03.西区 名古屋を歩こう

男は押しの一手に限る?

記事公開日:2004年4月10日 更新日:

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野菜を運んだ街道筋-岩倉街道

 名鉄犬山線中小田井駅から、かつては岩倉から枇杷島市場へ野菜を運ぶために主に使用された旧街道の「岩倉街道」を中心に小田井界隈を見ていきましょう。

 岩倉街道は1667(寛文7)年に通じたもので、市場へと野菜を運んだ人が、帰りに味噌や油をこのあたりで買い求めました。これによって街道沿いには商家が立ち並びました。しかし1757(宝暦7)年の「宝暦の洪水」や、1891(明治24)年の濃尾地震などで昔の建物は残っておらず、現在の建物はそれ以降のものが多いのですが、それでも明治時代の風情を残しています。加えて「プラッシー」といった昭和のホーロー看板も未だ残っています。名古屋市はここを町並み保存地区に指定していて、社寺とともに古い地割を残して街道筋の面影を残しつつ、道路を歩きやすく再舗装するなど整備をしています。

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▲岩倉街道です。地面は綺麗に舗装されています。
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▲明治時代の建物や、道標が残ります。
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▲「プラッシー」の看板があるなら、ポストは円形を残して欲しかったな...。

仏像群に思わず圧倒される-願王寺

 中小田井駅から岩倉街道を南下すると、街道沿いにさまざまな仏像が並べられたお寺があります。善光寺別院願王寺です。入口にはトルハルバン守護神像やカルダ像、そしてずらっと並んだお地蔵さま。さらに門の左右には金剛力士像があります。創建は829(天長6)年と言われ、長野県の善光寺から明治に善光寺如来を勧請し、1929(S4)年には本堂が建立されました。本堂はガラス張りで、一風変わった建物となっています。

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▲善光寺別院願王寺です。入口にはたくさんの像があります。
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▲こういった像だけでなく、木彫りの金剛力士像もあります。
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▲本堂はガラス張りで現代的。

狩猟の神・農業の神-東雲寺・長善寺・諏訪社

 その願王寺からさらに街道を南下します。すると庄内緑地公園とぶつかるところに五所社が、その少し手前を左に入っていくと幼稚園が併設されている東雲寺、さらに東へと歩くと法源寺、長善寺、諏訪社といった寺社が集中しています。そのうち諏訪社は、建南方命(たてみなかたのみこと)を祀っています。創建は不明です。その名のとおり、長野県にある諏訪大社の分社で、かつては狩猟の神・農業の神として崇められましたが、文永弘安の役以降は国家鎮護の守護神として信仰を集めています。今では住宅が所狭しと立ち並んでいますが、昔の小田井一帯は広大な農業地帯であったことを偲ばせます。この日は若い女性の方がお祈りをしていました。

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▲1492(明応元)年に小田井城主織田丹波守平常寛が創建した東雲寺。
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▲1539(天文8)年創建の長善寺。かつては比良にあったが、洪水でここに。
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▲長野県にある諏訪大社の分社、諏訪社。

牽牛星・織女星を祀る-星神社

 では、そこから庄内緑地公園沿いの道を進んでいきます。すると、川の土手に大きなムクノキがある星神社が見えてきます。星神社は大国主命、天香々背男神、牽牛星・織女星を祀っています。なかでも牽牛星・織女星を祀っていることから、8月7日に行われる七夕祭は、由緒のある祭礼となっています。

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▲1445(文安2)年創始の法源寺。当時の名は正徳寺。のちここに移築し改称。
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▲大きなムクの木が見えるとそこは星神社。

 それでは、七夕伝説を紐解いてみましょう。牽牛星は、天の川で天界と隔たれた人間界に一人寂しく住んでいました。ある日一緒に暮らしていた牛に、ある作戦を入れ知恵されます。そして牽牛星はその作戦を決行するのです。しばらくすると牛が言ったとおり、天帝の孫娘7人が天の川に入浴にやってきました。牽牛星は、牛が立てた作戦のとおり天女たちが川岸に脱いだ衣の中の一つを奪い取りました。驚いた天女たちは衣をまとい天へと逃げ帰りました。しかし、衣を奪われた織女星だけは帰ることができず、天の川に取り残されてしまいました。

 そして牽牛星は織女星に「衣を返して欲しければ嫁になれ」と言ったのでした。きっかけはとんでもなかったのですが、二人はとても仲良くなりました。そして、一男一女を授かり、二人はそれぞれ畑仕事と機織りをして平和に暮らしていました。しかし、天帝は激怒。織女星を天界へ連れ戻します。そして天の川の水を増水させました。ところが牽牛星とその子どもたちは、一生懸命に増水した川の水をすくったのです。それを見た天帝は愛の深さに感動し、年に一度だけ橋を架け、会うことを許したのでした。

 牽牛星は農業を象徴しているという解釈があります。実際にこのあたりは昔から水害の多い地域で、土手にある地蔵堂もそれを伺わせます。また、七夕伝説の純粋な愛情にあやかって、恋愛成就の神様という解釈もあります。遠距離恋愛をしている人にお勧めの神社です。

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▲星神社では子どもたちが遊んでいました。
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▲星神社近くの土手にある地蔵堂です。
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▲近くの電柱にはカラスの巣が残置されていました。

 ただ、牽牛星にあやかろうと真似をして、海水浴場で女の子の着替えを盗むナンパという方法を実行すると、犯罪になりますのでご注意ください。

 しかし、七夕伝説の牽牛星は、結構大胆な方法で出会いのきっかけを作ったのですね...。しかもいきなり結婚をせがむとは。


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