トッピーの放送見聞録

横浜のラジオ局はここから始まった…「ラジオ関東開局の地」の25年前と現在

記事公開日:2020年5月3日

★住宅街のなかにあるラジオ関東開局の地と書かれた電波塔
★25年前そこにはラジオ日本の本社があった…けれど
★横浜の放送局でありながら果敢にキー局を目指し続ける

京浜急行の日ノ出町駅から、これって崖では?と思うような急な階段を上っていった先に、電波塔があります。そこにはかつてラジオ局がありました。横浜初の民間放送局。しかし開局から一度も、「横浜」「神奈川」を名乗ったことはなく実状は……。そんな場所に私はかつて25年前、来たことがあります。あの頃は、あったのです。

ラジオ日本の野毛山無線基地の場所にはかつて…

野毛山公園の「野毛山配水池」と結婚式場横浜迎賓館の間、住宅街のてっぺんに電波塔があります。これは神奈川県のAMラジオ局「アール・エフ・ラジオ日本」の野毛山無線基地です。ラジオ日本のAM放送の電波は川崎市幸区の多摩川沿いにある送信所から出ていますが、万が一の時にそこが使えなくなって、いざとなったらここから電波を出せるようになっています。

しかし、住宅街のなかにポツンとある白い小さな建物。場所に違和感を覚えます。なぜここにそんな施設があるのか。無線基地に近寄ってみるとわかります。そこには「JORF 昭和33年12月24日 ラジオ関東開局の地」とプレートが貼られています。そう、ラジオ日本は「ラジオ関東」という名前で、この場所で産声をあげたのです。

ラジオ関東は本来 神奈川県のみの放送局だった

ラジオ関東は、ちょっと変わった立ち位置のラジオ局です。「洋楽のラジ関」と呼ばれ、異国情緒漂う横浜らしい番組が人気のラジオ局ではあったのですが、その横浜らしさというのが、逆に足枷になっていたラジオ局でもあるのです。もともと、この放送局には「神奈川県域ラジオ局」として免許が与えられたからです。

TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送が東京を中心とする関東広域圏のラジオ局であったのに対し、ラジオ関東は神奈川県域。しかし、当初から「ラジオ関東」という名がついていたとおり、免許は県域であっても、意識は「東京キー局」。実際には、東京都港区麻布台にあるスタジオから番組のほとんどが発信される状況となりました。

あらゆる角度から在京キー局を目指した

ラジオ関東は、岐阜放送、ラジオ関西(神戸)、極東放送(現在のエフエム沖縄)と連携し、事実上、東京-岐阜-神戸-那覇でネットワークを組み、まさにキー局のような存在であったのです。電波を発射している川崎幸送信所も、まさに東京都の目と鼻の先。神奈川県域の免許で開局したものの、他の3局と同じ立ち位置になろうという意識の高い放送局でした。

さらに、読売ジャイアンツ戦のラジオ中継を独占し、1981(S56)年には「アール・エフ・ラジオ日本」と社名・局名を変更。「ラジオ日本」と名乗り、存在感を高めたのですが……。経営の混乱に陥ります。その後、1994(H6)年にそれまでの体制から一新され、日本テレビ系列のラジオ局として生まれ変わることになります。

25年前まだそこには開局当時の本社の姿があった

ちょうどその頃、私はその謎多き放送局、ラジオ日本がどんなものかと本社を訪れてみたことがあったのです。1995(H7)年2月のことでした。野毛山公園の「野毛山配水池」と結婚式場横浜迎賓館の間、そう、現在の野毛山無線基地の場所にラジオ日本の本社があったのです。しかし、車は停まっているものの、人の気配はほとんどありません。

そうです。ラジオ日本の番組制作や本社機能のほとんどは、東京・麻布台にあったからです。ただ、ラジオ関東として誕生してからの時の流れ、それまでの歴史を感じさせてくれる佇まいがそこにありました。その翌年、ラジオ日本は現在のビルに本社を移し、ラジオ関東として誕生した本社は取り壊され、今の状態になったのです。

日本テレビ系AMラジオ放送局となったが…

その後、ラジオ日本はBSデジタル放送で番組を流したり(現在は終了)、日本テレビと連携した番組を増加させ、日本テレビのマスコットキャラクター「ダベア」を採用。さらに、インターネットサイマルラジオサービス「radiko(ラジコ)」では、ネット配信は放送免許と関係ないので、関東全域に番組を配信。まさにキー局と同じ土俵に立ちました。

電波はやっぱり「神奈川県域」それでも!

遅れていたワイドFM(FM補完放送)も、2020(R2)年3月16日に開始。日本のAMラジオ局のなかで最後のスタートでした。ただ、こちらは電波です。神奈川県域放送としての放送エリアしか与えられませんでした。テレビ神奈川(tvk)が電波を出している、三ツ池公園のタワーからの送信となっています。

神奈川県域免許という足枷がありながら、ずっと「在京キー局」をめざしてきたラジオ関東・ラジオ日本。野毛山から東京へ、関東へ、全国へ。現在、その発祥の地には面影はありませんが、不利な立ち位置からでも、そこに甘んじることなく、メジャーに勝負を挑む、そんな息吹をこの「ラジオ関東開局の地」で感じることができました。

関連情報

ラジオ日本野毛山無線基地(横浜・西区)MAP

ラジオ日本野毛山無線基地

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