- 愛知県春日井市にある日本初「コンビニ発祥の地」のココストアは今…
- ココストアとサークルKとサンクスはファミリーマートになったはずだった
- 店名こそ違えど商品ラインナップも…そして会社名も!
コンビニ業界4位、ユニー傘下のサークルKサンクスは9月1日、新たに統合された「FU ユニー・ファミリーマートホールディングス」傘下となり、社名を「ファミリーマート」と変更しました。
サークルKサンクスが社名を変更する形で新・ファミリーマートとなったため、会社名としての「サークルKサンクス」は既に消滅。店舗ブランドの「サークルK」と「サンクス」も、2018(H30)年2月末までにすべて「ファミリーマート」へと変更または閉店となり、サークルKは完全消滅します。何かが残る要素がありません。
その一方で、2015(H27)年10月1日付で一足先にファミリーマートに買収されたココストアは、12月1日にファミリーマートに吸収合併され、法人は解散、店舗はこの8月末をもってすべて姿を消す…はずでした。いや、確かに店名としては消したのですが…。
日本初のコンビニとして1971(S46)年7月11日に開店し、「日本のコンビニエンスストア発祥の地」という記念碑の置かれていた、ココストア藤山台店に行ってみると、店名こそ違えど、なんと、ココストアは日本初のコンビニとして、名古屋発祥のコンビニとして、残り続けていたのです。
ココストア1号店はタックメイトになっていた
9月に入り、青と緑の店になっているのではないかと、おそるおそるココストア藤山台店のあった場所へ行くと…。ファミリーマートではなく、なんと、「TAC-MATE(タックメイト)」というコンビニになっているではありませんか。
しかも、配色はココストア当時のまま。タックメイトは本来、緑色とオレンジ色の配色になっているはずなのですが、明らかにココストア色のタックメイトです。
品揃えもココストアのまま!
この日は、家族で外でお弁当でも食べようと思っていたので、お弁当コーナーを見てみますと…。
「店内で調理いたしました」
ココストアの売りであった、店内調理も健在。さらに名物の「ばくだんおにぎり」まで販売されているではありませんか。タックメイトと名前こそ変われど、ココストアは残った…と思ったら、なんと実は、その名前も残っていたのです。
タックメイトとは?
タックメイトとは、かつてココストアを設立した、名古屋に本社を置くお酒と食品の商社「イズミック」によって作られた「ボランタリー型コンビニストアチェーン」です。
ボランタリーとは、本部と加盟店が1対1の関係となるフランチャイズと異なり、それぞれの店舗の経営者の独立性を維持しながら、横の繋がりをもって連携し、共通のブランド・仕入れ・物流を共有するものです。
かつてイズミックは、フランチャイズの「ココストア」と、ボランタリーの「タックメイト」の2つのコンビニを作ったのです。しかし2012(H24)年、ココストアはこのタックメイト事業を譲受。タックメイトはココストアのボランタリー事業となっていました。
なんとココストアの名前も残した
同じように、福岡県のリョーユーパンという会社が立ち上げた、ボランタリーチェーンの「RICマート」というコンビニがあります。このRICマートは、大手に対抗するために、2000(H12)年にココストアと業務提携。のちにココストアの子会社となり、2009(H21)年に「ココストアリテール」という社名に変更しています。
ここからの動きが面白いのです。ココストアのボランタリーチェーンである「タックメイト」と、ココストアリテールのボランタリーチェーンである「RICマート」について、ココストアを吸収合併したファミリーマートは、ミツウロコグループホールディングスへと譲渡することで合意します。
ココストア系のボランタリー事業について、ファミリマートはいらないと判断し、全てをミツウロコへと譲渡。すると、その中核として、この「ココストアリテール」という会社はそのまま残り、ミツウロコの傘下となりました。それが成立したのが8月25日。発表の文書に「ココストアブランドはミツウロコグループのオリジナルブランドに転換する」という文言があり、店名としてココストアは使えないことが伺えます。
9月1日より、ミツウロコグループの「ココストアリテール」が運営する「タックメイト」と「RICマート」という形となりました。そして、そのココストアリテールは、ミツウロコのある東京ではなく、ココストアのあった名古屋市へと4月に本社を移していたのです。
しかも、タックメイトはボランタリーチェーンでありながら、この「日本初のコンビニ」藤山台店は直営です。つまり、このタックメイト藤山台店を運営しているのは、株式会社ココストアリテール本体。店名こそタックメイトですが、日本のコンビニ発祥の地に、実はココストアは、残ったのです。
ココストアリテールとイズミックとパスコ
よく見てみますと、店内調理の「スナックランチ」にも、「ばくだんおにぎり」にも、はっきりと「製造者 株式会社ココストアリテール TAC-MATE藤山台店」と、「ココストア」の文字。
大盛ぶっかけきしめんには「株式会社イズミック」の文字も。資本的にはミツウロコグループではありますが、イズミック系のココストアリテールによるタックメイト。名古屋発祥のコンビニとしてココストア・タックメイトは、荒波を乗り越え、しっかりと残ってくれたのです。
タックメイトの店内で売られているパンは全てパスコ。イズミックが盛田家系の酒類卸で、ココストアが盛田家系のコンビニで、そしてパスコの敷島製パンは盛田家系の製パン会社、盛田家の同族企業です。
お店の前にある「日本のコンビニエンスストア発祥の地」の記念碑も、「株式会社ココストア」の名前こそ消してありましたが、健在でした。
切り離された感は強いけど…いや、切り離されて良かった!
タックメイトとなったのと同時に、収納代行(公共料金・通販代金等の支払い)、クレジットカードでの支払い、電子マネーでの支払い、電子マネーへのチャージ、manacaミュースターポイントサービス、プリペイドカードの販売などは終了したとのことで、純粋に現金で商品を販売するだけのお店となっています。
また、レジもまだココストアのままで、タックメイト名義での領収書を希望される方は手書きで対応しますという張り紙。
確かに、場末感は漂っています。しかし、サークルKも姿を消し、ココストアも姿を消し、「名古屋発祥のコンビニ」が全て失われるかと思いきや、1993(H5)年に名古屋市港区で1号店がオープンした「タックメイト」が残り、その運営会社は会社名としては「ココストアリテール」を残してくれました。
この9月1日は、「さようならサークルK」の一方で、「消えると思っていたらよくぞ残ってくれたココストア」な日ととなりました。
日本で初めてのコンビニエンスストアを起源とする、名古屋発祥のコンビニは、これからも健在です!
ココストアのイメージキャラクターは、かつて「COJI-COJI」でした。そんなココストアを救ってくれたのはミツウロコ。ミツウロコのイメージキャラクターといえば…。そうか、まるちゃんがコジコジを救ってくれたのね。
【追記】
2016年11月17日午後1時、閉店となりました。
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コメント
TAC-MATEは緑を中心とした看板ですが
カラーリングに手を加えない感じで
名前だけを変えたあたりは粋ですね。
昨日行ってきましたが本当に変わってませんね。
店内放送も「ココストアが○○時をお知らせします」
だったり「ココストアは店内禁煙~」とか
「ココでワクワク、ココストア♪」の曲もそのまま。
ココでしか買えない爆弾おにぎりにパンをもって
レジに行くといまだココストアの制服を着た店員が
レジを打ってくれる。
このままでいてほしいけどさすがこのあたりは
変えていくでしょうね。
東京在住でココストアを知らなかったのですが、「ファミリーマートに吸収」のニュース以降、「ばくだんおにぎりが無くなるのは寂しい」というコメントをあちこちで見て、(こんなに愛されているコンビニってどういうものだったんだろう?)と興味を持ちました。
日本初のコンビニエンスストアだったことや発祥の地の店舗は残されていることなど、とても面白く拝見しました。
是非旅行の際に訪問してみたいものです。
残念なお知らせですが、2016年11月17日で閉店だそうです。
春日井市民として、春日井の名物のひとつがなくなってしまうのは本当に寂しいです。