★今年からはサイマルでエリア外にもイベントを放送
★企業のプレゼンにアコースティックライブも生放送
★独自の中継回線を使用して電波で中継して公開放送
例年10月末に行われています、岐阜県可児市の地元企業が集まって、グルメ満載、豊富な無料プレゼント、ステージイベント、企業の商品紹介、会場からのラジオの生放送などが繰り広げられる「産業フェアin可児」。第9回となった今年は、10月24日(土)と25日に開催、天候にも恵まれ多くの人が訪れました。
私は今回、ラジオの生放送のお手伝いという形で携わらせていただきましたので、そのあたりを中心にレポートします。
地域の企業による文化祭的な存在
「産業フェア」と言いますと、企業とその関係者が訪れる内輪のイベントという印象をもってしまう語感ですが、可児では地元の人が毎年楽しみにしている地域イベントとして認知度も高まっており、会場の可児市文化創造センター(ala)の駐車場は早々に満車、可児市役所の臨時駐車場からのシャトルバスを多くの人が利用するほどです。
ラジオの生放送はアプリでも
両日とも、朝の9時30分から午後4時までの開場となっており、そのうちラジオの生放送は朝10時30分から4時間。ラジオの生中継を行ったのは、可児市をはじめ中濃地域をカバーするコミュニティFMラジオ局「FMらら 76.8MHz」です。
FMららは、今年の春から独自アプリによるインターネットサイマル放送を始めており、スマートフォン、タブレット、パソコンであれば世界中どこからでも聞けるようになったため、産業フェアのもようも、電波の届かないところでも聴けるようになり、アプリでラジオを聴いて県外から訪れたという人もいらっしゃって、サイマル効果が現れているようです。
どのような放送だったかといいますと、両日ともに午前10時30分から番組がスタート。駐車場情報やイベント情報などを一通り伝えると、午前11時に企業のプレゼン第1部を放送。
やはり「産業フェア」ですので、地元企業のアピールが重要です。サテライトブースとは別に、企業のプレゼンステージがセッティングされており、そこで各企業が自慢の商品やワザをアピールしたのですが…。どの社もアピール上手ですね。
最も会場を沸かせたのは土地の基礎工事を行う会社。「何をやっている会社かといいますと、今、話題ですよね!杭打ち!あれです!」と言うと、会場は笑っていいものかどうかという感じながらも、やっぱり沸きました。ネタにできるということは、その会社は自信のある証拠ですものね。
アコースティックライブもそのまま放送
そして正午からは、可児市文化創造センターの水と緑の広場で開催された、こちらも地元企業である、著名なミュージシャンが好んで使うことで知られるヤイリギターの協力によるアコースティックライブです。
24日はコウジマツモトさんと藤森愛さん、25日はりぶさんが登場。会場のライブのもようをそのまま放送に乗せることで会場の臨場感が伝わりました。
さらに午後1時台にも企業のプレゼンあり、2日目の朝には可児市の富田市長も放送に登場するなど、イベントへの呼び込みと、会場の場内放送、様子を伝えるという3つの役割を果たす公開放送となっていました。
中継車による専用回線で中継放送
何と言っても、FMららのイベント放送の特徴は、音声をインターネットや電話回線で送るのではなく、専用の電波による中継回線を使って電波で送られるということ。CTKケーブルテレビ可児の協力によって、中継車が出動するのです。
電波による中継車を自己所有しているのは、全国のケーブルテレビのなかで、なんと、このケーブルテレビ可児1社だけだそうで、もちろん、ハイビジョンによる映像伝送が出来る設備になっています。そのなかで音声の部分だけを使って、FMららは外のイベントの生中継を行っているのです。
会場にセッティングされた中継車から、電波は可児市の鳩吹山山頂へと送られ、そこからFMららの本社へは光回線で。そしてFMらら本社でマスターに音声が乗って、再びSTL回線で鳩吹山の送信所へと放送が送られ、FMの76.8MHzの電波となってラジオへと届くという仕組みになっているのです。
今回もそんなケーブルテレビ可児とFMららの連携によって、会場から両日それぞれ4時間のイベント中継生放送が実現したというわけなんですね。
地元グルメもたくさんありまして、もちろんグルメも満載。私もみたけ中山道ラーメンと松茸ごはんをいただきました。
可児でラジオで「立ち位置」を考える
さて、この可児地域というのは岐阜県でありながら岐阜県色が薄いところでありまして、名古屋・愛知からの「新住民」が多いエリアなんですね。なので、もちろん岐阜県なのですが、意識が名古屋寄り、愛知寄り、特に「岐阜」を意識して暮らしていないという方が多いのです。さらに、県庁所在地である岐阜市に出るよりも、名古屋に出るほうが便利ということも、心理としてそこに重なっています。
この産業フェアin可児は、可児商工会議所・実行委員会の主催で、協賛が可児市、そして、後援が中日新聞社と岐阜新聞・ぎふチャンとなっています。ライバル関係にあるこの両紙が後援に並ぶことはとても珍しいのですが、先述の名古屋意識から、中日新聞は外せませんし、岐阜新聞側としては、あくまでも岐阜県ですから、岐阜県内最強の媒体力を誇るメディアとしての立ち位置がありますからね。その結果、仲良く並ぶという結果になっています。
そんな立ち位置の可児ですが、やはり放送電波というものは制約を受けるもので、愛知県犬山市の境に近い鳩吹山から電波を出して放送しているFMららは、もちろん、愛知県側には電波が飛ばないようになっており、愛知県色・名古屋色の強い地域にあるラジオ局でありながら、放送区域はしっかり岐阜県側に収められているのですが…。
今や、インターネットサイマル放送時代。アプリやパソコンであれば、県境どころか、コミュニティFMは国境も飛び越えて全世界で聴ける、こういった地域イベントの生放送をエリア外にも届けることができ、そのエリア外からも可児にお客さんがやってくるというのは、すごいことだなと思う一方で、電波による放送というものの立ち位置をちょっと考えてしまうこともあります。
岐阜と愛知、電波とネット、いろんな意味で立ち位置を考えさせられた、イベントでした。
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