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長久手と瀬戸・万博会場の跡地そして展示物はどうなる

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 あと22日で閉幕する愛・地球博。終わったらあそこはどうなるの?会場の建物や施設はどうなるの?と思っていらっしゃる方も多いと思います。愛・地球博のテーマは「自然の叡智」。建設時から3R(リデュース・リユース・リサイクル)を目指していますが、それが実現できるかどうかはむしろ閉幕後にかかっています。

万博は規定により、閉幕後1年以内に会場を元の状態に戻すことになっています。愛・地球博の跡地はどういったスケジュールで元に戻すことになっているのか、今回はそのあたりを注目したいと思います。

備品は?展示物は?そして会場跡地は?

オークション

 売れるものは売ろう。備品の売却。それは赤字回避のために行われた、世界デザイン博覧会のときのような決してダークなものではありません。あの時は、価値の無い備品を法外な値段で名古屋市が購入することで、デザイン博の赤字の補填を税金で行うことが目的だったために裁判沙汰となり、現在は返還額確定のための審理を最高裁から名古屋高裁に差し戻され、具体的な金額の検討に入っています。

 今回はそうではなく、あくまでもリユースの観点から、愛・地球博の備品を広く多くの人々にネットオークションで売ろうというものです。

 8月25日から既に開催されています。カナダのオークション会社「メイナーズ」が一手に引き受け、順次各外国館の備品が出品されます。まず出品されたのがスイス館の音声ガイド機。
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 これはスイス軍が使っていた懐中電灯を改造したもので、15,000円からスタートしています。規模の大きいところでは、ベルギー館のレストラン設備一式が500万円から、ベルギー館のパビリオン設備一式が2,000万円からスタートしているのですが、はたして落札者は現れるのかどうか…。

 今後は、オーストラリア館にあるカモノハシの巨大ぬいぐるみ、オーストリア館のソリ、アメリカ館からはVIPルームにあるソファーセットやピアノのほか、なんとアメリカ館入口にある金属探知機までもが出品される見込みです。

 各パビリオンは、閉幕1ヶ月後の10月25日までに建物を空にすることになっています。これまでは、本国へ持ち帰ったり廃棄するのが通例でしたが、今回はオークションにかけるという形でリユースを狙います。各パビリオンはメイナーズに売却代金の15%を支払い、メイナーズはヤフージャパンのオークションを通して売却をします。

※オークションは10/21に終了しました。

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▲こちらがスイス館の音声ガイド機。もちろん懐中電灯として使用できます。

売却

 オークションにかけられるわけではなく、普通に売却をしようとしているパビリオンもあります。ドイツ館はレストランを400万円で売却しようとしています。日本にいくつかあるドイツレストランは、ドイツ人から見るとどれもドイツらしく無いと感じるそうです。

 それに対してドイツ館のレストランはドイツにある雰囲気そのままのため、ドイツ人が多数訪れ人気になること間違い無しというお墨付きです。しかも、ドイツレストランを運営するための秘密のノウハウ伝授もすべてこの400万円に含まれているそうです。これはひょっとしたらチャンスかもしれませんよ。

 そして開幕当初から話題になっていたのが、パビリオン丸ごと商品になっているネパール館です。ネパールの首都カトマンズの世界遺産「スワヤンブナート」にあるハラティ・マタ寺院がパビリオン内に復元されています。これは200人の職人が2年がかりで製作したもので、それを一度解体し、パビリオンに運び込んで今度は20人の職人が4ヶ月がかりで組み立てたものです。

 お値段はなんと2億円。それでもお安いかもしれません。既にもう何人か購入を申し出ているそうです。ただ、高さは8.5メートル、縦横は各4.1メートルもあるので、置ける場所があるかどうか、まずそれを考えてから購入をご検討ください。

 各外国パビリオンともに、売店の商品の割引、叩き売りが始まっています。中国館は一部を除いて3割引になっていますし、イエメン館も値切るとかなり値下げしてくれるようです。これは、本国へ持ち帰る輸送費を考えると叩き売ってしまった方が良いからです。欲しかったあの商品がお安くなるかもしれません。ただ、輸送費のかからなそうな、捨てやすそうなものは値下がりしない傾向にあります。

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▲スワヤンブナート。こりゃ運ぶのも大変そう…。

贈与

 カナダ館の前にある、カナダのシンボルであるメイプルリーフのオブジェをどこかに贈ろうとカナダは検討しています。カナダの姉妹都市などに話を持ちかけていますが、輸送費の問題もあり、なるべく愛知県内のどこかに置きたいとのこと。大きさは縦15メートル、横11メートル、重さは4トン。存在感があります。

 でも、これをただ単に置くわけにもいきませんから、それ相応の雰囲気のある場所に移設されるといいのですけど。愛知県にはデザインオブジェが大好きな、デザイン宣言都市の名古屋市がありますから、何とかなるでしょう。

※カナダ館のオブジェは、カナダのミササガ市と姉妹都市提携を結んでいる刈谷市のその名も「ミササガパーク」に移譲されることが決まりました。

 一方、瀬戸愛知県館は一部を残して解体されるのですが、使用した木材は豊田市の旧下山村で建設中の小学校に使われます。さらに、グローバルループも一部を除いては解体され、花壇やベンチなどとともに、県内各自治体に再利用先を求めています。ここは間違っても、売却ではなく贈与でお願いしたいものです。デザイン博の轍を踏むことになってしまってはいけません。

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▲メープルのオブジェは重さがなんと4トン。運搬大変そう…。

移設

 ポーランド館にあるレストランは、名古屋市内で営業を続けることが決定しました。スタッフもそのまま雇用されるので、万博会場で食べた味が引き続き名古屋市内で楽しめることになります。また、長久手日本館の360°天球シアター「地球の部屋」は、東京の国立科学博物館に移設されることになっています。

そのまま

 以前から誘致合戦が起きていた、映画「となりのトトロ」に登場する「サツキとメイの家」は、現在と同じ場所に3年から5年展示されることになりました。しかし維持費が高いために有料での公開となります。公開予定は来年夏以降になる見通しです。そしてそのサツキとメイの家のすぐ近くにある日本庭園もそのまま残されます。

 ハガキを出しても出しても当たらなかった方には朗報ですね。ぜひ来年夏以降にお越しください。もちろん、リニモは閉幕後もありますから大丈夫です。あれは見た目ショボイですけど、万博のためだけに作られた物ではありませんから。そして、瀬戸会場の瀬戸愛知県館は海上の森の散策拠点として残されます。森に戻った瀬戸会場をゆっくり散策する際に利用できます。

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▲サツキとメイの家は2006(H18)年夏から公開予定。

未定

 しかし、まだ行き先や今後どうなるのか決まっていないものもあります。名古屋市パビリオンの大地の塔。世界最大の万華鏡としてギネスブックに掲載されたものの、移設には億単位のお金がかかるために、名古屋市としては世界一を逃したくないものの、移設費用をどうするのか、移設先をどこにするのかなど今後は決まっていません。

 そして各パビリオンの建物。これらもリユース、リサイクルの観点から、どこも同じつくりにしたものの、いざ再利用となるとその先が見つからず難航しているとのことです。

※大地の塔は解体処分が決まりました。

長久手会場はどうなる

 地元の私達にとっては、万博会場としてよりも「青少年公園」として親しみのある長久手会場。万博の規定では 1年以内に元に戻すことにはなっていますが、予定では11月から新しい公園の名前を公募して、 2006(H18)年の夏までに再オープンする予定になっているとのことです。道路名や道路標識はいまだに「青少年公園」になっていますから、出来レースで青少年公園に戻る可能性が高い気もします。

 ということは、現在はグローバルハウスになっているプール、スケート場や、グローバルコモン4になっている野球場、日本広場になっている陸上競技場も夏には利用できるようになるということです。IMTSが走っていたあのサイクリングロードを、再びサイクリングできる日はそんなに先のことではないようです。

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▲青少年公園も愛・地球博も共に思い出に…。

 結局私は、今まで生まれてこの方青少年公園に行った回数を、万博へ行った回数で上回ることはできませんでした。だって青少年公園には30~40回程行ってますからね。この後、あそこがいくら公園に戻ると言っても、あの思い出の青少年公園が帰ってくるわけではありませんからね…。

 過去の青少年公園がそうなってしまったように、愛・地球博も、間もなく心の中で永遠になります。残り22日間、行けるだけ行くつもりです。

※以上は9/3にメールマガジンとして発行したものです。

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