今回も自動車にまつわるお話です。以前にも名古屋が自動車王国であるというデータを出したことがありますが、もう一度見てみましょう。愛知県は自家用乗用車数1位、一般道路の実延長3位、道路の舗装率は87.7%で11位、自動車の通行量は東京・大阪の1.25倍(以上H11年データ)、そして交通事故死亡者数は3位(H15年)となっており、この数字を見ただけでもいかに自動車社会であるかということがおわかりいただけると思います。
意地の張り合い?名鉄VS名市交 名古屋市内は市営交通で一元化したかったのだけれど
名古屋御三家という言葉をご存知でしょうか。これは「東海銀行、名古屋鉄道、中日新聞」のことで、昔から名古屋っ子のエリートと言えば、名古屋大学を卒業してこれらの企業に就職した人のことを指しました。東海銀行についてはご紹介しましたので今回は名古屋鉄道(名鉄)について見てきたいと思います。名古屋御三家名古屋っ子が東京や大阪に行って驚くのは、その路線の多さです。しかも様々な会社の電車が走っています。東京なら京成、東武、西武、東急、京王、小田急、京急...。大阪なら近鉄、阪急、南海、阪神、京阪...。さらに各社に複数の路線があったり地下鉄と乗り入れしていたり、もうパニックです。
「名古屋のテレビ」とは何を指すのか 見ている番組が地元制作なのかどうかが気になる
名古屋御三家、東海銀行・名古屋鉄道、そして残るは中日新聞なのですが、その前に新聞よりも接する時間が多いメディアであるテレビについて見ていきます。今まで紹介してきた銀行・自動車・鉄道といった企業とテレビ局の大きな違いと言えば、完全なるローカル企業が存在しないということです。つまり、名古屋にあるテレビ局とは言え東京や大阪から流れてくる番組が大半を占め、名古屋の番組だけをやっているテレビ局というのは存在しません。
メ~テレに感じる違和感 よそから見るとその違和感こそが名古屋の違和感かもしれない
名古屋にあるテレビ局のなかで、なぜメ~テレ(名古屋テレビ)だけに違う空気が流れているのでしょうか。と考えるのは、ずっと名古屋に住んでいる私の発想だからであって、他の地域から名古屋にやってきた人に言わせると、なぜ名古屋のテレビはこれほどまでに中日新聞一色なのかと逆のことを言います。
キャッチコピーは明快「新聞は中日」その影響力は名古屋全体に及んでいるから
新聞は中日これは、名古屋市内を走るラッピングバスに書いてある言葉です。それはもちろん中日新聞の広告なのですが、他の新聞があれこれキャッチコピーを練っているのに比べ、実に単純かつ傲慢に見えるかもしれませんが、実際この地方での中日新聞のシェアは圧倒的で、新聞と言えば無条件に中日のことを指します。
あれもこれも実は名古屋の味 実は全国の人も食べている名古屋のメーカーの製品
缶コーヒーでおなじみのポッカコーポーレーション。名古屋市東区に本社を構える名古屋企業です。コーヒーだけでなく「じっくりコトコト煮込んだスープ」といったインスタント食品でもおなじみです。他の飲料メーカーに比べると、街角で自動販売機を見掛けることは少ないかもしれませんが、今や当たり前になった「つめた~い」「あったか~い」と両方書かれた自動販売機を開発したのはポッカなのです。1973(S48)年、それまでジュースの自動販売機は冷却機能のみで保温機能はありませんでした。ポッカは「ホット/コールド型自動販売機」の開発に成功し、季節を問わずコーヒーを安定して販売することを可能にしました。コーヒーをメインにしているメーカーだったからこそ、ひとつの自販機で両方を販売したいという思いが強かったのではないでしょうか。
世界に広がる名古屋調味料 全国どころか海外にも広がっている名古屋メーカーの味とは
前回は井村屋製菓が食品パウダーを製造しているという話題を取り上げましたが、それを専業にしているのが知多郡武豊町に本社を置くユタカフーズです。液体から粉末までさまざまな風味調味料が作られています。「赤いきつね」と「緑のたぬき」でおなじみのマルちゃん・東洋水産の受託製造を行っているので、あなたが食べているマルちゃん製品はひょっとすると名古屋の味かもしれません。他にもユタカフーズは醸造技術を生かした様々なつゆやたれを製造しています。
お菓子なおかしな?名古屋の話 駄菓子のメーカーから問屋そして独特なお菓子文化
名古屋は全国でも有数の駄菓子の産地です。もちろん、名古屋以外にも駄菓子のメーカーはたくさんあるのですが、名古屋の場合は西区明道町に「中京菓子玩具卸市場」があったことから一ヶ所に駄菓子問屋やメーカーが集中していて、戦前から駄菓子の街が形成されていました。また名古屋では結婚の際、新婦を家から送り出す時と、新婦を新郎の家が迎え入れる時に近所の人達を集めてお菓子を撒く「菓子撒き」という風習もあり、名古屋とお菓子には密接な関係があります。私も幼少の頃、近所で菓子撒きがあると聞くと友達と出かけたものですが、さすがに最近はあまり見かけなくなってしまいました。近所に袋詰のお菓子を配ることで、菓子撒きを簡略化することも多いそうです。
ところがあなたと関係してる 名古屋の会社と関係せずには生きてはいけない
愛知県は工業製品の出荷高が日本一です。しかも24年連続です。トヨタ自動車がこれに大きく寄与しているのは当然ですがそれだけではありません。日本のものづくりを支える名古屋では一体何が製造されているのでしょうか。モノ作り日本一の名古屋・自動車以外に何が作られているのか。愛知県で作られている乗り物は自動車だけではありません。手動式車いすやヘリコプターも日本一の出荷高を誇ります。他にも日本車両では新幹線や電車、さらに三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所ではロケットが作られています。アメリカのアポロ11号が月面着陸に成功した1969(S44)年、日本は大型ロケットの開発に取り組み始めます。当時はアメリカから技術導入を行い、1975(S50)年にはN-1ロケットの打ち上げに成功しました。その後、N-2、H-1と次第に国産化率を上げていき、1994(H6)年にはとうとう100%国産、つまり100%名古屋で作られたH-2ロケットが誕生します。
コンビニは、あっちもいいけど 名古屋発のローカルコンビニが強かった
さて今回からは、名古屋の流通事情を見ていきたいと思います。国内最多店舗を誇るセブンイレブンさえも、名古屋に進出したのはここ最近のことで、数年前の名古屋では誰も知らないコンビニエンスストアでした。ここ最近、コンビニではセブン・イレブン、家電ではヤマダ・コジマ、そしてホームセンターではカインズ・デイツーといった外部資本が続々と名古屋に攻勢をかけていますが、それらから牙城を守る名古屋地盤の流通企業を見ていきたいと思います。
飛び立てなかった鳩は今ようやく 紳士協定で名古屋に進出していなかったあのスーパー
ユニーは名古屋っ子にとって、昔から身近な大型スーパーです。ユニーは1971(S46)年、ほていやと西川屋チェンが合併して誕生した会社で、当初は「ユニー」というショッピングセンターのみの業態だったのが、1977(S52)年にスーパーマーケット「ユーストア」、1984(S59)年にはコンビニの「サークルK」、ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア(GMS)の「アピタ」と、業態を広げていきます。近年ではユニーをアピタに業態替えするところも多く、立地に合わせてユニー・アピタ・ユーストアを展開しています。ユニーとアピタは茨城県から奈良県の範囲に。そして別会社のユーストアは東海4県と滋賀県に展開しています。ユニー単独でもスーパー業界全国4位の売上を誇ります。エリアが限られているにもかかわらずこれだけの売上があるということは、東海地区でいかに力を持っているかと言うことがわかります。
世界を熱くするのも冷やすのも 電気やガスでも名古屋の企業は大活躍
現在では、トヨタ自動車が名古屋を代表する企業として扱われるようになりましたが、長い間名古屋の財界を牽引してきたのはこの「名古屋五摂家」です。名古屋っ子の松坂屋信仰については以前触れましたので、残る中部電力と東邦ガスについて見てみましょう。名古屋五摂家の内紛?中部電力と東邦ガスは、地域のエネルギー会社として長年安定した立場を保持してきましたが、近年状況は変わりつつあります。まず中部電力ですが、電力の自由化により、今後は関西電力など他地区の事業者が名古屋に進出したり、他業種の電力事業参入などが認められるようになり厳しい時代を迎えました。そこでオール電化やエコアイスといった、今までガスが役割を担ってきた部分に、電気を使ってもらおうという動きが加速しています。
結局生かせない?名古屋のいいところ もっと名古屋であることをアピールすれば…
名古屋の企業をいろいろと見てきましたが、UFJ銀行はもはや名古屋の企業とはいえない状態になりつつありますし、中部電力や東邦ガスといったエネルギー供給企業はローカルの域を脱することができません。また、中日新聞やテレビ局といったマスコミや、ユニーといった流通は、東京へ進出している部分はあるものの、全国区企業とは言えません。対して、カゴメやポッカといった食品企業は紛れも無く全国区企業ですし、トヨタ、ブラザーなどのメーカーは全国区どころか、世界的な企業となりました。