めでてゃあ名古屋の正月・名古屋の年末年始のしきたりとは

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名古屋の年末年始大特集!

今回は、名古屋っ子の年末年始を見ていきます。名古屋だからといって特別な年越しをするわけではありませんが、他の地域の方が想像する名古屋の正月とは違う、意外な一面もあったりします。

年越しそば

年末といえば年越しそばです。細く長く人生が続いていきますように、との祈りを込めて1年を締めくくる意味で食べられるものです。名古屋っ子は普段あまりそばを食べませんが、さすがにこの年末は食べる人が多く、毎年大晦日のローカルニュースではそばを食べる名古屋っ子の映像が映し出されます。

年越しそばの風習に地域性は特になく、全国どこでも見られる光景です。月末にそばを食べるという江戸時代の習慣が、年末だけに残ったものといわれていて、意味は先述の細く長くの他にも、そばは切れやすいので一年の苦労を切り捨てて新年を迎えるという意味や、そばの植物としての強さを得るという意味があるという説もあります。

名古屋といえばきしめん。当然「年越しきしめん」を食べる人もいます。また、大阪には年越しうどんを食べる人もいるとのこと。そんな大阪では年越しうどんに「太く長く運のある新年を」という意味を込めています。しかし、年越しきしめんには意味がありません。そこで私なりに年越しきしめんに意味を込めてみました。

きしめんは幅が広いことから「新年も横の繋がりが広くなりますように。」はどうでしょうか。でもそれだとなんか薄っぺらい人脈しかできないような気もしますね…。それなら、きしめんはすぐにできあがることから、「新年はスピーディーになりますように。」はどうですかね。

しかし、1年が早く過ぎるっていうのはあまり良いことでは無い気もします…。ならば、きしめんに鰹節が絡みつく様子から「夫婦、家庭円満になりますように。」どれもしっくりこないなぁ。ちなみに、初詣のついでにきしめんを食べる人も名古屋には多くいます。結局名古屋っ子はきしめんが好きだから食べるわけで、特に意味を持たせることは無理かな…。

あ、そうか。年越しそばではなく、わざわざ年越しきしめんを食べることの意味は、「好きなものは好きと自己主張できる名古屋っ子でいよう。」なんだ!

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▲熱田神宮にある宮きしめん。年末年始は長蛇の行列ができます。

初詣

新年を迎え神さまにご挨拶に行く初詣。新年の無事と平安を祈るものです。もとは元日朝までにお参りをするものでしたが、現在では1月15日までにお参りをすれば良いとされています。多くの名古屋っ子は、名古屋市熱田区にある三種の神器のひとつ草薙の剣を祀る熱田神宮、通称「あつたさん」へと足を運びます。

2004(H16)年初詣の人出全国ランキングでは、トップが東京都渋谷区の明治神宮で290万人。そして2位が千葉県成田市の成田山新勝寺で260万人。3位が神奈川県川崎市の川崎大師で255万人。4位が京都市の伏見稲荷大社で235万人と続き、熱田神宮は伏見稲荷と1万人差の234万人で5位にランクインしています。他にも名古屋近辺では豊橋市の豊川稲荷が120 万人で13位、三重県伊勢市の伊勢神宮が64万人で18位となっています。(警察庁まとめ)

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▲初詣。名古屋で最も賑わう熱田神宮。写真は2005(H17)年。

名古屋市の人口が212万人ですから、それ以上の人が熱田神宮へと初詣に訪れるということになります。熱田神宮境内にはきしめん専門店「宮きしめん」があり、様々なきしめんを食べることができます。普通の醤油ベースのきしめんを紅、天ぷらきしめんや卵とじきしめんに使われる白醤油ベースのきしめんを白として紅白に見立て、紅白きしめんとして食べる人もいるとか。結局名古屋っ子は年越しも新年もきしめんです。

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▲名古屋はそんなに本気じゃないのですが、岐阜や三重にはまだ本気の人達がいます。首都機能移転…。

初日の出

名古屋で初日の出を楽しめるイベントが行われるのは、都心ですと名古屋テレビ塔とJR セントラルタワーズ、そして郊外では小牧市の小牧山、渥美郡渥美町の伊良湖岬といったところです。伊良湖岬は渥美半島の先端にあり、向かう道路が限られるために例年長い渋滞が発生し、初日の出までに到着が間に合わないなんてこともあります。

伊良湖岬には日本の渚百選に選ばれた「恋路ヶ浜」があり、島崎藤村の「椰子の実」のモデルや、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった場所です。しかしです。恋路ヶ浜という名前とは裏腹に、カップルで訪れると別れるという話は名古屋では結構有名です。

恋路ヶ浜という名はロマンティックな伝説から名付けられたわけではなく、結ばれぬ恋をして仲を引き裂かれた女性が、ひとりこの浜に移り住み、寂しさから貝になってしまったという言い伝えがあるのです。そんなところにカップルで訪れれば…。

ですので「初日の出を伊良湖岬に一緒に見に行こう。」と彼氏または彼女に誘われた時点で察しましょう。そして、初日の出で光る涙を拭いて、新年は新しい恋へと歩きだそうではありませんか。

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▲伊良湖岬の初日の出(2001年)。念のため(?)恋路ヶ浜は避けました。

お雑煮

おせち料理については特に名古屋だからというものは見当たりませんが、地域性がよく表れるお雑煮は、名古屋独特なものとなっています。名古屋流雑煮。これが意外なもので、名古屋以外の方に話すと結構驚かれます。

全国的に見ますと、お雑煮は関西を除いて薄口醤油や塩をベースにしたすまし汁仕立てです。関西では味噌仕立てで主に白味噌ベースとなります。また地域によっては赤味噌、米味噌仕立てや、小豆汁仕立てというところもあります。

汁だけでなく餅についても千差万別で、東日本では四角形、西日本は丸餅という傾向はあるもののそんな単純な話ではなく、餅にあんこが入っているところがあったり、切り餅をそのまま煮るのと、焼いてから煮るという調理法の違いも地域によってあります。

それで名古屋なのですが、ここで名古屋といえば赤味噌を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。そして派手好きな名古屋のことですから、正月だけに具材がふんだんに入れられたお雑煮を想像されるかもしれません。ところが、実態は全く違います。

名古屋のお雑煮は、日本一シンプルといわれています。薄口醤油ベースのダシに、四角い餅と小松菜に似たもち菜を入れて 煮る。それだけです。あとは食べる直前に鰹節を入れるのみです。蒲鉾も里芋も豆腐も魚も海老も、そして名古屋っ子が大好きなはずの鶏肉も入れません。餅ともち菜と鰹節。それ以外には何も入れないのが名古屋流なのです。

ところが、最近ではこのもち菜の生産量が落ちているだけでなく、東京から名古屋に進出したスーパーは、もち菜の存在を知らないというところがほとんどで、お雑煮用には小松菜を売っているのだとか。確かに小松菜ともち菜は似ていますが、食感が違います。

シンプルな雑煮なだけにそこにはこだわりたいものです。でも、我が家でも最近は小松菜を使うことが多くなっています。最近は地場のスーパーでも、もち菜を見ることが少なくなりました。

となると、赤味噌のお雑煮はどこで食べられているのか。それは福井県なのです。兵庫県や京都府の一部でも食べられているようですが、福井県では全県で赤味噌のお雑煮が食べられているのです。普段、赤味噌の味噌汁を飲んでいる地域は愛知県だけだというのに、福井の人はお雑煮だけ赤味噌というのはどういうことなんでしょうか。お雑煮のためだけに赤味噌を買うのかな。

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▲餅と菜っぱと鰹節。そんだけ。

テレビ

名古屋では年末年始になると、なぜか恐ろしいほど結婚式場のコマーシャルが流れます。正月は、普段離れて暮らしている家族が揃う数少ない機会。年頃の息子、娘がいる家庭であれば、親は子どもの結婚について問いただしたいものの、なかなか口にすることができません。

そんな親御さんを結婚式場はバッチリサポート。結婚式場のCMを頻繁に流すことで、自然に親御さんがその話題を口にするきっかけにして欲しいのです。名古屋の結婚はそれほど派手では無くなったとはいえ、やはり全国的にはお金をかける方です。しかし、名古屋の結婚式場は飽和状態で競争は年々激化しています。

これからは少子化でただでさえ子どもが少なくなるのに、結婚をしないというライフスタイルも定着しつつあります。

「とにかく結婚して欲しい。」

結婚式場にとっては、結婚をしてくれないことには商売上がったりです。親は、子どもには早く結婚してもらい、自分たちの老後の面倒を見て欲しいと思っています。その2つの利害関係が一致した結果がこれなのです。

どれほど多いのかといいますと、CMの2つに1つが結婚式場という時間帯もざらにあるほどです。最近、娘さんが正月に帰省しなくなったと嘆いている親御さん。

「今、テレビが壊れていて映らないよ。」

と言えば、ひょっとしたら帰ってくるかもしれませんよ。

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▲初詣で賑わう豊川稲荷。愛知県下では熱田さんに次いで賑わいます。

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この記事を書いた人
TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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