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なぜ東海地方にならないといけないの?名張市

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 三重県の各都市探訪シリーズ。前回の鳥羽市に続いて今回は名張市をお届けします。名張市は三重県でありながら、距離的にも文化的にも大阪に近く、関西文化が流入している上に、実際に大阪のベッドタウンとしてここ数十年は発展を遂げてきています。前回は文化面から名張市を見ましたが、今回は地理的な面から名張市と関西について考察したいと思います。名張市と関西の間には、意外にも大きな壁が立ちはだかっていたのです。

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 名張市内を車で走ります。カーステから流れるのは開局したばかりのFMなばり・なばステ。ケーブルテレビ会社のアドバンスコープが運営しているコミュニティFM局です。元々放送事業者によるFMということで期待していたのですが、そのクオリティに失望しました。ジングルやトラフィックインフォメーションのBGMはカッコイイのに、それを垂れ流しでトークを続けたり、J-POPが流れたと思いきやいきなり演歌が流れたりと、メリハリも無ければ、一体どの年齢層に向けて放送されているのかわからない構成。トークの内容も、百科事典をちぎって読んでいるようなものでした。

 関西文化が流入している名張の人は、放送に求めるクオリティも高いはずです。いろいろな意味での「面白さ」が無ければ、聞いてもらうことは不可能でしょう。実際、名張界隈では大阪、名古屋、そして地元三重の大手FM放送が聴けるわけで、このクオリティでそれらに太刀打ちできるとは到底思えませんでした。まあ、まだ開局したばかりですから、これからパワーアップしていくのでしょう。

 さて、名張という街が一体どういう場所にあるのかを見渡すために、名張市の西側にそびえる茶臼山山頂へと向かいます。駅周辺の新興住宅地街を抜けると、周囲は広大な田園風景へと姿を変えます。

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 茶臼山は、三重県名張市、奈良県山辺郡山添村、宇陀市にまたがる標高536メートルの山で、ここから名張市内に向けて、テレビやラジオの電波が発射されています。しかし、その発射されている電波は、三重と名古屋の放送です。なぜなら、いくら関西文化が流入していて、大阪のベッドタウンとなっているとはいえ、名張市は三重県。三重県は中京広域圏という、名古屋の放送区域になるためです。

 関西のテレビ電波は、大阪と奈良の府県境にある生駒山から発射されています。ということはこの茶臼山の背後からやってくるわけです。この茶臼山へ来てみてわかったことは、交通利便性や文化的にいくら名張と関西の結びつきが強いといっても、地理的には名張市と奈良県の間に壁があるということです。背後から飛んでくる関西のテレビ電波は、この茶臼山でシャットアウトされてしまいます。これでは、名張市内で関西に向けてアンテナを建てても、関西のテレビを安定して見るのは難しいということがわかります。

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 さて、その問題を解消するために頑張っているのが、先述のケーブルテレビ会社「アドバンスコープ」です。アドバンスコープはこの茶臼山に受信用のアンテナを建てています。そうです。ここで関西に向けてアンテナを建てて、大阪、京都、兵庫のテレビ電波を受信し、それをアドバンスコープの本社に送り、名張市内の各家庭へケーブルを通じて関西のテレビ電波を送り届けているのです。そのお陰で、名張市内では関西のテレビ放送を見ることができるのです。

 ちなみに、その受信設備のすぐ横に、FMなばりの送信アンテナが設置されていました。

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 この茶臼山からは、名張市側に向けては名古屋の放送電波が発射されています。既にデジタル放送の電波も発射されており、名張では名古屋のデジタル放送を楽しむことができます。そして奈良県側には奈良テレビの放送電波が発射されていて、名古屋のテレビ局と奈良テレビのアンテナが山頂で同居しているという不思議な光景が見られます。もちろん、それぞれの放送設備には、違う電力会社から電気が供給されています。名古屋のテレビ局は中部電力、奈良テレビは関西電力です。

 名張市街では、名古屋資本と関西資本のチェーン店が混在する不思議な街並みを見ることができますが、この山頂でも同様のことが起きているというわけです。

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 今問題になっているのは、このアドバンスコープによる関西のテレビ再送信が、デジタル化になると認められない可能性があるということです。といいますか、現時点で認められていません。以前にもお話しましたが、総務省はテレビのデジタル移行を機に、放送エリアの適正化を図ろうとしています。エリアの適正化となれば、名張は三重県、三重県は中京広域圏というわけで、名張市では三重テレビとNHK津、そして名古屋の放送見るのが「適正」となります。

 しかし、ケーブルテレビ会社で配信されないのならば、各家庭で大阪にアンテナを向けて、デジタル放送を見れば良いんじゃないの?とこれまで私は考えていたのですが、この地形では、名張で大阪にアンテナを向けても、大阪のデジタル放送が見られるのかどうかは微妙だと思います。この茶臼山がそれを邪魔しそうだからです。

 名張市での関西のテレビ受信は、総務省と茶臼山という二つの大きな壁によって、デジタル化をきっかけにして終わりを告げるのでしょうか。街並みを見ると関西と名古屋が混在しているのに、テレビだけは名古屋に一本化しなければならない。そこにはやはり「利権」があるのでしょう。利権と住民の声のどちらを尊重する結果になるのか。テレビのデジタル完全移行まであと5年。今後も注目していきたいと思います。

※2007(H19)年8月2日追記
CATVの区域外再送信、総務相が容認裁定へ
どうやら認められる方向になりそうです。

※2010(H22)年6月11日追記
アドバンスコープに対し、在阪広域4局の地デジ再送信が認められたとのことです。今後、アドバンスコープ内で再送信方式を決める会議で結論が出た後に、再送信開始の運びになったという情報が入ってきました。

※2010(H22)年06月23日追記
アドバンスコープでの、在阪広域4局の地デジ再送信は、8月1日から開始されるとのことです。

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茶臼山(三重・名張市)


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