※現在、施設は全て撤去されており無くなっておりますのでご注意下さい。
今回は、連日新聞紙上を賑わせている、あの会社が運行する船を見てきました。
このコーナーでは以前、三重県の津市と中部国際空港を結ぶ海上アクセス「津エアポートライン」が発着している、新しい津の玄関口「津なぎさまち」を紹介したことがありました。ちょうど1年前のことです。
当時三重県から中部国際空港(セントレア)へは、津、四日市、松阪から高速船が運航されており、加えて伊勢航路が誕生するのでは...?という状況でした。
その後、伊勢航路には「お伊勢サンライン」の名が付けられ、この4月1日就航を目指し、伊勢市は約6億4000万円をかけて旅客ターミナルや桟橋などを建設していました。しかし、就航を予定していたセラヴィ観光汽船はいきなり、事業断念を伊勢市に突きつけたのです。
実は、四日市とセントレアを結んでいるのもセラヴィ観光汽船。四日市航路の行く末は...。
いかにも四日市
国道23号線沿い、霞ヶ浦緑地と浜園緑地公園の間にあるのが「四日市浜園旅客ターミナル」です。津エアポートラインから遅れること1年、今からちょうど2年前の2006(H18)年4月1日に開業、「シーワープ」に乗って、セントレアまで35分で行くことができます。
津なぎさまちには「ベイシスカ」という商業施設が併設されていて、窓から海岸が見られる、バーやカフェなど複数の飲食店があったのに対し、この四日市浜園旅客ターミナルはいかにも四日市。ザ・工業です。
でも最近は、工場見学マニアなどというジャンルもあるらしいですから...そういう方にはオススメです。平屋建てですが、飲食店も1軒だけありますから、コンビナートを見ながらのコーヒーをどうぞ。
まあ、予想は出来ましたが...
ターミナルに入ると、ターミナルの平面図が。受付と待合室と事務室と軽食スペースがある程度です。どう見ても、船の利用者以外をウェルカム、という雰囲気は微塵も感じられません。実際、ほとんどの人はスーツケースや大きなカバンを持っています。まあ、持っていない人もセントレアへ遊びに行く人なのでしょう。このターミナルを見る目的でやってきていたのは、明らかに私たちだけでした。
ですから、入るといきなりきっぷうりばです。お姉さんの「切符買わんのかい」視線を受けながら、船のあるのりばの方へと行ってみます...。
FM PORT WAVEはワンマン
するとありました!船の利用者だけでなく、レジャー施設らしさを醸し出している唯一のスペースが!それはFMラジオ局のサテライトスタジオです。
四日市市のコミュニティFM局「FM PORT WAVE 768」こと、1999(H11)年9月1日に開局した「エフエムよっかいち」です。このポートウェイブ浜園スタジオからは昼間の3時間番組が放送されています。
外から見ると、まるで湘南にあるかのようなオシャレな放送局のスタジオといった様相。でも、目線を反対側に向けるとやっぱりコンビナートです。
見ると、放送をしているスタジオは一人だけ。ワンマンですね。
いえいえ実はウェルカムなんですよ!
スタジオの前には「霞ベイエリアマップ」があり、このあたり一帯をサイクリングしたり、ウォーキングしたりしよう!とあります。うーん...でも、この港は広大で歩くには広すぎるし、自転車なんて持ってきて無いよ...と思っていたら、実は、この浜園旅客ターミナルでは自転車のレンタルも行っているのです。
私たちはこの旅客ターミナルに遊びに来て、場違いなんじゃないかとヒヤヒヤしていましたが、そんなことはなく、ウェルカムな施設だったようです。
船は行く...燃料代は未払いのまま
最後に、本題をお話しましょう。セラヴィ観光汽船を傘下に有するセラヴィホールディングスは、あの名古屋港イタリア村を運営している事業者です。イタリア村といえば、最近は新聞で記事を見かけない日が無いくらい話題沸騰ですよね。
それが良い話題なら良いのですが、建築物が条例違反だの、調理師に残業代未払いがあっただの、工事代金の未払いで仮差し押さえだの...そんな話ばかりです。
そして当のセラヴィ観光汽船も、伊勢航路を突然やめると言い出し、四日市市に対して「四日市航路は大丈夫です」という手紙をわざわざ送り、聞いてもいないのにそんな手紙を送ってくるだなんて、本当は危ないんじゃないか?と憶測が流れ...結局は事業譲渡の方向で調整していたら...。
譲渡先の会社が、この航路の認可に携わったお役人の家が本社になっていて、その奥さんが出資していることも明らかになり、さらに社員の転籍説明会などに、その役人本人が出席していたことも発覚。そしてセラヴィ観光汽船自身も燃料代未納で納入業者に提訴されるなど、今にも大きな波に飲み込まれそうな勢いです。
セントレアだけじゃなくて...
セラヴィ観光汽船がこうなってしまったのは、原油高騰にともなう燃料費による経営圧迫と言われています。
このシーワープの運賃は片道1,690円で35分。一方、四日市市内各地を回ってセントレアへと走る三重交通の高速バスは85分かかるものの片道1,000円です。このターミナルは街なかから少し離れたところにあります。港へ出て35分で1,690円と、街なかから85分で1,000円。かなり強力なライバルです。
果たして、理由は燃料費高騰だけだったのでしょうか?
実は、セラヴィ観光汽船はこの四日市から名古屋港ガーデン埠頭を結ぶ航路も持っています。しかし、ずっと運休しています。ガーデン埠頭といえばイタリア村があるところ。船でイタリア村へ客を誘導する。レジャー施設のビジネスモデルとしては、決して間違ってなかったと思うのですけどね...。
全ては、イタリア村が突貫工事だったことが崩壊の始まりだったのかもしれません。条例違反の問題だけでなく、もっともっとイタリア村が魅力的な施設だったら、全ての歯車はうまく回っていたかもしれません。
シーワープは今日も、お金を払ってるのかどうかわからない暫定燃料で、海の上を走っていきます。
※現在、施設は全て撤去されており無くなっておりますのでご注意下さい。