ご注意:このお店はすでに閉店しています
★自動車メーカーにお勤めだった店長
★在名にとどまらず東名阪のメディアで話題
★包丁持ちだしてケンカとか
大須に話題のラーメン店があると聞き、行ってきました。しかし話題になっている理由が、こだわりの材料だとかラーメンそのものの味ではなく、店長だそうで。一体どんなラーメンなのか、いや、店長なのか。楽しみです。
しかも話題になっているのは名古屋のメディアだけにとどまらず、大阪や東京のテレビ局などが連日取材に訪れているそうで、私たちが行った日も、日本テレビの番組のスタッフが取材に訪れていました。私はインタビューに答えても良かったのですが、相方が「嫌です」と断ってしまったのでされずにショボーン。
大須でラーメンといっても...
大須でラーメンといったら、まず思い浮かべるのは「大須中華街」なのですけれども、そんなフレーズも、間もなく聞けなくなってしまいそうです。大須中華街は、2003(H15)年に開業した大須301ビルの3階に突如登場したもので、当初は12軒のお店が営業し、一躍大須の人気スポットとなりました。
しかし、何が原因だったのか...。やはりビルの3階という立地が災いしたのかそれとも肝心の...なのかはわかりませんが、次々と撤退し、現在営業しているお店は2軒のみ。しかも、今年6月に報じられたニュースによりますと、来年4月には競艇の場外舟券売場「ボートピア」へと姿を変えるそうで、もしその計画が予定どおり実行されるのであれば、間もなく大須中華街は幻となってしまうことでしょう。
自動車メーカーから転身
話題のラーメン店は、そんな大須中華街ではなく、第二アメ横ビルにあります。かつて第二アメ横ビルといったら、店先にはやたらと様々な色の回転灯が光るお店や、電子部品屋さんが軒を連ねているというイメージだったのですが、リフォームもされているようで、すっかり見た目オシャレな建物に変わっていて驚きました。
するとありました!「とんこつらーめん名古屋総本家・ふぁ~めん」の看板。2階へと階段を上がります。
店はガラス張りになっているのですが、すだれが掛けられていて、店内を窺い知ることはできません。店先には、大型テレビが置いてあって、そこでは店長の生い立ちがアピールされていました。
なになに...。
以前は大手自動車工場で働いていたのですが、一念発起してラーメン店を開店したとのこと。「究極の調理技術」と「堕落したパフォーマンス」をご堪能あれ!!とあります。
究極の調理技術はわかるけど、堕落したパフォーマンスって...何?
店長の正体とは!
店内に入ってびっくり。そこにいた店長とは、ロボット...。
そうなんです。ふぁ~めんとは「FA麺」のこと。そしてFAとは、「ファクトリーオートメーション」の略だったというわけです。
ウィーン・ウィーンいいながら、店長と副店長はせっせとラーメンを作っていました。
あ然としていると、そこに人間の店員さんが。店員さんは人間なのですね。
メニューを見ますと、ロボットが作るメニューと人間が作るメニューにわかれています。といっても、人間が作るのは餃子とごはんのサイドメニューだけで、ラーメンはすべてロボットが調理します。
ラーメンは麺の固さが選べるようになっていまして、バリカタ・カタ・並・ヤワメンと、そこはしっかりロボットですから、完璧に正確な茹で時間で調理してくれます。
私たちが店員さんに注文すると、店員さんはタッチパネルでロボット店長と副店長に指示するのみ。あとはロボットたちが会話をしながらラーメンを作ってくれます。
ラーメンそのものは、豚骨ベースのスープに秘伝のタレを加えたという濃厚なもの。無添加、化学調味料なしのいわゆる「無化調」の本格派。麺は極細麺です。
マスコミで話題に!
日本初!?のロボットが作るラーメンという話題性は大きく、店内には取材に来たテレビ番組の方々のサインやステッカーが貼られていました。名古屋のテレビ局はもちろんのこと、朝日放送や読売テレビといった、大阪の局が多く取材に来ているようです。
そしてこの日は、21日に関東ローカルで放送された日本テレビの番組が取材に来ていまして、オンエアーを見たら、私だけがちょこっと映っていました。相方がOKしていれば、インタビューされたかもしれないのになぁ...。相方は目立つことが嫌いなので、そういうのは嫌がってしまうんですよね。まあ、仕方ないか...。まあ、もし私がインタビューされたとしても、採用されるようなベストコメントができたかどうかはわかりませんが。
包丁を持ち出してのケンカが...
テレビでは「大人気」と紹介されていましたが、さすがにこの日は平日のランチタイムも終わった午後1時過ぎということもあってか、お客は私たちともう1人という状態で、調理を終えた店長と副店長は、のんびりするのかと思いきや。
いきなり、「店長は麺しか茹でていない」と言い出して、副店長が仕事に対する不満を吐露しはじめ、仕舞いには包丁を持ち出す始末。しかし店長は容器の金属製のふたでその刃をカット。
なるほど。これがパフォーマンスね。
全自動の見えないところには...
私が一番ツボに入ったのは、店長が麺を入れた後、副店長がトッピングを乗せる際に、容器からチャーシューだけがなかなか落ちないハラハラ感と、トッピングを入れ終わった後は、その容器を床にあっさり落とすところですね。店内じゅうにカランカランと音を響かせてました。
確かに、全自動でラーメンを作るロボットたちもすごいですけれども、ロボットが床に落とした容器を片付けたり、そもそも、ロボットが一発でトッピングできるように、トッピングをセッティングしている店員さんも、見えない時間に、見えないところで結構動き回っているのでしょうね。
不景気に何ができるか
このお店は、名古屋のすぐ南にある大府市の産業用機器メーカー株式会社アイセイが運営を行っていて、自社のロボットのPRも兼ねているものです。まあ、いかにも名古屋らしいといえば名古屋らしいですね。だからこそ、東京や大阪のマスコミも取材にやってくるのでしょう。
でも、同じ大須にあって、さらにニュービジネスを即座に察知しているはずのテレビ愛知が過去に取材に来ていなかったことは、ちょっと意外でした。
この前、そのテレビ愛知のローカルニュースでもやっていましたけど、今、名古屋の自動車業界は大変な状況になっていますが、だからといって、嘆くのではなく、積極的に自社の技術を他の業界や分野にアピールしていくことが、会社の今後の明暗を分けるのではないでしょうか。
この心意気、とても勉強になりました。不景気こそチャンス。自分も今、ちょっと人生の迷路に入り込んでいる時期なだけに、いい刺激になりました。
それにしても、ラーメンを食べながら、ラーメン店とは思えない、ウィーン・ウィーンという産業用機械が動く音を聞くと、前職で工場に営業周りをしていた頃を思い出しちゃいました。
ご注意:このお店はすでに閉店しています