おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第1章 名古屋っ子気質

名古屋の求心力はどこまで通じるのか…

記事公開日:2004年1月17日 更新日:

おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第8回

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 名古屋を中心とした、曖昧なエリアを指す言葉として用いられる「この地方」。前回に続いて、その言葉が指す地域が曖昧な理由をもう少し突き詰めてみましょう。

 関東地方(首都圏)の中心は東京。関西地方(近畿圏)の中心は大阪。

これは揺らぎようの無い事実で異論は無いと思います。横浜も大きな都市ですが、首都圏はその名のとおり「首都」を中心としたエリアであって横浜は中心になり得ませんし、神戸や京都も、観光や歴史の面では大阪と張り合うことはできても経済や行政の中心都市と言うには力不足でしょう。

 では名古屋は、中部地方全体の中心都市と言えるのでしょうか。

名古屋は中部の中心都市なのか

 中部圏整備法による中部圏と、教科書や百科事典などで定義される中部地方を合わせた、愛知・岐阜・三重・静岡・長野・滋賀・富山・石川・福井・新潟・山梨の11県には名古屋よりも人口が多い都市はありませんし、中心となり得る都市も一見ありません。

しかし、これらの地域すべてに名古屋の影響力が及んでいるとは到底思えません。それはなぜでしょうか。

どこまで及ぶ?名古屋の力

 静岡の人に次のようなことを言われました。

「静岡県は名古屋を中心とした東海4県として扱われるけれど、名古屋方面には全く目を向けていません。新幹線(ひかり)で、静岡駅から東京駅まで70分。片や名古屋駅まで50分。東京に買い物に行くことはあっても、たった20分の違いのために名古屋に行くことはありません。」

静岡県は名古屋の仲間ではない

 確かに、私も静岡市に住んでいたら同じことを考えると思います。静岡は東西に広く県全体がそうだとは言えませんが、名古屋寄りの浜松周辺を除いては東京偏重の傾向が強いと思われます。富士川から東は東京電力ですし、東部の一部ですが伊東や熱海はJR東日本管轄です。このように静岡県は中部地方と言えども、県の東部は実質首都圏。中央部はそこまで言い切れないものの名古屋の力は及びません。浜松まで来てやっと、名古屋文化が顔を出すという程度です。

また静岡県は人口も経済力もそこそこあるために、民間企業が支店や支社を設置することが多く、名古屋の出先が静岡を管轄するというのは稀です。

 省庁の出先機関については逆に静岡単独で独立させているところはほとんどありませんが、名古屋管轄と東京管轄が入り組んだ状態になっています。NHKについては静岡放送局が名古屋放送局管轄の東海ブロックとなるために、それに不満を持っている視聴者も多く、県の東部では静岡県のテレビを見ずにわざわざアンテナを建て東京のテレビを見ている家庭も多いと言います。

静岡がそうなら長野も…

 これは長野県にも言えることで、長野県内で名古屋文化に染まっているのはせいぜい飯田市あたりまでです。そこから先は、同じアーティストのコンサートに行くにしても東京へ行くそうですし買い物も東京。JRも塩尻駅から東はJR東日本です。携帯電話も関東扱いで、冬場は首都圏からのスキー客がたくさん訪れます。全県に渡って及んでいる名古屋の力と言えば中部電力くらいでしょうか。

関東甲信越ですものね

 名古屋から見て長野県のさらに向こうにある新潟県は、一応中部地方とされているものの法律上は東北圏であり、また上越新幹線のお陰で東京志向が高く、名古屋の影響力は全くと言っていい程ありません。新潟から名古屋へ行こうとすると、新幹線で一度東京に出てから行くか飛行機で行くことになります。それでも名古屋に買い物に行くという新潟の人がいたら、よほど名古屋が好きな人としか考えられません。

 そして長野県の東にある山梨県は、法律の定める中部圏に含まれておらず首都圏に含まれており、中部地方という意識はほとんど無いと思われます。中部地方内での繋がりと言えば、静岡新聞と山梨日日新聞と言った具合にせいぜい静岡県との繋がりがある程度ではないでしょうか。

 この長野県、新潟県、山梨県は、関東甲信越という区切りによって関東扱いされることが多く、国の出先機関もほとんどが東京管轄であり、企業においても長野でさえ名古屋管轄にしているという話はあまり聞きません。NHKのブロック分けも静岡とは異なり、東京直轄の関東甲信越ブロックとなります。

北陸は関西でしょ

 さて、福井・石川・富山の北陸地方3県は中部圏ではあるものの、福井県は近畿圏にも含まれますし、石川・富山でも関西との結びが強くなります。鉄道もJR西日本ですし、コンビニで売られているカップラーメンも関西味です。

 金沢から名古屋へ行こうとしますと、さすがに大阪まで出ることはありませんが滋賀県の米原経由で約3時間かかります。大阪へ行くのとほぼ同じ時間ですから、それでは大阪へ遊びに行きたくなります。また企業の組織についても北陸の出先機関については関西の拠点が管轄していることが多いのです。

三重ですら怪しい

 さらに、名古屋の支配下と思われている三重県でさえ、名張・上野・伊賀といった関町より西、文字通り「関西」にあたる地域は、大阪難波まで特急で55分という距離のため大阪のベットタウンとなっていることもあり、名古屋よりも大阪との結びつきが強く、このエリアだけはコンビニの商品も関西、テレビ・ラジオも一応名古屋の放送は流れているものの大阪の放送を視聴するのが一般的であり、そこが中部圏に含まれていることが嘘のように感じます。

東京
▲東京レインボーブリッジ。私は名古屋在住ですが惹かれます。

名古屋に求心力は無い?

 文化というのは都道府県単位で区切れるわけではありませんので、県の一部が他の都市の求心力に引かれていくというのは当然のことなのですが、こういった各県の様子を見ていますと、中部地方というのは東3分の1くらいは東京にもぎ取られ、北の全てと、西の一部は大阪にもぎ取られた残りの部分のみに名古屋の影響力が及んでいると言えるのではないでしょうか。いや、名古屋の影響力が及ぶという言い方には語弊がある気さえします。

 もし名古屋にも大きな求心力があると言うならば、逆のパターンがあってもいいはずなのです。ところが、首都圏にもかかわらず名古屋志向の高い地域や、近畿圏にもかかわらず名古屋文化が染み付いている地域というのは皆無です。赤味噌だって岐阜県の関が原を越えられませんし、静岡にドラゴンズファンがたくさんいるという話も聞いたことがありません。

 つまり、名古屋の求心力が及ぶ地域というのは、中部地方の中で、東京や大阪からの力が及ばない、残り物の地域であると言うことができるのではないでしょうか。

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▲あぁ、かわいそうな名古屋くん。みんな!遊んであげてね!(泣)

逆手に取れば・日本の全てを感じられるのが名古屋

 ところがです。考えてみてください。この名古屋という地域ほど便利で面白い所はありません。

 東京寄りでもなく大阪寄りでもなく、中立でかつ独自の文化もありそこそこ都会で田舎なのです。名古屋駅から東京へ新幹線のぞみで約1時間40分。大阪へは約50分。スキーやハイキングへと岐阜・長野にすぐに出られます。そして普段の買い物も名古屋というある程度の都会があるのです。テレビについても東京の人気番組はほとんど放送されていますし、大阪の番組も数多く編成されています。

 東京・大阪の両方を感じたい。そこそこ都会で生活したいけど、週末はアウトドアレジャーを楽しみたい。そういう欲張りな人にこの名古屋はとてもお薦めです。

 ただ味覚に関しては、東京とも大阪とも共通点の少ない独特なものとなっていますので覚悟が必要です。

大阪
▲大阪市街。名古屋在住の私、やっぱり大阪にも惹かれます。

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