世界遺産なのに不便!?だから不便!?-石見銀山世界遺産センター

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TOPPY
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観光客がどっと押し寄せることを想定していないようなので、見させていただく」感じで。

AIKATA
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たくさんの観光客が来て困るなら、世界遺産なんかに登録申請しなきゃよかったのにね。

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石見銀山世界遺産センター(島根・大田市)MAP

島根県大田市大森町イ1597-3
TEL:(0854)89-0183
駐車場:400台
展示棟以外は無料
8:30~18:00(9月まで)

前回は世界遺産・石見銀山をざっと紹介しました。今回からは、じっくりとふもとから順を追って見ていきます。

石見銀山が世界遺産に登録されたのは2007(H19)年7月と、まだここ最近のこと。しかも登録されたのは遺跡だけではなく、「石見銀山遺跡とその文化的景観」。かつて栄えた鉱山跡だけではなく、既に産業としては衰退し、それが自然に回帰しつつある姿が、今も住んでいる人々の生活と調和している点が評価されて世界遺産になったという経緯があります。

そのため、白川郷や原爆ドームといった、ここが世界遺産というピンポイントのものが無く、また、場所もここを見ればいいという形にはなっていません。そのため、石見銀山を満喫するには、遺跡と集落を見て回る必要があるのですが、生活がそこにあることが評価されているという点からもわかるとおり、生活の場が観光地という、極めてナーバスな世界遺産であるといえます。

それを踏まえたうえで相当な覚悟と予備知識を持って訪れる必要があります。基本的に敷居は高いです。

もちろん、石見銀山の町並みのなかに車やバスで侵入することはできません。町並みからかなり離れた場所にある、石見銀山世界遺産センター駐車場に駐車することになります。パーク&ライドで銀山へと向かいます。このセンターも最近作られたもので、フルオープンは2008(H20)年10月の予定となっていて、まだ全面完成とはなっていませんでした。

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このセンターから、路線バスに乗って町並みのもっともふもとにある「大森代官所跡」や、中腹の「銀山公園前」、そして遺跡近くの清水寺方面へと路線バスに乗ることになるのですが、バスは土日祝は20分に1本、平日は30分に1本です。しかも、積み残しが常時発生している始末。パーク&ライドが充分に機能していません。ところがなんと、さらに減便やバスを廃止する可能性があるとのこと。

なぜなら、バスが通るのは普通車がすれ違うにも困難な細い道で、さらにはそこが子どもたちの通学路であったり、生活道路であったりするわけです。地元住民としては鬱陶しいことこの上ないのです。しかも、それが観光客にも伝わってくるくらいにピリピリしていて、町を歩く住民に気軽に道を尋ねたりできるような雰囲気ではありません。

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石見銀山は、この世界遺産センターと、古い町並みの残る「町並み地区」、銀山の遺跡のある「銀山地区」の3つからなるのですが、町並み地区だけを見て帰る観光客も多いとのこと。現在は休憩施設と仮設のおみやげ店しかないような世界遺産センターですが、フルオープンすると体験学習施設や遺跡の全体像についての映像展示なども見られるようになるとのことで、ひょっとすると、このセンターだけを見て帰るという人も多くなるかもしれませんね。

このように、石見銀山は生活の場であることが売りなので、そこに観光客がどっと押し寄せるキャパシティはありませんし、これを見れば「石見銀山を見た!」と言えるシンボルもありません。

しかし、江戸時代に銀山が開発され、それにより栄えた町並みを見たり、当時人の手によって掘削された坑道を見てさらに、鉱山のなかで死んでいった工夫たちを供養する石像たちを見ると、一体豊かということはどういうことなのだろうと、かつての繁栄と現代日本の繁栄とが重なり合い、今に通ずる何かを得ることができるはずです。

そのためにも、石見銀山に訪れる際には、何キロも歩く覚悟をした上で、さらにはバスに乗れなくても30分待つことができる、時間の余裕と心の余裕が必要になります。ぶらりと普通の観光地感覚で訪れると、嫌な思いをすることになります。

世界遺産のくせに…と、それを恨んではいけません。なぜなら、ここに今も守らなければいけない生活があることが、世界遺産に登録された理由なのですから。

関連情報

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石見銀山遺跡の中核地域・大森の町並み観光のための、一番かんたんなトリセツ。駐車場、町へのアクセス、町並みでの移動手段、見どころなどを紹介しています。

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