愛・地球博開幕前リポート第3回
前回に引き続き、愛・地球博の見どころ特集です。前回は長久手会場の「センターゾーン」「企業パビリオンゾーン」「遊びと参加ゾーン」「日本ゾーン」「森林体感ゾーン」「グローバルコモン」のうち、センターゾーンと企業パビリオンゾーンのBゾーンをご紹介しました。なぜAからではなくBからご紹介したかといえば、やはりそこはトヨタ自動車を先に紹介しておいたほうがいいだろう、という思いからそうさせていただきました。別に何か圧力等があったわけではありませんが、今、名古屋が元気でいられるのはトヨタさまのお陰ですので。
企業パビリオンゾーンA
JR東海超電導リニア館
企業のパビリオンの中で、私が最も気になっているのが「JR東海超電導リニア館」です。2003(H15)年に山梨リニア実験線で、時速581キロと有人走行では世界最高速度を記録した超電導リニア、その車両が展示されます。車両は1月21日に搬入され故郷に錦を飾ります。
なぜ故郷なのかと言いますと、実はこのリニア車両、愛知県豊山町にある三菱重工小牧工場製なのです。今回展示されるに当たって、一度三菱重工に搬入され化粧直しを行いました。この車両は実際会場で走ることはありませんが、電導リニア館では時速500キロのリニアを疑似体験することができます。800インチの3D映像で未知のスピードを体感してください。
そう言えば…今から16年前の1989(H元)年に名古屋で開催された「世界デザイン博覧会」にもJR東海はリニアステーションというパビリオンを出展していました。確かその時も、時速500キロの車窓から見える2000年都市の風景という展示があったと思うのですが、 2000年はもう過去になりましたけど、リニアはまだ未来の乗り物なのですね。
東京-大阪を1時間で結ぶ超電導リニア。名古屋っ子としては体験しておく必要がありますね。あれ、ちょっと待ってください。東京-大阪間を1時間ということは、これって名古屋に停車するのですかね…。そもそも中央リニアって山梨、長野、岐阜を通るんですよね…。実は名古屋は通りもしないとか…。まさか、そんなことは無いですよね。
JR東海さんの本社は名古屋ですものねー。でも、かつて新幹線「のぞみ」で名古屋を飛ばしたのは、東京のJR東日本でも大阪のJR西日本でも無く、名・古・屋のJR東海さんでしたっけね。
▲JR東海電導リニア館。見難いですが奥にリニアがあります。
三菱未来館@earth
JR東海にも映像展示がありましたが、映像シアターをメインとしているパビリオンが、三菱グループの「三菱未来館@earth-もしも月がなかったら」です。三菱の本社は東京ですが、愛知・名古屋は切っても切れない縁があります。
エレベーターを作っている三菱電機稲沢工場、いろいろと問題を抱えている岡崎の自動車工場、港区にある三菱重工の名古屋航空宇宙システム研究所ではロケットが製造され、中村区の重工名古屋研究所では空調などの産業機器が研究されています。そして小牧ではロケットのエンジンなどを研究している名古屋誘導推進システム研究所に、先ほどのリニア車両を製造した小牧工場があります。
このように名古屋とは縁が深い三菱グループが展示するのが、「もし月がなかったら」というニール・F・カミンズという教授が書かれた著書をもとにした映像です。月の誕生、そしてタイトルのとおり、もし月が存在しなかったら地球はどうなっているのかを再現し、月と地球の奇跡的な関係を紹介します。
このパビリオンを案内するのは、ロボットです。ロボットアテンダントのwakamaruは、1万語の単語を習得していて、時間の認識もしていて、人間的な素養を兼ね備えています。人間的ということは、もし叩いたら「痛い!」とか言うのかな…。それはやめておいたほうがいいかもしれませんね。ボルトが折れてしまったりしたら大変ですから。
ワンダーサーカス電力館 ワンダーホイール展覧車
そして、電気事業連合会が出展するのが「ワンダーサーカス電力館」です。サーカスといってもパフォーマンスをするのは人間ではありません。自然の力が織り成す、まるでサーカスのような世界を、ロボットが運転する4両編成のライドに乗って見学します。水、海、宇宙、地球、日本、四季といった展示の中を走ります。
ちょっとこれだけの説明では掴み所がありませんが、見てのお楽しみということで。コンセプトは「地球と人と夢、この素晴らしい世界」です。このAゾーンにはあと、日本自動車工業会による「ワンダーホイール展覧車」という50m級の大観覧車があります。しかし観覧車の半分は建物に覆われていて、そこでは自動車の過去、現在、未来を楽しむことができます。展示と景色のふたつを楽しめる観覧車となっています。
景色と展示を融合させた観覧車とは考えましたね。それとも、この観覧車から見える景色は会場と森しか無いことから、1周それでは飽きてしまうからということで、こうなっただけなのか…。観覧車の半分が屋内ということですが、その間は外から見られないからといって無茶をなさらないように…。
▲電力館と展覧車。奥の展覧車では、展示と景色を両方楽しめます。
遊びと参加ゾーン
ファミリー愛ランド ときめき愛ランド わんパク宝島ロボットステーション
このゾーンは愛・地球博のテーマである自然を肌で感じたり、参加型のイベントが行われるところです。「ファミリー愛ランド」には東海地方一の高さを誇る88mの大観覧車があります。って、先ほどの観覧車の立場が…。観覧車の横にある「ときめき愛ランド」ではお化け屋敷を楽しめます。
ときめくお化け屋敷というコンセプトがどういうものなのか、全く想像がつかないところも見所です。
食・アニメ・スポーツをテーマにした展示がされる「わんパク宝島・ロボットステーション」では、ロボットが子どもの相手をしたり、接客をしたり、掃除やゴミ箱輸送、さらには警備をしています。なかでも食のテーマは1階です。どうやら1Fの「ワン」と、食べる「パク」をかけて「わんパク」になっているようです。余計な分析ですね。
▲大観覧車は夜この色に輝きます。タイムショック色です。
モリゾーキッコロメッセ EXPOホール 地球市民村 グローイングヴィレッジ
さて、様々なイベントが行われるのが「モリゾーキッコロメッセ」と「EXPOホール」です。詳細はまた時期が近くなったら明らかになると思います。あと、自然が体感できるのが「地球市民村」「水の広場」「風の広場」「散策の森」「グローイングヴィレッジ」です。
ここには青少年公園の面影を残していると言うことなので、かつてこの青少年公園で遊んだことのある方は、里帰り気分でお越しください。この近くの小学校に通われていた方は、必ず遠足などで青少年公園に来たことがあると思います。私もその一人です。初恋のあの子と遠足で一緒にお弁当を食べた青少年公園…。今、横にいる恋人や奥さん、旦那さんには内緒であの頃の甘酸っぱい気持ちを思い出してみるのも一興です。
▲メッセは、ゴーカート場だったところに。(写真は青少年公園当時)
日本ゾーン
長久手愛知県館 中部千年共生村
日本ゾーンは、政府、県、名古屋市の出展ゾーンです。この「愛・地球博-自然の叡智」を主催する日本。「日本館」では、日本人が今まで自然に対して何をしてしまったのか、そしてこれからどうして行くのかを、360度の天球映像システムなどで紹介します。「愛知県館」では、からくり人形から宇宙ステーションまで、日本の物作りを支える愛知を知っていただき、また愛知の伝統芸能やお祭りを体感していただきます。
中部9県による「中部千年共生村」では、地下資源の無くなる千年先の未来へ、生物資源の提案をします。中部9県とは愛知・岐阜・静岡・長野・富山・石川・福井、そして三重・滋賀です。三重と滋賀に違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、以前から三重・滋賀・福井は、近畿圏と中部圏の二股組です。
▲大地の塔と長久手日本館。日本館は竹で覆われています。
大地の塔-EARTH TOWER
この日本ゾーンで注目されているのが、藤井フミヤ氏プロデュースによる、名古屋市パビリオン「大地の塔-EARTH TOWER」です。風、光、水をテーマに、高さ47メートルの大地の塔自体が巨大な万華鏡になっているという、さすがデザイン都市名古屋ならではの奇抜なアイデアによる展示となっています。
もちろん大地の塔周辺には、意味深なオブジェなども置かれ、風の力によって木琴の様な音を奏でるとのことで、街のあちこちに像などを配し、普段から街のデザインに取り組んでいる名古屋市の複合技を体感できます。そして何よりも名古屋市らしいのが、この「大地の塔」というネーミングです。
これって…、大阪万博の「太陽の塔」に対抗意識を燃やしているんでしょうね…。
実際の所ですが、大地の塔はフミヤさんの命名によるもので、やはり太陽の塔を意識しているのだそうです。
▲そ、そんな。大阪万博にかなうわけないじゃないですかー。大阪に勝とうなんて思ってませんよ…。とんでもない。
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