あれもこれも実は名古屋の味 実は全国の人も食べている名古屋のメーカーの製品

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名古屋の味。と言っても名物ではなく、名古屋を発祥として全国に広がっているものがあります。全国に通用している名古屋の味ということで、今回は名古屋を発祥とする食品企業を見ていきます。

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缶コーヒーでおなじみのポッカコーポーレーション。名古屋市東区に本社を構える名古屋企業です。コーヒーだけでなく「じっくりコトコト煮込んだスープ」といったインスタント食品でもおなじみです。他の飲料メーカーに比べると、街角で自動販売機を見掛けることは少ないかもしれませんが、今や当たり前になった「つめた~い」「あったか~い」と両方書かれた自動販売機を開発したのはポッカなのです。

1973(S48)年、それまでジュースの自動販売機は冷却機能のみで保温機能はありませんでした。ポッカは「ホット/コールド型自動販売機」の開発に成功し、季節を問わずコーヒーを安定して販売することを可能にしました。コーヒーをメインにしているメーカーだったからこそ、ひとつの自販機で両方を販売したいという思いが強かったのではないでしょうか。

あったか~い+つめた~いを生んだのは名古屋

ポッカの開発したものはそれだけではありませんでした。コールド・ホットの自販機どころか、世界で初めて本格タイプ(190g缶)の缶コーヒーを開発したのはこのポッカなのです。その後も、特許を取っている脱酸素製法をはじめ、ファーストドリップ製法、遠赤ダブルロースト製法など缶コーヒーのおいしさを追求し続けています。今では缶コーヒーだけでなく、「カフェ・ド・クリエ」というカフェ店舗を関東から九州にかけて出店している他、香港にはコーヒーショップや和風レストランも出店しています。

ポッカの原点はコーヒーではない!?

そんなポッカですが、創業はコーヒーではありません。食卓に置かれていることの多いレモン果汁「ポッカレモン」が原点なのです。レモンについてポッカは大学と共同研究を行っており、血流を良くする作用があることや、抗酸化作用、キレート作用といった機能があることを明らかにしました。現在ではレモンまるごと1個分の果汁が入った「キレートレモン」が人気となっています。レモン果汁飲料、本格缶コーヒー、そしてあった~い、つめた~いの自販機。これらは名古屋が発祥ということになります。

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▲缶コーヒーのぬくもりは名古屋の優しさ。

株主をファンにしたい

続いてはトマト加工品大手のカゴメです。こちらは名古屋市中区に本社を構えています。カゴメの始まりは1903(M36)年、日本で初めてトマトピューレーの製造に成功しました。その後1908(M41)年にトマトケチャップ、ウスターソースの製造を開始、そして1933(S8)年にはトマトジュースを発売します。この当時は愛知トマトソース製造という会社名でした。現在のカゴメ株式会社になるのは1963(S38)年のことです。

おいしいだけじゃない機能性

カゴメのキャッチフレーズは「自然を、おいしく、楽しく。」これは自然の恵みを享受するということだけではなく、自然に反する添加物や技術に頼らない、地球環境・体内環境に配慮して食の楽しさを創造することを表しています。そして今カゴメは、食品加工に留まらず、自然の恵みが持つ抗酸化力や免疫力を活用して、健康に繋がる食品開発を進めています。

2002(H14)年には雪印ラビオの全株式を取得して子会社化し、社名をカゴメラビオとしました。カゴメラビオは、乳酸菌などを活用し健康連鎖をもたらすことを目的とした会社です。野菜だけでなく乳酸菌を取り入れることで、さらに健康飲料の幅を広げていこうという狙いです。

またカゴメは、株主を単なる出資者と考えず「カゴメを味わう株主懇親会」を開いています。カゴメの社員が、トマトを使った新しいメニューを株主に提案するというイベントです。名古屋から日本全体を健康にする、そんなカゴメの思いは野菜の抗酸化力と乳酸菌の免疫力の複合技という形になって全国へと広がっていきます。


▲カゴメ本社1階にあったケチャップ料理店。アンテナショップかな。

薬で健康、会社も健康

一方、名古屋お菓子産業のメッカ、西区に本社を構える名糖産業を見てみましょう。ポッカやカゴメに比べると、全国的にメジャーとは言えないかも知れませんが、アルファベットチョコレートをはじめ、キャンディ、粉末飲料、アイスクリームなどを製造しています。近年はバウムクーヘンで有名なエースベーカリーを完全子会社化し、連結で増収増益となっています。

おそるべきはその経営体質です。有利子負債はゼロ、総資産の約7割が剰余金という超健全経営です。この名糖産業、元々はお菓子のメーカーでは無く、富士製薬という薬メーカーでした。配置家庭薬と肝油製剤からスタートし、医家向けの医薬品へと幅を広げます。その後オックス製菓を吸収合併しお菓子の製造を始めそちらで有名になりますが、現在も化成品部門があり、微生物から発酵技術を用いて多糖類や酵素などの製品を作り出しています。

特にこの発酵技術には強みを持っていて、製薬・化粧品の原料として適しているデキストラン誘導体、酸化鉄デキストラン複合体、磁性酸化鉄デキストラン複合体といった合成産物を作れるのは、国内では名糖産業だけだそうです。名糖産業と言うと、レモンティーやチョコレートばかりをイメージしていましたが、医薬品原薬製造が本業だとは知りませんでした。あなたが飲んでいる医薬品にも、名古屋・名糖産業の技術が生かされているかもしれませんよ。

これら東証1部に上場している名古屋の食品企業を見てきますと、キーワードは健康と言えるのではないでしょうか。ただ食べて飲んでおいしいだけでなく、そこに付加価値を見出したい。そういったところがいかにも名古屋らしい気がします。

名糖産業
▲西区の名糖産業。医薬関係材料を製造しているとは知らなかった。

なぜ地元に展開しない!

最後に、名古屋からは少し離れるのですが三重県津市に本社があり、東証2部に上場している井村屋製菓をご紹介します。井村屋製菓と言えば肉まん・あんまんが有名です。大手コンビニエンスストアとも提携しているので全国で販売されています。他にもあずきバーや、水ようかん、たい焼きアイスといった小豆を中心としたお菓子を製造しています。

またお菓子以外にも、調味料事業部では野菜パウダーや味噌パウダー、醤油パウダー、肉パウダー、魚パウダーといった粉末が数え切れない種類製造されています。これはどういった使われ方をするのかと言うと、インスタントラーメンメーカーなどはこういったパウダーを組み合わせて独自の配合を考え、自社のスープを作るわけです。その混ぜ合わせる前のパウダーを専門に、井村屋は製造しているわけです。

ひょっとするとあなたが食べているインスタントラーメンやスープも、元は井村屋で製造されているかも知れません。

井村屋のファミリーレストラン

さて、井村屋は外食産業に進出しているのですが、名古屋っ子や三重県の人はその事実をほとんど知りません。なぜなら、井村屋は三重の会社でありながら、その外食店舗は東京・千葉・神奈川にしか出店していないからです。井村屋の外食業態「アンナミラーズ」は、アメリカンスタイルのレストランでハンバーガーやサンドイッチを主力としています。デザートにも注力しており、アメリカンパイは大変人気だそうです。

しかしそれだけではなく、アンナミラーズは出てくる料理以外に大変人気となっている魅力があります。それはウェイトレスの制服です。東京ではファミレスの制服の代名詞としてアンナミラーズという言葉が使われるほどだそうです。その制服はピンクを基調としてレースがふんだんに使われていて可愛く、制服が着たいがためにアンナミラーズでアルバイトしたいという女性も多いと言います。また、胸が強調されていてなおかつミニスカートということで、それを見たい男性客も多く来店します。しかも店舗によってデザインが違い、全店制覇を目指す兵もいるとか。

井村屋さん、なぜ本拠地である東海地方にアンナミラーズが無いのでしょうか。早急に名古屋出店の計画をお願いします。

追記

※2006(H18)年12月、井村屋は2008年3月期からの3ヶ年計画を発表し、アンナミラーズを中部・関西地区へ出店する計画が明らかになりました。(その後撤回されました)

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コメント

  1. ara40oyaji より:

    「カゴメ」で思い出す事が有ります。私の勤め先に居た、元・上司の人から聞きました。その人の出身地「三河・岡崎市」で「カゴメ」は食品用のトマトを「国内で初めて栽培」したそうです。(それ以前は、観葉植物扱いでした。)勿論、「本社」は当初から名古屋に構えていました。
     「オリエンタル食品」では、全国展開していた時代の「TV・CM」に名古屋弁丸出しの喜劇役者が「ハヤシもあるでぇよ~。」の決め台詞を言うのが有りましたが、不思議な事に地元 愛知県では当時、放送していませんでした。 東京の親戚の家で初めて見た訳です。「始めから終わりまで濃い名古屋弁で喋り捲り」最後に有名な「ハヤシもあるでぇよ~。」の決め台詞。 40年も昔の話しですが、「関東地域の人たち」に理解出来たのでしょうか? 「河村市長」よりも「濃い名古屋弁」を喋っていた訳ですから。
     また、アラフォー世代以上の「他府県人」が、「オリエンタル・マースカレー」を見て「名古屋人」に「ハヤシもあるでぇよ~。」言って見せた処で、当の「名古屋人」が理解出来無かったのを私は目の前で見たました。

  2. トッピー@管理人 より:

    >ara40oyajiさま こんばんは
    そうみたいですね。
    「ハヤシもあるでよ~」は、懐かしいCM特集などで
    よく登場するものの、この地方の人にはあまり印象が無いみたいですね。
    きっと、地元では知名度が既にバツグンだったので、
    CMを流さなかった…ということかもしれませんね。
    なのに、キツい名古屋弁というところが面白いですね。

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