ブライダル滝旅行者センター(ブリティッシュコロンビア州)
すると、韓国人の老夫婦がバスに乗り込んできました。私達とは反対側の一番前の席に座ります。こちらは右側通行なので、私達の座る運転手側が左、その老夫婦が座ったのが右です。その老夫婦のうち、男性はボロボロと破片をこぼしながらパンを食べています。
トランス・カナダ・ハイウエイ1号線 BRIDAL FALLS TRAVEL CENTRE
「あの人達、なんか集合時間とかに遅れたりして厄介そう…。」
と相方が誹謗中傷していると、ガイドさんが戻ってくるや否やその老夫婦は降りていきました。一体何だったのでしょう、バスを間違えたのかな。その空いた席のところに、私達のすぐ後ろに座っていた韓国人女性2人組が座ろうとしたのですが、ガイドさんはダメダメ、と言います。どうやらこの席は何かあるようです。
そしてガイドさんは運転席に座ると、マイクで皆を盛り上げようとするのですが、結構皆冷めていて反応が鈍い。私はこういう時テンションが上がるタイプなので、盛り上げる手伝いをしたいのはやまやまだったのですが、相変わらず私には、ガイドさんが何を言っているのかわからないので、反応のしようがありません。
「今、何て言ってたの?」
「え?今日はとにかく、走って、走って、目的地まで進むよ。だって。」 「今度は、何て言ってたの?」
「最初の休憩地で朝ごはんを買いましょう。だって。」
「今のは何て?」
「途中で2人参加者が増えるんだって。」
「今は…?」
「もう、いちいち聞かないでよ。理解しようと努力しなさい。」
ガイドさんが何か話すたび、相方に訳を聞いていたらとうとう怒られてしまいました。この時から相方は、ガイドさんの言うことを訳してくれなくなってしまいました。
「これも英語のリスニングの練習だと思って頑張れ。心の耳で聞けばわかるよ。」
相方に真意を確かめると、相方は英語を聞いてもそれを頭の中でイチイチ日本語に訳しているわけではなく、英語のままで理解しているから、日本語に直すのは難しいし面倒くさいとのこと。それにしてもガイドさんの英語は速い。相方が言うには、韓国人だけど生まれも育ちもカナダなのではないか?というくらい英語に訛りが無く流暢なのです。昨日見たドラゴンボールよりもさらに速いのです。
心の耳って言われても、感情的な話ならまだしも観光ガイドですから、理解できる単語をとにかく繋ぎ合わせて解読するしかありません。
▲このバスで長距離を走ります。
バスは7時過ぎに出発すると、スカイトレインのある駅で停車しました。そこで韓国人夫婦が乗り込んできました。先ほどの老夫婦とは違い中年夫婦といった感じです。その夫婦は、右側の一番前の席に座りました。
どうも見ていると、この韓国人夫婦はバンクーバーにやってきたばかりなのか、英語がわからない様子でガイドさんはこの夫婦に向かって、韓国語を重点的に話していました。だからこそ一番前に座らせてあげたかったのでしょう。
その夫婦を乗せると、バスはトランス・カナダ・ハイウエイ1号線に乗ります。高速道路と言っても料金所は無く、どうやら無料のようです。そのせいか日本に比べるとインターチェンジも適当な造りで、道路もボコボコです。それでも無料ならその方がいいですよね。崖っぷちでもガードレールはありませんから、運転は完全に自己責任です。
カナダ・プレイスからバスを走らせること2時間近く、コンビニエンスストアが併設されたガソリンスタンドに到着です。看板には「BRIDAL FALLS TRAVEL CENTRE」とあります。場所としてはチリワック(Chilliwack)とホープ(Hope)のちょうど中間くらいのところです。私達は朝食を食べていませんでしたが、特に食料は買わずお菓子とジュースを買いました。するとガイドさんはカップラーメンにお湯を入れています。
「これが僕の朝ごはんなんだ。安いもんだよ。」
私にもこれくらいの英語であれば、さすがに理解できます。皆がバスに戻ると、ガイドさんは食べかけのカップラーメンを私に手渡しました。
「本来の予定には無いのだけど、ここから5分くらいのところに綺麗な滝があるから見に行くかい?」
相変わらずバスの車内はリアクション薄です。私と相方は行きたいとアピールします。
「なら、このカップラーメン持ってて。」
ガイドさんはそう言うとバスを動かしました。少しずつだけど、私の心の耳が活動し始めたかな。
▲ここで朝食兼休憩。周囲は山しかありません。
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