14.天白区 名古屋を歩こう

自然のなかで搾りたての牛乳を

記事公開日:2006年3月27日 更新日:

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 愛知県運転免許試験場の南にある信号が、ちょうど天白区と緑区の境目になります。そこを左折して東へと歩いてみます。10年ほど前に造成されたこのあたりには、びっしりと住宅が立ち並んでいますが、住む際には注意点があります。それは、この道路が区の境目だということです。しかしそれは地図を見なければわかりません。一見するとこのあたりは大きな住宅街のように見えてしまいます。その住宅街の中に、平針南小学校があるように見えます。子ども同士が幼なじみとして仲良くなり、「大きくなったら一緒にあの小学校に行こうね~」と約束をしていたとします。しかしです。この道路から南側は緑区です。道路を境にして南側に住む子どもたちは、はるか遠い、緑区の神の倉小学校に通うことになるのです。大人にとっては大して重要ではない学区割りですが、子どもにとっては大切なことです。このあたりに住む場合は、あらかじめ子どもに「離れ離れになる可能性」の教育が必要です。意図的に、離別というエモーショナルな体験を子どもにさせたい親御さんにとっては良いかもしれませんが。

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▲平針ゴルフセンターを囲むように住宅街が出来上がりました。
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▲この部分では、道路の南側も一部は天白区です。入り組んでいます。

 そんな新しい住宅街の中をしばらく歩いて行くと、小学校を越えたあたりから周囲の風景は一変します。道路は細くなり、道の両側には畑が広がります。秋には果実が実った柿の木をたくさん見ることができます。そこは緑地保存地区である荒池緑地の南側部分になります。緑地といっても現在はまだ整備されておらず、昭和中期の山里風景がそのまま残されていると言った状況です。しばらくそんな山里風景の中を歩くと、右の森の中へと細い道路が続いています。自動車がやっとすれ違える程度の細さです。道路の両側のフェンスには蔓状の植物がからみついています。これは冒険心をそそられます。行ってみましょう。

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▲小学校を越えると風景が一変します。
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▲柿が実りのどかな風景。
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▲冒険心をそそられる山道。

 道の両側には竹林や畑、そして木製の柵などがあり、幼い頃駆け回った山を思い起こさせます。深いところでは日中にもかかわらずほの暗くワクワク感とドキドキ感が心の中でちょうど良く混ざり合います。すると道の先にお寺が現れました。泰増寺です。曹洞宗のお寺です。なんと道路はそこで行き止まり。お寺へだけに繋がっている道だったのです。こんなところを徒歩で歩いてくる人は皆無でしょう。お寺の人に変な目で見られているかもと、今度は違う意味でドキドキしてしまいました。小心者なので...。というわけで来た道を戻ります。

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▲探検気分で先へ、先へ。
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▲ほの暗くなって不安になっていると、その先に建物が現れホッ。
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▲しかし道路はこの泰増寺で行き止まりでした。

 再び元の道へ戻って北へと歩きます。この先で地図上ではかなり太い道路に接続されることになっています。すると片側1車線の太い道路が見えてきたのですが、全く車の気配がありません。見るとその道路には入れないようにガードレールがしてあります。平針から日進市の赤池へ抜ける道路が既に地図には表記されているのですが、どうやらまだこのときは建設中のようでした。開通したらかなりの通行量になりそうです。その道路の南側にあるのが荒池です。

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▲埋まり...すぎてない?
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▲立派な道路ですがまだ車が1台も走っていません。
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▲ガードレールの先には細い道路がありますが、突き抜けられません。

 この荒池周辺に広がる荒池緑地は60ヘクタール。南はこの荒池周辺から北は平針交差点近くの秋葉山まで続いています。全体的に野鳥保護区となっていて、特に北側の秋葉山と針名神社周辺は緑地保全地区に指定されています。近くの小学校ではこのあたりに巣箱を設置したりして、野鳥保護の一翼を担っています。荒池にもたくさんのカモがいるのがわかります。そして荒池の向こう側は日進市です。名古屋市側は野鳥保護区で鳥たちが自然を営んでいますが、日進市側は特に何も土地に制約が無いため、池のほとりにはラブホテルが建っています。そちら側でも若いツバメが愛の営みをしている可能性があります。

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▲カモたちが生活を営む荒池。
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▲写真左奥はもう日進市。
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▲市境にあり、荒池のほとりにあるラブホテル。若いツバメはいるかな?

 このあたりの緑地は道路と同じくまだ整備中の部分もあり、「入らないでください」という柵がしてある危険な場所もありますが、その部分を除けば緑の中を歩くにはもってこいです。畑からの土の香り、そして木々が放つ緑の香り、そして...もうひとつ香ってきます。かなり細い道路ですが、荒池の西側から東側の日進市側に出ることはできます。すると平針街道が東西に走っています。それを北西方向、平針駅方向へと歩いていくと周囲は新興住宅地になります。名古屋市側も日進市側も宅地造成が進んでいて、住宅販売の幟があちこちにいくつも立っています。この平針街道を境にしてやはり住宅価格は大きく違うのでしょうね。名古屋市というブランドの力はやはり大きい。日進市もどこかに習って東名古屋市にでもしたらどうですかね。センスを疑われるでしょうけど。

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▲池の周囲をクネクネと細い道路が走ります。
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▲とんぼ池周辺は入れないようになっていました。
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▲このときは宅地分譲中でした。

 そして平針街道の農業センター北交差点を左折すると、名古屋市農業センターがあります。この日はたくさんの幼稚園児がバスで訪れていました。このセンターは1965(S40)年に名古屋の都市農業振興を図るために開設されました。花や野菜の栽培、農業技術の研究の他に、牛や名古屋コーチン、梅山豚(メイシャントン)の飼育も行っています。休日には多くの家族連れで賑わいます。人気はミルク工房のアイスクリームや牛乳です。またしだれ梅が毎年春に咲き誇ります。近頃都市部ではなかなか体験できない、土の触感や香り、また家畜を飼育する様子なども間近に見ることができます。そしてもちろん家畜の香りも...。何より、入園料が無料なのが名古屋っ子にとっては嬉しい。

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▲幼稚園児たちが遠足に来ていた名古屋市農業センター。
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▲都市近郊農業のあり方を研究しています。
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▲牛さんに感謝しながら、搾りたてミルクのソフトクリームを。

  緑地は農業センターの北側にまだまだ続いています。冒険を続けましょう。


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