JR尼崎駅(兵庫・尼崎市)
大阪にある、人の集まるスポット特集第3回目です。
前回は、かつては人がたくさん集まったのに、今や廃墟となりつつあるフェスティバルゲートをご紹介しました。すっかり気分が落ち込んでしまいましたので、再び活気ある大阪を感じるために、JRに乗ってみることにしました。
私がいつも暮らしている名古屋は、基本的に車社会なので、都市規模の割には鉄道網が発達しておらず、一部の路線を除いて混雑も緩めです。
それに比べて大阪はやっぱりすごい。JRが地下を走る!しかし、その鉄道網の充実振りから招いたあの事故…。そしてJRにはヒヨコでもペンギンでもなく、西日本ならではのアイツの姿が。
やっぱりイコちゃん
JR鶴橋駅へとやってきました。この駅はJR西日本、近鉄、地下鉄のターミナルとなっている駅です。ひとつの改札でJR大阪環状線と近鉄の乗り換えが可能です。鶴橋駅前には在日韓国・朝鮮人街があり、ホームからも、その独特な空気を放つトタン屋根を見ることができます。かなり興味があるのですが、今回は日程の都合上立ち寄ることができませんでした。また次の機会に…。
さて、そのJRのホームにはカモノハシの「イコちゃん」の姿が。水色のイコちゃんは、JR西日本のICカード式乗車券「ICOCA(イコカ)」のキャラクターです。ICOCAは、JR東日本のSuicaから遅れること2年、2003(H15)年11月に登場しています。
それにしても、このホームに設置されている「SMART ICOCA」という機械は何だろう?と思っていると…。
スマートにイコチェン
銀色のイコちゃんの「イコチェンする?」というポスターが目に入ってきました。SMART ICOCA(スマートイコカ)とは、クレジットカードを使用してチャージができたり、ポイントが加算されたりするカードで、ホームに置かれていたのはそのクイックチャージ機でした。
クイックチャージ機とは、SMART ICOCAをかざすだけでクレジットカードからICOCAにチャージが可能なもので、その場合、クレジットカードは必要ありません。便利だなぁ。ちなみにこの機械では、現金チャージすることはできません。
toicaも仲間?ヒヨコは無視?
JR東日本の「Suica」、西日本の「ICOCA」に比べ、かなり遅く2006(H18)年11月に登場したJR東海の「toica」ですが、ちゃんとICOCAのポスターにも、「PiTaPaエリアでも、Suica・toicaエリアでも使える!」と、PiTaPa、Suicaと並んでロゴで入っていたのがなんだか嬉しかったです。しかし…。
一方、ICOCAのイコちゃんと、Suicaのペンギンが仲良く手をつないでいるポスターに、toicaのヒヨコの姿はありません。それもそのはず、このポスターは、電子マネーの共通化をPRするものでして、いまだに電子マネーとしては一切使えないtoicaは共通化以前の問題児。ヒヨコはいつ頃仲間に入れてもらえそうですかねぇ…。
仲間とか言う前に、電子マネーとしてはtoicaエリアにどんどんSuicaのペンギンが進出しているわけで、このペンギン、イコちゃんとは手をつないでいる一方で、ヒヨコのエリアにはヒヨコを無視して自ら侵入してきています。
地下を走るけど地下鉄ではない
では、大阪にある珍しいJR路線、JR東西線に乗ってみることにします。この路線は、1997(H9)年に開業した比較的新しい路線で、京橋駅から尼崎駅に至る、JR西日本としては初めての地下路線です。地下を走っているので、地下鉄かと錯覚してしまいそうですが、あくまでも普通のJR路線です。尼崎まで乗ってみましょう。
JR西日本で尼崎と言えば…
尼崎駅に到着です。ここは4面8線という大規模な駅で、京都、大阪、神戸、宝塚と各方面へ向かう列車が通り、その過密ぶりといったらありません。利用者も当然多く、ホーム上も賑やかです。これだけ多くの路線数と行き先を見れば、どれかひとつが遅延しただけでも、各方面のダイヤに多大な影響を与えることはすぐにわかります。
この尼崎駅を基点とするのが、あのJR福知山線です。2005(H17)年4月25日、塚口と尼崎の間で発生した脱線事故では、107名の方が亡くなられ、さらに555名の負傷者を出す大惨事となりました。
その原因のひとつとして過密ダイヤが挙げられていましたが、私にはその過密ダイヤというプレッシャーがいまいち理解できていませんでした。しかし実際に尼崎駅に来て、案内板を見て、この尼崎駅周辺がいかに重要な区間で、ここで電車の遅れを生じさせることが、どれだけ大きな影響を与えるかを理解することができました。
イコちゃんだけじゃないよ
最後に、JRだけでなく関西の私鉄のお話も。関東ではJR東日本のSuicaと私鉄のPASMOがあるように、関西にはJR西日本のICOCAと私鉄のPiTaPaがあります。PiTaPaのキャラクターはタヌキの「ぴたポン」。一目見てあの人が作ったキャラクターだとわかります。名古屋っ子にとってはモリゾーとキッコロの生みの親としておなじみのあの人です。大阪ですからお膝元ですね。
PiTaPaは他の鉄道系ICカードとは違って、後払い式であるために発行に数週間かかり、審査もあるという難点があります。SuicaやICOCA、toicaやPASMOのように、全ての人が持てるわけではありません。敷居が高いですね。
というわけで、大阪でJRに乗ってみたのですが、感想としては、古い車両をいつまでもメンテナンスして大切に使っているなぁというところですかね。名古屋はどちらかというと、古い車両を使い続けることは、メンテナンス経費が余計にかかったり、CO2の排出が多くなるといった理由で、新型車両を積極的に投入しているので、対照的でした。
そしてやっぱり、大阪は公共交通社会であるということ。もちろん、自動車の通行量も多いのですが、公共交通だけであちこち移動できますし、利用者も多ければ、本数も多い。しかしその、充実しすぎたダイヤがあの悲惨な事故を招いたという側面もありますが…。
それにしても、イコちゃんはその釣り目の目つきも雰囲気も、いかにも関西な感じがしていいですね。でも、かつてのたれ目も見てみたかった。
続いては、東の秋葉原、西の日本橋と言われた電気街のある日本橋へと行ってみます。そこには古き良き電気街の姿が一見そのまま…でもよく見ると…。
コメント
鶴嘴駅は4年間利用しましたが、朝でも昼でも、あの独特な焼肉のにおいでした。
懐かしいです。
2008/08/14 8:46 PM
>とくながたかのりさま こんばんは
朝でも焼肉の香りなんですね。
一度散策してみたいです。あのアーケードの中を…。
(2008/08/16 1:03 AM)
今晩は。尼崎は、昨年と今年18きっぷを使って通りましたが、思っていたより整備されていてきれいでした。しかし、3年前の事件を思い出すと、速いだけではいけないと思う一方、新快速の速さを単純に便利だと思っている自分がいました。でも、やはりゆっくりしていても安全が大切と思いました。
そしてJR西日本の快速は東海と違い、快速や普通が駅を出た後に、すぐに次の車両が出て、しかも反対側の線路が近い感じがして少し怖い思いをしました。
やはりJR西日本は過密で私鉄とすごい競争していると思いました。
そして早くTOICAの電子マネーが始まったり、ICOCAとSuicaがJR東海の売店やコンビニや新幹線の車両販売で使えるようになると良いと思います。さらにピタパのプリペイドが始まって、ICOCAの電子マネーと乗り入れで使えたり、名鉄のICプリペイド乗車券と電子マネーが始まって、トイカやパスモやピタパと乗り入れして欲しいと思いました。
それでは失礼しました。
(2008/09/04 12:29 AM)
付け加えますと、JR東日本にはグリーン車Suicaシステムと言うのがあり、Suicaがグリーン席の券代わりになります。自販機でグリーン席券の記録を買い、席に座ったら、席の上にある読み取り機にその乗車券の記録の入ったSuicaをかざすとランプが変わり、車掌はそのランプで券の購入を確認できるため、券を車掌に見せる必要が無くなるというものです。
結構便利なサービスです。東海でもこのようなサービスのほか、特急や新幹線の車内販売でもトイカやICOCAやSuicaが使えたり、セントラルライナーの指定券代わりにトイカ、ミューチケット代わりに将来の名鉄のIC乗車券が使えるようになったらいいと思います。
失礼しました。
(2008/09/09 1:25 AM)
>西三河のまささま こんばんは
関西のこういった状況を見ますと、いろんな意味で、公共交通の存在感というものが名古屋と大阪では全然違うんだなと改めて認識させられるとともに、名古屋の電車にまつわるサービス導入に遅れがあるのも、仕方が無いなと思わされます。
確かに、名古屋で生活しているともどかしさを感じますが、東京や大阪で「これぞ都会」という文化の差を味わえることができるのも、名古屋っ子のひとつの楽しみと言えますね。負け惜しみですが。
(2008/09/09 1:48 AM)
どうもです。
ここで書かれている事――正直、複雑です。
ただ、私見ですが、気掛かりに思う事として。
それは、
「JR西日本が、何故、あれだけ儲け優先になったのか」
……が、全く問われずに終わってしまった事が気掛かりです。
JR西日本はローカル線の比率が高い上、会社を支える「収益の柱」が無いのです。
しかも、九州・四国・北海道の様に、“経営安定基金”の運用益で損益を穴埋めする仕組みも与えられませんでした。
その上、地方程進む車社会化に過疎化が進み、経営環境は厳しさを増す一方――その事が、JR西日本の経営姿勢に影を落としたと言われています。
しかも、“東京のお古”が大阪に回ってくる事も多く、その取り替えの問題もあった――と見ています。
「N40」と言って、約40年使う事を前提として、リニューアルを行っていると聞きました。
当時は、「何も、そこまでしなくても」――と思いましたが、今思えば、背に腹は代えられなかったんでしょうね。
ただ、この10年は比較的経営が良かったのか、新型車両が関西圏に続々投入される様になっているのですが。
それに、ATSなどを取り巻く法制度にも、不備があります。
固定資産税が課される上に、減価償却も求められる事も有ります。
国鉄時代には、ATSの在り方を規制する運輸省令があったのですが、国鉄のATS-Sが整備された時には無かった為か、“網”に引っかかりませんでした。
国鉄からJRに移行する際に問題となったのですが、何と、その“規制”を撤廃してしまった――と聞きます。
“私見”ですが、前記の“固定資産税”の問題もあり、そうなると、地方自治体に国税も絡む事から、自治省に大蔵省とも交渉せねばならなくなり、新会社発足に間に合わなくなる為、見切り発車的に“廃止”してしまったんだろう――と、推測しています。
何しろ、国鉄=JRの施設は“第2の地方交付税”と揶揄される程地方では税収の依存度が高い――と聞きます。複雑な話です。
それに、“人材”にも問題があったのでは?――と考えています。
JR東日本での話ですが、
「高卒の新入社員には、まずは、朝食を食べさせる習慣を身に付けさせる所から始めている。
何しろ、基礎体力が付いていないから、昼まで体力が持たず、貧血で倒れてしまうんですよ……」
――と、社長&会長を歴任された松田昌士さんが、櫻井よしこさんに語っていたのが、印象に残る為です。
運転手を悪く言う様ですが、“社員教育”以前に、本人が、“一人前の大人”として育っていなかったのでは無いのでしょうか?
昨年末公開された映画・『RAILWAYS』にて、運転実習中に、“鉄道趣味の話”を教官に向かって始める新人運転手がの件がありましたが、この事故の運転手と、どうにも被るのです。
確かに、安全投資には力を入れるべきであったし、そこは批判されるのは当然ですが……でも、会社の対応の悪さばかりに気が取られ、“背後関係”に目が行く機会を逸してしまったのは、正直残念でなりません。
もう少し、“冷静な報道”となっていれば、“安全向上策”だけでは無く、JR西日本以外でも共通する“車社会化の弊害と、その改善策”にも話が進み、公共交通機関を取り巻く環境を良くする切っ掛けにもなっただろうに……と、残念でなりません。
しかも、ローカル線改善の“モデルケース”は、既に出現しています。
富山市の取り組みが、それです。
高山本線の、猪谷駅より北はJR西日本のエリアですが、富山近郊にあるにも関わらず、“都市交通”として利用が進まない実態があります。
そこで、富山市は“社会実験”として、駅を増設したり、列車の本数を増やしたりする為の予算を付け、それを高山本線で実施しました。
すると、昼間は効果が薄かったものの、朝晩の通勤需要を取り込む事には成功し、富山市はJR西日本に対して増結をして欲しい――と要望している程だそうです。
これは、JRの路線であるだけに、ローカル線再生の切り札となろう――と見ていますが、TOPPYさんから見て、どう思われるでしょうか?
長くなりましてすみません。
でも、この問題、これだけの“背景”があり、それも解って欲しかったのです。
それでは、またです。
>Masayaさま コメントありがとうございます。
JR西日本への、公共交通への熱の入った想い、
ありがとうございます。
いかに利用してもらうのかを、
鉄道会社のみならず、地域全体で考えていかないと、
バッサバッサと廃止路線が増えていきますよねきっと…。