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さようならエイデン本店-エディオン名古屋本店が移転で完全閉店

記事公開日:2013年5月19日 更新日:

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★名駅から柳橋から消える「エイデン本店」
★完全閉店と移転オープンどっち?
★結局別格扱いなのは広島だけになった

 名駅太閤通口のユニー生活創庫跡地にビックカメラ名古屋駅西店がオープンしたのが今から10年前。一昨年には名鉄百貨店本店ヤング館の跡地にヤマダ電機LABI名古屋がオープン。さらに2016(H28)年には松坂屋名古屋駅店の跡地にヨドバシカメラ名古屋店が進出を決定しており、名古屋駅周辺は家電激戦区となりつつあるなかで、一番の老舗が店を閉めることとなりました。しかもそのお店はかつての「本店」。

 実際には移転にもかかわらず、お店にはその場所への別れを惜しむかのように「完全閉店」の文字が溢れます。既にそのお店の名は消滅してしまっていますが、かつての本店を失う「エイデン」は、一体...どうなる。

そう、それは「エイデン本店」

 名古屋駅に最も近い家電量販店といえば、ビックカメラが進出してくるまでは一択でした。それは、そう、名古屋を地盤に地元で圧倒的な信頼と親しみを獲得してきた「エイデン(旧・栄電社)」です。

 そのエイデンが本店を構えていたのが、名古屋駅からも程近い柳橋。柳橋中央市場の向かいにあり、中央市場の通りの名も、このエイデン横は「錦エイデン通」と名づけられていました。

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 最盛期には、エイデン本店とテクノ(PC部門)の2店舗体制となっており、場所を入れ替えつつリニューアルされ、テクノがコンプマートと名を変え、さらに規模は大きくなり、まさに本店、母店としての風格が漂っていました。

 店内にCD部門の「ディスクステーション」があった頃は、ZIP-FMの番組がここから放送され、名実ともに名古屋の最先端を行く、家電、パソコン、ソフトの一大集約店舗。まさにアミューズメント型家電量販店といえるほどのものだったのです。

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エディオンになり風向きは変わる

 しかし、家電量販店を取り巻く環境は激変。接客やアフターサービスの質から価格競争へ、地域密着よりも大規模化へ。大きなうねりがやってきます。

 エイデンはそのなかで、ホームセンターのサカキヤと合併し、家電とホームセンターを融合したホームエキスポという業態を開発したり、子会社の広告代理店「ハドック」が通信衛星や格闘技などエンターテインメント事業に乗り出したりと、多角経営を目指しますが、結局は単独での生き残りをあきらめます。

 エイデンの方向性を決定付けたのが2002(H14)年のことでした。広島を本拠とするデオデオと共同持株会社「エディオン」を設立し、エイデンとデオデオはエディオンの傘下に収まることになるのです。

 それから10年、エディオンはミドリ電化、石丸電気、100満ボルトなどを吸収し、結局は持株会社体制は解消され、会社も店舗ブランドも「エディオン」に統一されるのです。そして、かつてエイデンが手広くやっていた事業はことごとく縮小されていきます。

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移転なのに完全閉店

 柳橋の地で30年。形や規模は変われど、エイデンは本店を構え続けてきました。しかしこの5月27日、完全閉店となります。現在の店名は「エディオン名古屋本店」。ところが、名古屋本店が無くなるわけではありません。

 現在のエディオン名古屋本店から、南へ500メートルほどのところにある駐車場跡地に移転する格好で、6月中旬に新生オープンします。

 え?それなら、それほど大騒ぎすることでもないのでは?

 と思われるかもしれません。移転にもかかわらずエディオン側は「完全閉店」と銘打っています。実はそこには、「旧エイデンとしてはこれで本当に終わり」という意味がこめられている気がしてならないのです。

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広島本店は別格

 既に、新しいエディオン名古屋本店の建物は出来上がりつつあります。確かに、駐車場も完備され、今の名古屋本店よりも売場面積は広くなりそうです。とはいえ、豊田本店よりもその規模は小さく見えます。確かに名古屋本店には違いないのですが、あくまでもエディオンの名古屋の本店であって、旧エイデンの本店を承継するものにはとても思えません。何より、見た目が郊外型なのです。

 今のエディオンならどこもそんなもんでしょ?いや、それが違うのです。

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 エディオンの最初の母体である、名古屋のエイデンと広島のデオデオ。エイデンの旧本店はこのように地方の拠点のような扱いになる一方で、デオデオの旧本店は扱いが別格なのです。

 デオデオ本店、つまりエディオン広島本店は、本館と新館の体制で、しかも都市型店舗を維持しているのです。そして何より注目はここです! かつて、エイデンのサイトは「eiden.co.jp」、デオデオのサイトは「deodeo.co.jp」でした。そして今はエディオン「edion.com」に統一されて...いるかと思いきや違うのです。

 それはこの、エディオン広島本店のウェブサイトに行くとわかります。エディオン広島本店のURLを見てください。

http://www.deodeo.co.jp/honten/

 これ、酷いと思いませんか?エディオンの広島本店は、いまだにデオデオの本店というアドレスになっているのです。じゃあ、名古屋本店もエイデンのアドレスのままかって?

http://my.edion.jp/pc/brand/shop/nagoya_honten.php

 こんなんです。「eiden.co.jp」というアドレス自体は、イメージ保全のためか今も放出はされていませんが、この扱いの違いはもう明白です。

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 もう、おわかりですよね。何が「完全閉店」なのか。エイデンはエディオンになって規模が大きくなった...のではなく、デオデオに吸収されてエディオンになったのです。名古屋の家電量販店は広島の家電量販店に飲み込まれて、名古屋の本店は広島のただの支店になる...この移転こそがその象徴。そういうことなのでしょう。

 完全閉店を迎えるエディオン名古屋本店、いや、エイデン本店の近くにある公衆電話ボックスには、いまだにこうあります。「東海銀行...前」。

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 かつては名古屋の栄電社といえば、圧倒的な信頼と親しみで、それこそ名古屋っ子の生活に密着した存在でした。規模を追い求めることと、地域密着は両立できないのでしょうか。いや、広島には今でも密着してるわけだものね。

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 このエイデン本店の完全閉店を、名古屋っ子はどう受け止めるでしょうか。ただひとつ確実にいえることは、ヨドバシカメラという最終的なライバルの出現を前に、名古屋駅の家電量販店戦争から名古屋のエイデンは離脱するということです。

 完全閉店は5月27日(月)。

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取材協力

KAZ Communications

関連情報

エディオン名古屋本店(名古屋・中村区)MAP

35.168984, 136.889252

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