おでかけレポ~東海~ 岐阜

まもなく廃止岐阜の路面電車・黒野駅に到着すると岐阜らしい一触即発の現場

記事公開日:2005年3月28日 更新日:

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 前回の続きです。新岐阜駅前駅を出発します。車内は廃線を惜しむ人で溢れ、「いつもこうだったら廃線にはならなかったんだろうなあ。」と、廃線になる直前の電車に乗ると必ず感じる気持ちを胸に抱きます。もちろん、廃線になるからこそこれだけ人が乗っているわけで、その矛盾が埋まることはありません。

黒野駅に向けて出発

 この電車は黒野行き。揖斐線の終点である黒野まで行きますが、新岐阜駅前から忠節までは路面電車の岐阜市内線、忠節から先が専用軌道となっています。路面電車の車窓から見る岐阜の街は、いつも自動車の窓から見る岐阜とは少し違っていました。いつもは自分で車を運転していますから、じっくりと岐阜の街並みを眺めるということはありませんでした。

電車はそれほどスピードを出さず、広島の市電よりもかなり乗り心地は良かったです。そういえば広島の市電は、普段から座れないほどに人が乗っていました。岐阜と広島、何が違うのか...。

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駅舎を構える忠節駅

 忠節に到着です。忠節はそれまでの、道路がペイントされただけの駅とは違い、立派に駅舎を構えています。駅員さんが常駐しているので、全てのドアが開き料金は駅員さんに支払います。忠節から先は専用軌道。電車はそれまでのゆっくりな運転が嘘のように、ハイスピードとなります。

乗った電車は急行黒野行き。急行といっても飛ばすのは忠節の次、「近ノ島」とその次「旦ノ島」のみです。市内はもちろんのこと、専用軌道に入ってからも鉄橋や道路の至る所に、この電車を撮影しようとカメラを並べている人がたくさんいます。岐阜の市街地を離れ電車は勢い良く田園を走ります。

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 新岐阜駅前から45分ほどで黒野に到着です。やはり終着駅にはたくさんの電車ファンがいます。駅構内では「おわかれ岐阜600V線区」記念グッズが売られています。駅舎はかなり古く時代を感じさせます。数年前まで残されていた、大正時代製の尾張瀬戸駅を思い出しました。黒野は終着駅ですが、駅前に数軒商店があるのみで、特にこれといった駅前感はありません。

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 踏切には廃止のお知らせが掲げられ、「廃止になります」が「廃止になりました」にすぐ変えられるように加工がしてあります。

黒野駅は磁気式の切符でした

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 駅には切符売場があるのですが、窓口はひとつ。この廃止されてしまう黒野駅からあちこちへの記念切符を買う人々で長い行列ができていて、新岐阜駅前までの切符を買うのにかなりの時間がかかりました。ここは新岐阜駅前とは違い、乗り継いで他の名鉄線への切符を買う人もいるために、磁気式の普通な切符で少しガッカリしました。

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 ホームにはラッピング車両が待機していました。その広告は岐阜出身の高橋尚子さんが大きく描かれ、「新聞は中日」という文字が躍る中日新聞のものでした。そして駅の標識には「岐阜新聞・岐阜放送」の広告。一触即発の現場です。

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 電車は折り返し運転です。1本後の電車で岐阜へと戻ります。さらに乗客が増えたのか、帰りは2両編成でした。私は今まで岐阜の路面電車が2両編成になっているのを見かけたことがなかったのですが、朝夕のラッシュ時なんかには運行されていたのでしょうかね。

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 この廃止される岐阜の路面電車は、名鉄が撤退を表明した後、岡山の鉄道会社が名乗りを挙げたり、外資が参入を表明したりしましたが、結局予定通りこの3月で廃止されることになりました。惜しむ人は確かに多いのですが、逆にこれで自動車の運転がスムーズになると、廃止を歓迎するドライバーも意外に多いといいます。やはり岐阜も名古屋と同じように車社会であり、さらに時代の流れとともに車への依存が加速していることの表れです。

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 地理的に名古屋に近く、文化も名古屋の影響を大きく受けている岐阜市。岐阜の人の心は名古屋に傾き、結局岐阜は名古屋のおまけなのか。それを否定するには、やはり岐阜ならではのもの、岐阜の独自性を生かしてアピールする必要があるのではないでしょうか。岐阜といえば鵜飼い、金華山、そして路面電車...。

 岐阜市ならではのものの灯火がひとつ消えます。路面電車が無くなること自体よりも、岐阜市らしさが一つ失われてしまうことを寂しく思います。

旧黒野駅(岐阜・大野町)MAP

35.464606, 136.634180

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