欠陥品だったドリームランドモノレール、非主流の形式で修理不能になった向ヶ丘遊園モノレール、キャッチフレーズどおり未来と結ばれるのか疑問の、債務超過な多摩モノレール。横浜ドリームランドの跡地探訪からスタートして、関東のモノレールにまつわるお話を紹介していますが、どれも暗い話になってしまいました。
そこで、わが国で最も長い間走り続けているモノレールを見に、JR上野駅へとやってきました。
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と言っても、この上野駅からモノレールが走っているわけではありません。上野駅から歩いて数分の、東京都恩賜上野動物園へ。最古のモノレールは上野動物園のなかにあるのです。
せっかく上野動物園へやってきたのですから、ちょっと寄り道。上野と言えばやっぱりパンダですよね。日本国内でパンダのいる動物園は、この上野と、神戸の王子動物園、そして和歌山のアドベンチャーワールドの3園のみで、名古屋近郊の動物園ではお目にかかることができません。
上野動物園を見渡してみますと、名古屋の東山動物園と比べると面積は半分以下ということもあり、狭くて小ぢんまりした印象を受けます。でもやっぱり、パンダの存在は魅力的。
私は中学生の頃、修学旅行で初めて東京にやってきた際、自由行動でこの上野動物園にやってきたのですが、その時以来のパンダとの再会です。元気な姿を見られるか…。
しかしやっぱりそこはパンダ。この日は雨で気分も良くなかったのでしょう。うつぶせで、後ろ足も伸ばしてヤル気ゼロ。でも、そんなところもカワイイ。
あ、モノレールでしたね。上野動物園にあるモノレールは、東園と西園を結んでいるもので、開業は1957(S32)年12月17日、明日で50周年を迎える、日本で初めての常設のモノレールです。
でも、園内を走ってるだけのモノレールでしょ?
そう思われるかもしれません。でも、この上野動物園モノレールには「東京都交通局上野懸垂線」という正式名称が付けられていて、単なる遊戯施設ではなく、鉄道事業法に基づく交通機関として運行をしているのです。
モノレールのレールの横には、東京都交通局協力会が寄贈した、エミュー放飼場があり、エミューが運行を見守っています。
とはいえ、園内を結ぶモノレールですから、乗っていられるのはわずか1分半。料金は大人150円、小児80円となっています。もちろん、このモノレールに乗るためには別途、上野動物園への入場料が必要となります。
正式名称にありましたとおり、上野動物園モノレールは懸垂式。ゴムタイヤでレールを挟んで、ぶら下がる格好で走っています。当初は、東京都交通局が各地にこのモノレールを採用する目的で、実験線としてスタートしているのですが、結局東京都交通局はここ以外にモノレールを走らせることは無く、ゴムタイヤによる懸垂式のモノレールが他の会社路線で走ることも無く、今ではほぼ遊戯施設となってしまっています。
しかも、最古のモノレールといっても、方式が東京都交通局オリジナルであることから、設備更新が可能で、何度も行っており、現在走っている車両は2001(H13)年製と新しく、レトロ感を味わうことは残念ながらできません。
開園から閉園までの間、7分間隔で運行されていて気軽に乗ることができます。しかし、東京都交通局の運営ではあるのですが、都営一日乗車券で乗ることもできませんし、PASMOやSuicaで乗ることもできません。
西園駅の近くにいるペンギンたちは、モノレールには乗れないというわけです。
この上野動物園モノレールは、もちろん、我が国で最も古いモノレールには違い無いのですが、車両や設備も新しくてあまり歴史を感じることができませんし、何より、動物園内を走っているだけで、他の交通機関と接続されているわけではなく、遊戯施設という印象が拭えず、営業しているモノレールという味わいがありません。そして、形式がオリジナルであり、他で採用された実績も無く、現存しているモノレールにおける、主流の形式でもありません。
なんだか孤独なモノレール…。でも、子どもたちの夢を運んだ回数はどこにも負けないモノレールです。
では…。
・最も古い車両が現役で使われているモノレールはどこか
・輸送路線としてのモノレールとして最も古いのはどこか
・現在も他の路線で活躍している形式を最初に採用した路線はどこか
なんと、その3つの要素を全て兼ね備えたモノレールが、名古屋近郊にありました。ようやくここで、名古屋に話が繋がるのです。
でもその前に、モノレール探訪でせっかく関東へ来たのですから、夢のある列車が走るお店に立ち寄ってから、名古屋に戻ることにしましょう。お店のある東急東横線の祐天寺駅へ。
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