浅井三姉妹VS浅井三姉妹-キャラ王国滋賀で見たもの

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  • キャラ王国滋賀だからこそ?
  • 結局そうなったんだよね、よいにゃんこ
  • 江の浅井三姉妹でも結局モメた

 今回、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」にちなんで開催された「江・浅井三姉妹博覧会」を中心に北近江を旅したのですが、やはり、ゆるキャラの火付け役であり、ゆるキャラ王国とも言われる滋賀県らしく、あちこちでキャラクターを見かけることとなりました。

 しかしです。ゆるキャラあるところに利権あり、モメごとあり…なのかはわかりませんが、お土産売り場では、ふと「どうしてそうなってるの?」なんてことを考えてしまいました。キャラクターはゆるくても、それをとりまくビジネスはゆるくは無いようで。

きっかけはひこにゃん、モメたのもひこにゃん

 ゆるキャラで爆発的なヒットを飛ばし、それこそ、ゆるキャラブームの火付け役になったと言っても過言ではないのが、彦根市の「ひこにゃん」です。このひこにゃんをめぐって作者と市がモメたのも記憶に新しいところです。

 彦根市内に限らず、湖北エリアを観光していますと、ひこにゃんグッズはあちこちで販売されているのですが、そのなかに同じひこにゃんの絵にもかかわらず、「ひこにゃん」と書かれているものと、「ひこねのよいにゃんこ」と書かれているものがあります。これこそ、モメた産物と言えます。

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今さらですが簡単に振り返ってみます

「ひこにゃん」は、2007(H19)年に開催された「国宝・彦根城築城400年祭」のキャラクターとして誕生したもので、もへろんさん(以下、作者)が図柄を担当し、「ひこにゃん」という名は公募で決まっています。

 その後、作者と市の間で裁判沙汰になるのです。作者の主張としては、使用許可はあくまでもその400年祭の期間だけであり、市のものになるという契約はしていないというもの。また、勝手に別のポーズのキャラクター商品を作ったり、勝手な性格付けをしたという理由も含めて、使用の中止を求めた訴えでした。

 そして調停が成立した結果、彦根市はひこにゃんとして、最初に決められた3つのポーズのみを使用することとし、作者はその猫のイラストを使って、絵本に限っては自由に創作活動をして良いということになったのです。それが「ひこねのよいにゃんこ」なわけです。「ひこにゃん」という名は、あくまでも公募だから、絵の作者とは関係ないということになるわけですね。

 それが、2007(H19)年末のこと。ところが、2010(H21)年6月、彦根市が「ひこねのよいにゃんこ」について販売中止を求めた訴訟をおこすのです。そう、作者が絵本以外のひこねのよいにゃんこグッズを作り始めたからです。

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 このような経過をふまえて、お土産売り場に「ひこにゃん」と「ひこねのよいにゃんこ」の商品がごちゃまぜであふれているのを見ると、キャラクター自体はこんなにかわいいのに、大人って…大人って…と思わざるを得ません。

注目は知ったかぶりカイツブリ

 モメた話が連続すると、なんだかネガティブなイメージばかりになってしまいますので、ここでひとつ。今、滋賀県で人気のキャラクターのひとつに「知ったかぶりカイツブリ」というものがあります。

 知ったかぶりカイツブリは、滋賀県の県鳥であるカイツブリをモチーフにしたキャラクターで、滋賀県域のテレビ局「びわ湖放送」によく登場するのですが、いわゆるテレビ局のキャラクターかというと、ちょっと位置づけが違うのです。

 守山市にあるアーティストグループ「藤井組」とびわ湖放送が一緒になって生み出したもので、県民なら、いや、県民だけがクスっと笑えるショートストーリーのアニメ作品を数多く生み出し、その人気ぶりは、NHKが全国ネットの経済ニュース番組で取り上げるほど。びわ湖放送の放送外収入にまでなり得ているようです。

 長浜でぬいぐるみとか探したんだけど…売ってなかった…残念。通販で買うかな…。

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 では再び、なんだなかなぁ…な話に。

湖北町と浅井町は良かったんだけど

 今回、「江」をきっかけに湖北エリアを旅したわけですが、やはりです。その江、浅井三姉妹をモチーフとしたキャラクターをたくさん見ることとなりました。それでも、毛色や作風が違ったり、微妙にキャラクター化の対象をズラすなど、棲み分けをしているなかでモメたのです。地元と県が。

 2011(H23)年のNHK大河ドラマが「江」に決まると、さっそく、浅井三姉妹をモチーフとしたキャラクターが誕生します。それは、今は合併してなくなってしまいましたが、浅井三姉妹のふるさとである小谷城を有していた湖北町にある町おこし会社です。

 100%住民出資で設立された「まちづくり湖北」は、湖北町の活性化を図る目的で誕生し、地元が大河ドラマになるのであればと、さっそく、浅井三姉妹「茶々姫」「初姫」「江姫」をキャラクター化し、2009(H21)年には既にキャラクターグッズや着ぐるみも完成させ、地元から浅井三姉妹を発信したのです。

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 時期は違いますが、こちらも同じく合併して長浜市となった、旧浅井町の浅井商工会青年部は、「ながまちゃくん」「おいちごちゃん」を生み出します。浅井三姉妹ではなく、その両親である浅井長政とお市の方がモチーフとなっています。

 これこそ、実に素晴らしい、戦略的なキャラ作りだと思います。隣町同士で違うキャラクターを作り、全員が揃うと、一説には存在する息子はいませんが、浅井家が一家勢揃いとなるという。

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すみわけのできなかった浅井三姉妹

 そのほかにも、この時期の湖北では、様々な浅井三姉妹に出会いました。まずは、「江・浅井三姉妹博覧会」のキャラクター。こちらは、少女漫画タッチで頭身も高いために、これまたイメージが全然違いました。そして、赤穂化成株式会が発売しているミネラルウォーター「江の雫」。こちらは完全に萌え絵。

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 湖北町は頭身の低いキャラ、博覧会は少女漫画、ミネラルウォーターは萌え絵と、同じ浅井三姉妹でも様々な切り口でいろんなキャラクター性を楽しませてくれる…のは、良かったのですが、あろうことか、ひとつ、もめごとが起きたのです。

 まちづくり湖北が、2009(H21)年から浅井三姉妹の頭身の低いキャラクターを展開していたにもかかわらず、滋賀県が、こちらも二頭身の浅井三姉妹の二頭身キャラクターを公募し、半年以上後出しでキャラクターの発表をしたのです。

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 それに対し、まちづくり湖北側は「配色・服装が似ている」と抗議。しかし結局、湖北側が折れる形で並存することとなったのです。

 今やキャラクター展開は、グッズ販売だけでなく、それらを商品とコラボさせることで利益を生むひとつの財産でもあると言えます。地元による地元のための会社が、地元が全国的に注目されることをきっかけに、地元の財産である歴史上の人物をキャラクター化して頑張っている最中に、県が横槍どころか、商売の邪魔をするという格好になったこの事例。

 県の意図はどこにあったのかわかりませんが、今回の旅で実際に感じたのは、旧・湖北町内では湖北の浅井三姉妹キャラクターの商品をたくさん見かけた一方で、長浜市の中心部では、県の浅井三姉妹キャラクターの商品がたくさん…であったことです。果たして、県がキャラクターを作っていなかったら、県が全然違うテイストのキャラクターを作っていたら、どうなっていたのでしょうか。

 ゆるキャラ王国・滋賀県。先進地だからこそ、人気となるものが多い一方で、人気となりやすいことから、キャラクターを利権として考えていかなければならないという状況。

 滋賀県に限らず、今やキャラクターは乱立時代を迎えました。何でも安易にキャラクター化することや、利権化による揉め事の多発で「キャラクターにはもううんざり」という時代が来ないことを願いたいものです。

関連情報

ひこにゃん|彦根市
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