おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第4章 名古屋の文化・風習

これだけは興味がある?名古屋の結婚

記事公開日:2004年8月14日 更新日:

おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第36回

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 今回からは名古屋の文化・風習を見ていきます。名古屋独特の風習といって、全国の方々がピンとくるのが結婚式だと思います。名古屋の結婚式にまつわる風習が広く知られるようになったきっかけは、名古屋・東海テレビが制作したドラマ「名古屋嫁入り物語」ではないでしょうか。

 このドラマは、フジテレビ系列全国ネットでプライムタイムに放送され、名古屋地区だけでなく全国で高い視聴率を記録しました。名古屋制作の番組が、プライムタイムに全国で放送されること自体が珍しいなかで、高視聴率を記録するというのはさらに稀な例です。しかも題材が名古屋ということも尚更です。

全国が注目した名古屋嫁入り物語

 東海テレビは名古屋ローカルの放送局でありながら、まだ白黒放送で映像に色が付いていなかった開局6年目の1964(S39)年から、全国ネットでお昼のドラマを制作しています。

 当初は毎日15分だったのですが、1976(S51)年からは毎日30分と倍の放送時間に拡大し、「愛の嵐」から続いた嵐シリーズや、最近では「真珠婦人」、「牡丹と薔薇」など人気作品を続々と制作、お昼のドロドロした連続ドラマと言えば東海テレビという地位を確固たるものにしました。またドロドロしたものだけではなく、「はるちゃん」といったさわやかな路線のものも人気を得ています。

 東海テレビ制作によるお昼の連続ドラマは、民放全体の帯ドラマとしても最長記録を保持しており、2004(H16)年には40周年、160作品を数えるまでになっています。このように東海テレビは地方局でありながら、ドラマ制作においてはかなりのノウハウを蓄積していたのですが、それでも「名古屋嫁入り物語」が午後9時というプライムタイムに編成されたということが、当時はかなり珍しいことだったそうです。

東海テレビだけでなくCBCやNHK名古屋も

 ちなみに、東海テレビが昼のドラマを放送している午後1時30分から2時の枠は、TBS系列も1969(S44)年から名古屋・CBCテレビ制作のドラマを編成していて、かつてはCBC15分、大阪・毎日放送15分という2つのドラマを放送していましたが、現在この枠は、30分のドラマを毎日放送とCBCが交代で制作しており、こちらでも名古屋制作の「キッズウォー」が人気となりました。

 そしてお昼ではありませんが、NHK名古屋放送局は中学生を主人公にしたドラマ「中学生日記」を全国ネットで放送しています。その前身である「中学生次郎」がスタートしたのは1962(S37)年のこと。東海テレビだけでなく名古屋制作のドラマは、長年全国向けてに放送されているのです。

異例のプライムタイム全国ネット

 話が逸れてしまいましたが戻って「名古屋嫁入り物語」です。このドラマが初めて放送されたのは1989(H元)年の1月、フジテレビ系列の「男と女のミステリー」という2時間の単発ドラマ枠で放送されました。主演は植木等さんと山田昌さん。その娘役がかとうかずこさんでした。

 山田昌さんは、名古屋を代表する役者の一人である「アマチン」こと天野鎮雄さんの奥様で、現在でも全国ネットのドラマに度々出演する女優さんです。その流暢な名古屋弁は美しく、本来の綺麗な名古屋弁を巧みに使いこなす数少ない役者さんです。

 名古屋では「まあ一本まあ一本て、たいがいにしとかなかんよ。今晩のおかずがワヤになってまう。鎌倉さんもいかんわ、旨すぎるもん。」という鎌倉ハムのソーセージのCMでもお馴染みです。そしてかとうかずこさんも名古屋の出身で、何を隠そう私は同じ高校の後輩に当たります。世代は違いますが...。

名古屋嫁入り物語とは

 ドラマの内容ですが、娘がある日結婚をしたいと両親のもとに恋人を連れてきます。その恋人は名古屋在住であるものの、出身は東京。両親は、娘の婿には絶対名古屋っ子と決めていたためにそれが気に入りません。植木等演じる頑固な名古屋父親は、結婚を名古屋の流儀に則ってやるのであれば渋々認める、ということになり、その結納から結婚に至る名古屋流に婿の親が驚きの連続、というストーリーです。

中日劇場
▲「嫁入り物語」舞台が行われる中日劇場のある中日ビル。

そんなに大げさ...でもない

 この設定、大げさに感じるかもしれませんがそうでもありません。今でも娘を持つ名古屋の親は、できれば名古屋出身で名古屋在住の人と結婚して欲しいと願っているのです。このドラマでも、婿は名古屋に勤めていて転勤の心配も無く、結婚後もずっと名古屋に住むにもかかわらず、出身が東京というだけで親は難色を示しています。確かに最近では、そういったこだわりも薄れている感じもありますが、「できれば...」という思いは今も親のどこかにあるのです。

「名古屋嫁入り物語」は、単発ドラマとして当初シリーズ化は考えられていなかったのですが、視聴率が良かったために翌年の1990(H2)年、1991(H3)年と続編が制作されます。2作目は1作目と同じく、かとうかずこさんが娘役でしたが設定が違い、名古屋の娘の両親と、婿になる江戸っ子の両親が真正面からぶつかり合うというものでした。

 そして3作目は嗜好が違い、名古屋っ子同士でありながら、ライバル同士のきしめん屋さんという設定でした。この3作目は「これが最後の名古屋嫁入り物語」というタイトルで、もうこれで終わりかと思いきや、翌年には離婚問題を扱った「名古屋出戻り物語」が放送され、その後も初孫を巡るものや、一人っ子の跡取り問題など毎回違った題材で続き、1998(H10)年の第10作ではとうとう外国人の婿が登場、そしてシリーズの幕を閉じます。

 ドラマとしては終了したものの、舞台公演が1996(H8)年から行われており、名古屋・中日劇場で公演されています。

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▲やはり結婚というのは、親でなくて、当事者の意思で決めるものでないと...。

指摘された名古屋の結婚事情

 世の中は不況、全国的にも「ジミ婚」が多くなり、ドラマで描かれたような風習は確かに残っているものの、実際の多くの結婚は、名古屋とその他の地域でそれほど変わりは無くなってきたのでは、と思いきやそうでも無いようです。私は、東京から名古屋に出張でやってきた同じ会社や取引先の人と、あちこち車で回ったときにこんなことをよく言われました。

「やっぱり名古屋だよねぇ。結婚は派手なんだ~。」

何が派手だと思われる要素なのか

 しかし、道路の両側を見ても嫁入り道具を運んでいるトラックがいるわけでもなく、菓子撒きをやっているわけでもありません。何のことを言っているのだろうと首を傾げました。そしてまたある時はこう言われました。

「ねぇ、あれってラブホテル?違うかー。でも教会にしては派手すぎるよね。」

 それは結婚式場のことだったのです。名古屋では車を少し走らせただけで、すぐに大手の結婚式場チェーンが目に入ります。高砂殿やマリエール、平安閣などなど。ピンク色をした三角屋根だったり、ステンドグラスに覆われていたり、確かに一つ間違えばラブホテルに見えなくもありません。こんなことを言うと怒られそうですが...。

 そしてこれらの結婚式場は、なぜかお盆や正月に集中的にCMを流します。すごい時は、スポットCMの2回に1回が結婚式場だったりします。家族が揃った時に印象をつけるという目的でしょうか。

 しかし、これらの結婚式場は全国チェーンのはず。名古屋独特では無い気もするのですが、東京の人に言わせるとやはり、建物の規模も数も段違いだとか。東京では結婚式場がこんなに気になることは無いと、口を揃えて言います。

 でもそんなことで驚かれていては困ってしまいます。名古屋の結婚事情はもっとすごいのです。具体的にどうすごいのか、それはまた次回です。

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