イベントレポート

モリコロパークでジブリの大博覧会&思い出のマーニー×種田陽平展・愛知万博から10年に思う

記事公開日:2015年10月21日 更新日:

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★スタジオジブリの30年間を膨大な資料で振り返る
★思い出のマーニーの世界が実在するかのように目の前に
★愛知万博から10年!あの頃の自分にも会えました

 2005(H17)年に開催された「愛知万博(愛・地球博)」から10年が経ちました。当時の長久手会場跡は「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」として整備され、かつてその場所にあった愛知青少年公園と同じように、地元の人の憩いの公園に姿を変えていますが、万博の面影はいくつも残っています。

 そのうちのひとつが、映画「となりのトトロ」の世界観をそのまま造形物とした「サツキとメイの家」です。当初は、万博閉幕後は他の場所に移設するといった話もありましたが、逃げられることなくモリコロパークで10年を迎えました。

 となりのトトロといえば、スタジオジブリの代表作のひとつ。その世界が現実となっている場所で、愛知万博から10周年記念にふさわしい催しが開催されましたので行ってきました。

※展示場内の写真はありません。

全国都市緑化あいちフェアの一環として

 愛知万博から10周年を記念して、2015(H27)年9月12日から11月8日(日)まで「第32回全国都市緑化あいちフェア」が開催され、その一環として愛知県と中日新聞社の主催で開催されたのが「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」と「思い出のマーニー×種田陽平展」です。

 全国都市緑化あいちフェアは「もっと『花』を愛し、もっと『緑』の力を知ってもらう、愛・知フェア」として開催されたもので、愛知万博のテーマであった「自然の叡智」が10年間で暮らしの中でどう浸透したかを発信し、このモリコロパークを中心に「緑豊かな街づくり」がテーマ。

 期間中はモリコロパーク全体で、そんな花と緑を満喫できるイベントも満載なのですが、なかでも注目は「鏡の中の花畑」です。

 鏡によって地面の花畑が背後に映る形になっていて、正面から写真を撮ると、向こう側にも一面の花畑があるかのように見え、なおかつ自分の後姿は鏡に映らないように角度がつけられ、まるで花畑のなかにいるかのような写真になるというのです。

 鏡じゃなくて実際に花畑があればいいのに...。いや、大丈夫です。これはあくまでもそういう演出展示であって、センターエリアには花の棚田もあって「花の王国あいち」が誇る色とりどりの花々が楽しめます。愛知って花の王国だったのか。県民だけど知らなかった。国王は誰なんだろう。やっぱり、あの人だよね。(愛知であって名古屋ではないので、名古屋弁のあの人ではありません)

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ジブリの30年を振り返るジブリの大博覧会

 そんな「第32回全国都市緑化あいちフェア」のなかで、企画展として開催されたのが「ジブリの大博覧会」です。

 ジブリの大博覧会は、愛・地球博の開催当時は迎賓館として入ることができなかった、「愛・地球博記念館」のギャラリー3が会場となっています。入口には「すべては、この1枚から始まった」という文字とともに「風の谷のナウシカ」のイラストが。

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 映画「風の谷のナウシカ」が公開になったのは、1984(S59)年3月11日のこと。それから30年強です。このジブリの大博覧会では、そのナウシカから、最新作の「思い出のマーニー」までの、ありとあらゆるもの、当時のポスターやチラシから、制作資料、企画書、グッズなどなど、未公開資料も数多くあり、所狭しと展示されています。

 これが本当に圧倒的な数で、しかもまさに所狭しなので、人が全然進まないのですね。私たちは平日に行ったのですが、それでもなかなか進みません。みなさんじっくり見てるんですね。そりゃそうです。それぞれ思い入れの強い作品では、私も思わず足が止まってしまいます。

 ふと見ると、会場の外にはものすごい待機列を収容できるスペースが。きっと休日にはここにズラっと並ぶのでしょうね...。ほんと、じっくりじっくり見る形になるので、待つとなると待ち時間はすごそうでした。

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記念館の外にあるのは未来?過去?

 記念館の外に出ますと、愛・地球博当時は会場内の移動手段となっていたIMTS車両が展示されています。未来の乗り物になるはずだった、トヨタによる磁器誘導式鉄道でした。小牧市のピーチライナー(桃花台新交通)に導入するなんて話もありましたが、頓挫してしまいましたね。

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 他にも、愛・地球博のマスコットキャラクター「モリゾー」と「キッコロ」の巨大ぬいぐるみや、開催当時のグッズや制服といったものもすべてが懐かしいですが、そのなかでこちらも「ああ...」と思ってしまったのが、会場内で活躍したお掃除ロボットです。

 「未来ではロボットが掃除をするのか...」と10年前は思いましたし、そこに「未来」を感じたものでしたが、今、そのロボットを見ると、未来ではなく思いっきり過去なんですよね。

 何が過去かって、ロボットのメーカー名として大きく書かれている「National」の文字。まさか、来るべきお掃除ロボット全盛の時代に、Nationalブランドが無くなっているとは当時は思ってもみませんでしたね。

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リアリティがすごい思い出のマーニー展

 では、もうひとつの企画展「思い出のマーニー×種田陽平展」へ。2014(H26)年に公開された映画「思い出のマーニー」。ちょうど少し前に日本テレビの金曜ロードSHOW!で放送されたところですよね。会場は地球市民交流センター体育館。

 思い出のマーニーは、実写映画の美術監督として活躍されている種田陽平さんが、初めてアニメーションの美術監督を務めた作品で、この展覧会では、まさにその思い出のマーニーの世界が、実写映画かのように、実在するかのように作られています。

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 これが本当に驚くほどリアル。エイジング加工ですとか、そういう技術的なところはもちろんですけれども、照明などの雰囲気も驚きの連続で、マーニーの部屋へと繋がる道は、最初、部屋を外から見る形になっていまして、まるで部屋のなかでパーティでもやっているかのようなイメージで、すごいな...と思っていたら...。

 なんとそのイメージを作り上げていたのは見学者の姿。見学者が演出に一役買っている形になっていたんです。マーニーの部屋の中を見ている人たちも、部屋の外から見ている人にとっては展示物に組み込まれていたのです。

 会場内は撮影ができませんが、会場外では、映画のポスターと同じ構図で写真を撮ることができます。

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 展示は、入り江奥の漁師小屋やサイロなども、思わず感嘆の声があがってしまうほどのリアリティです。特に、サイロの演出にはちょっと驚きます。

 思い出のマーニー展。アニメ映画の設定の再現ではなく、まるでこれで実写映画を撮るんじゃないかと思えるほどに、現実感があふれているのがたまりません。

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 まさに、サツキとメイの家がある愛・地球博記念公園にふさわしいイベントですね。ただこれは、このために企画されたものではなく、全国を巡回していまして、今回は愛知万博10周年というタイミングにあわせての開催となったものです。

 思い出のマーニーは、夢なのか現実なのか曖昧な経験から、自分の「ルーツ」と向き合う話ですが、マーニーをはじめ、ジブリの世界に触れつつも、10年前、愛・地球博に入り浸っていた頃の自分に久々に会うことができたような気がしました。

 あの頃は、遠い夢物語を追いかけるだけの無謀な何の実績も無い青年だった自分も、若さを失ったのと引き換えに、当時は遠い夢だったものが、ほとんど現実のものとなりました。まだまだ生活はひもじいですけど、10年前の自分と今の自分、同じ場所にいても、その立ち位置は全然違うなあと感慨。

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 「ゲド戦記」の展示のところでは、思わずぐっとくるものがありましたね。ゲド戦記は、自分にとって大きな意味を持つ作品でして、自分が自分として生きるだけでなく、自分の存在を次の世代に繋がなければ...と決心できたのはこの作品のおかげです。

 そして、今回は1歳の娘も連れて行ったのですが、10年前は当然、影も形も無いわけで。ただ、ひとつショックだったのは、私にとって「大阪万博」は「生まれる5年前の万博」という存在なのに対し、娘にとっての「愛知万博」は「生まれる9年前の万博」になるということに気づいたこと。

 ああ、娘にとっての愛知万博は、自分にとっての大阪万博よりももっと古い存在になるのかと思うと、ぞっとしました。

 さあ、さらに10年後はどんな自分になっていられるか。娘はその時11歳。どんな子になっているだろうか。かつての愛・地球博の会場で、「『未来が楽しみ』であることが、人生にとって一番大切なことなんだよな」と、10年前の自分に言われた気がしました。

追記

 ジブリの大博覧会と思い出のマーニー×種田陽平展、次回は来年の3月5日から、新潟県立近代美術館にて、テレビ新潟の主催で開催されるとのこと。そういえば、愛媛の時は南海放送でしたし、基本的には日本テレビ系列の放送局が主催というパターンですね。ただ、愛知では中日新聞社の主催でしたね...。中京テレビは共催にも後援にもいませんし、中日系のCBCテレビが会場から生中継していましたね。いろいろあるのでしょう...。

関連情報

愛・地球博記念公園(モリコロパーク)(愛知・長久手市)MAP

愛・地球博記念公園

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