- 名駅から柳橋から消える「エイデン本店」
- 完全閉店と移転オープンどっち?
- 結局別格扱いなのは広島だけになった
名駅太閤通口のユニー生活創庫跡地にビックカメラ名古屋駅西店がオープンしたのが今から10年前。一昨年には名鉄百貨店本店ヤング館の跡地にヤマダ電機LABI名古屋がオープン。さらに2016(H28)年には松坂屋名古屋駅店の跡地にヨドバシカメラ名古屋店が進出を決定しており、名古屋駅周辺は家電激戦区となりつつあるなかで、一番の老舗が店を閉めることとなりました。しかもそのお店はかつての「本店」。
実際には移転にもかかわらず、お店にはその場所への別れを惜しむかのように「完全閉店」の文字が溢れます。既にそのお店の名は消滅してしまっていますが、かつての本店を失う「エイデン」は、一体…どうなる。
そう、それは「エイデン本店」
名古屋駅に最も近い家電量販店といえば、ビックカメラが進出してくるまでは一択でした。それは、そう、名古屋を地盤に地元で圧倒的な信頼と親しみを獲得してきた「エイデン(旧・栄電社)」です。
そのエイデンが本店を構えていたのが、名古屋駅からも程近い柳橋。柳橋中央市場の向かいにあり、中央市場の通りの名も、このエイデン横は「錦エイデン通」と名づけられていました。
最盛期には、エイデン本店とテクノ(PC部門)の2店舗体制となっており、場所を入れ替えつつリニューアルされ、テクノがコンプマートと名を変え、さらに規模は大きくなり、まさに本店、母店としての風格が漂っていました。
店内にCD部門の「ディスクステーション」があった頃は、ZIP-FMの番組がここから放送され、名実ともに名古屋の最先端を行く、家電、パソコン、ソフトの一大集約店舗。まさにアミューズメント型家電量販店といえるほどのものだったのです。
エディオンになり風向きは変わる
しかし、家電量販店を取り巻く環境は激変。接客やアフターサービスの質から価格競争へ、地域密着よりも大規模化へ。大きなうねりがやってきます。
エイデンはそのなかで、ホームセンターのサカキヤと合併し、家電とホームセンターを融合したホームエキスポという業態を開発したり、子会社の広告代理店「ハドック」が通信衛星や格闘技などエンターテインメント事業に乗り出したりと、多角経営を目指しますが、結局は単独での生き残りをあきらめます。
エイデンの方向性を決定付けたのが2002(H14)年のことでした。広島を本拠とするデオデオと共同持株会社「エディオン」を設立し、エイデンとデオデオはエディオンの傘下に収まることになるのです。
それから10年、エディオンはミドリ電化、石丸電気、100満ボルトなどを吸収し、結局は持株会社体制は解消され、会社も店舗ブランドも「エディオン」に統一されるのです。そして、かつてエイデンが手広くやっていた事業はことごとく縮小されていきます。
移転なのに完全閉店
柳橋の地で30年。形や規模は変われど、エイデンは本店を構え続けてきました。しかしこの5月27日、完全閉店となります。現在の店名は「エディオン名古屋本店」。ところが、名古屋本店が無くなるわけではありません。
現在のエディオン名古屋本店から、南へ500メートルほどのところにある駐車場跡地に移転する格好で、6月中旬に新生オープンします。
え?それなら、それほど大騒ぎすることでもないのでは?
と思われるかもしれません。移転にもかかわらずエディオン側は「完全閉店」と銘打っています。実はそこには、「旧エイデンとしてはこれで本当に終わり」という意味がこめられている気がしてならないのです。
広島本店は別格
既に、新しいエディオン名古屋本店の建物は出来上がりつつあります。確かに、駐車場も完備され、今の名古屋本店よりも売場面積は広くなりそうです。とはいえ、豊田本店よりもその規模は小さく見えます。確かに名古屋本店には違いないのですが、あくまでもエディオンの名古屋の本店であって、旧エイデンの本店を承継するものにはとても思えません。何より、見た目が郊外型なのです。
今のエディオンならどこもそんなもんでしょ?いや、それが違うのです。
エディオンの最初の母体である、名古屋のエイデンと広島のデオデオ。エイデンの旧本店はこのように地方の拠点のような扱いになる一方で、デオデオの旧本店は扱いが別格なのです。
デオデオ本店、つまりエディオン広島本店は、本館と新館の体制で、しかも都市型店舗を維持しているのです。そして何より注目はここです! かつて、エイデンのサイトは「eiden.co.jp」、デオデオのサイトは「deodeo.co.jp」でした。そして今はエディオン「edion.com」に統一されて…いるかと思いきや違うのです。
それはこの、エディオン広島本店のウェブサイトに行くとわかります。エディオン広島本店のURLを見てください。
http://www.deodeo.co.jp/honten/
これ、酷いと思いませんか?エディオンの広島本店は、いまだにデオデオの本店というアドレスになっているのです。じゃあ、名古屋本店もエイデンのアドレスのままかって?
http://my.edion.jp/pc/brand/shop/nagoya_honten.php
こんなんです。「eiden.co.jp」というアドレス自体は、イメージ保全のためか今も放出はされていませんが、この扱いの違いはもう明白です。
もう、おわかりですよね。何が「完全閉店」なのか。エイデンはエディオンになって規模が大きくなった…のではなく、デオデオに吸収されてエディオンになったのです。名古屋の家電量販店は広島の家電量販店に飲み込まれて、名古屋の本店は広島のただの支店になる…この移転こそがその象徴。そういうことなのでしょう。
完全閉店を迎えるエディオン名古屋本店、いや、エイデン本店の近くにある公衆電話ボックスには、いまだにこうあります。「東海銀行…前」。
かつては名古屋の栄電社といえば、圧倒的な信頼と親しみで、それこそ名古屋っ子の生活に密着した存在でした。規模を追い求めることと、地域密着は両立できないのでしょうか。いや、広島には今でも密着してるわけだものね。
このエイデン本店の完全閉店を、名古屋っ子はどう受け止めるでしょうか。ただひとつ確実にいえることは、ヨドバシカメラという最終的なライバルの出現を前に、名古屋駅の家電量販店戦争から名古屋のエイデンは離脱するということです。
完全閉店は5月27日(月)。
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コメント
エディオン名古屋本店が閉店することは全く知りませんでした。
そもそも、エイデンとデオデオでは、売り上げ自体はエイデンの方が上ではなかったのでしょうか?
中部地方の人間として、名古屋市や名古屋圏に本店や本部を置く店が少なくなってきて、とても残念です。
エディオン名古屋本店が名古屋駅から遠くなってしまうのは残念ですが、今の場所では駅からは微妙に遠くて、駐車場も機械式で利用しづらいので、そう考えるとあの場所で名駅の家電戦争を戦うよりは、移転という選択の方が正しいのかもしれませんね。
父が栄電社とかいっていてボケかなぁ~と思っていたらエイデンの旧称だったんですね。名古屋で集めたお金の7割ぐらいが東京に流れる状況にしても、名古屋の影が薄くなりつつありますね。
ナゴヤっ子が愛せるブランドを大切にしていかないと・・・。
>ユーキさま コメントありがとうございます
メールもいただいておりましたのに、
お返事がまだで申し訳ありません。
地方の時代が声高に叫ばれる時代のなかで、
名古屋ブランドが消えつつあるのはこれいかに、
という状況が昨今続いていますね。
確かに、移転自体は実はいい結果を生む気もします。
ただひとつやっぱり「名古屋のエイデン」という色が
消されることが辛いですね。
「広島のデオデオ」は温存されているだけに。
>hamoさま コメントありがとうございます
堅実な名古屋っ子なだけに、
儲からなくなったら、さっさと…というところが、
現在の状況を生み出しているのかもしれませんね。
エイデンのさよならは本当に寂しいです。
ヨドバシ向かいの、新大名古屋ビルに出店すると言う、噂を聞きましたが、ラビ系になるのかな?
名駅から、今の本店に行くには、ラビの前を高確率で、客層は、通るわけで、急いでいればラビで済ますと言う事も地下鉄からの乗り換えで、郊外に帰宅する人達は、普通な事ですよね。
こんにちは、いつも楽しく読ませて頂いております。
どうやら、管理人様が勘違いされている点があるようなのでコメントさせて頂きます。
まず、「完全閉店」という表記ですが、エディオングループの店舗移転に伴う閉店時は必ず使われている表記です。
旧エイデン、旧デオデオどちらでも同じです。
本店の店舗形態。
こちらも同様。広島本店は所在地を変えなかったため、郊外型ではない建物となっているだけです。
名古屋本店は立地の悪さ・規模の小ささもあり、以前から客入りも悪く、現所在地で建替えをするのは割に合わない話です。
立地が変わったから、そこに合わせた店舗外観にした。至極当然のことです。
むしろ、「本店」と名乗るには充分な広さと核を持った店舗となったのではないでしょうか。
秋葉原本店に至っては、移転ではなく消滅です。
それと、駅前型店舗として営業するにはエディオンの価格・サービスは不適当かと思われます。
利用者の価値観など、駅前型量販店と郊外型量販店では色々と異なるものがあります。
最後に、地域密着。
一番両立できている量販店だと思いますよ?
規模の分、疎かになる部分は確実に出てくるはずです。しかしサービス品質の向上や、地域事情に合わせた出店。
地元経済を知っているからこそできることではないのでしょうか。
もっと言えば不採算でも営業を続けている直営店舗がたくさんあるのは何故でしょうか。
「地元」への社会貢献だと私は思います。
電器屋の人さんの投稿に。
>名古屋本店は立地の悪さ
広島は立地が良いというのも、いささかご都合主義かと。
その地域によって、立地の良さの考えは違うかと思いますけど。
>むしろ、「本店」と名乗るには充分な広さと核を持った店舗となったのではないでしょうか。
数値上は広いですが、それは駐車場棟を含めた値。
売り場の述べ床面積では豊田本店が一番広いですよ。
過去の資料、行政への届け等、改めて確認されれば分かるかと思います。
>大府市のテレ東オタさま コメントありがとうございます
大名古屋ビルヂングについては、
情報を持ち合わせておりませんので、なんとも…ですが、
とりあえずエディオンとしては、南のほうに移転という形となります。
>電器屋の人さま コメントありがとうございます
いつもご覧いただいているとのことで、ありがとうございます。
ご指摘の点につきましては、勘違いではなく、
知っていて意図的に書いています。
至極当然のことを当然のように書いていても、
アクセス数を稼ぐことはできませんので…。
ハンドルネームからして、中の方のようですが、
もし本当にこの記事に対して真剣に思うところがおありでしたら、
「新名古屋本店の地域密着本気度を見せてやるから取材にこいよ!」
とアプローチしてくださったら、嬉しかったです。
でも実際、
「エイデン」感傷話はアクセス数が膨れ上がるんですよ。
それだけ名古屋の人の関心は高いということだと思います。
>事情通さま コメントありがとうございます
そうなんですよね。実は豊田本店よりも規模が…というのは、
同行してくださった方も仰っていました。
事情通様
仰るとおり、豊田本店を含め、名古屋本店より大きな地域本店は他にも数店あります。
計画段階での競合他社の出店状況や売り上げを元に店舗規模は考えられていますので…。
それに加え、名駅周辺はまとまった土地の確保は難しかったと聞いております。
駅の真前に店を構えたところで、価格競争では太刀打ちできませんからね。
管理人様
地域密着と言えるかはわかりませんが、広島本店で好評のエディオンクラブを、新店舗では始めるとか。
「エディオン」として地域に愛してもらうための新たな取り組みだと思います。
もっとも、栄電社時代からの建物から離れてしまうのは寂しい気持ちもありますが…。
これも時代の流れだと思うしかないと、私は思います。
広島本店も、エディオンになって色々と苦労しているそうなので。
質より価格が重視されるこのご時勢。
地域に愛される4社が集結してのエディオンですから、エイデンは他3社の良い部分も取り込んで行くことで、より愛されるお店になってもらいたいものです。
トッピーさんを追う形で、朝日新聞のサイトが特集してますね。
http://www.asahi.com/business/update/0530/NGY201305300007.html
既出でしたらすいません。
>電器屋の人さま コメントありがとうございます
実際、感傷で売上があがるわけではありませんし、
割り切らなければならない部分があることは理解しています。
しかし名古屋の一消費者として、
やはりかつての「エイデン」には、
特別な思いを抱いていたからこその寂しさですが、
それでもやっぱり、これからもエディオンは、
一番身近な家電量販店ですし、そうあり続けてほしいと願っています。
>RightPaperさま コメントありがとうございます
朝日新聞の記事読みました。
最後のアナリストの方のコメントにありましたが、
名古屋での「エイデン」として定着している強みを生かした上で、
丁寧なサービスを伸ばすべきだというのは、
全くそのとおりだと思います。
初めて投稿します
旧エイデン本店は現在どうなりましたか
>ぷさま
何もかわっていませんね。
今も空きビルとしてそのまま残されていますね。
一番不遇なのはエディオングループ内で唯一緑のミドリ電化じゃないか?今更だけど
次に不遇なのはイシマル、秋葉とかで60年位やってきて今更商標変更って・・・エイデンとデオデオはまだ勝ち組だと
名前のことを考えるとデオデオも不遇
エイデンとエディオンって名前似てるからまだ定着するけどデオデオやイシマル、ミドリ地域では定着しづらいかと