いちご大福と天むすを生んだ街-どちらも発祥は三重県の津・だいたて

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だいたて商店街(三重・津市)

今年1月、日本三観音のひとつである津観音をご紹介しました。その時は駆け足でしか紹介できませんでした。そこで今回は、津観音の門前に広がるだいたてアーケードをゆっくりと散策してみました。

だいたてと言えば、ふたつの食べ物の発祥の地として有名です。そのうちのひとつである「いちご大福」は相方の大好物。そのいちご大福を考案したのが、このだいたてアーケードに店を構える「とらや本家」です。

ふたつの発祥の地・津だいたて

とらや本家は津観音から大門商店街をずっと南へと歩き、フェニックス通りのすぐ手前にあります。アーケード内にあるにもかかわらず、ちゃんと瓦屋根のあるいかにも和菓子店という店構えになっています。創業は1932(S7)年で75年の歴史を誇ります。そんな昔からいちご大福が?と思ったのですが、そうではなく、いちご大福は偶然の産物だったそうです。

ご主人がたまたまいちごと大福を一緒に食べたところ、予想外においしかったことから商品化。それが1986(S61)年のことです。今ではあちこちでいちご大福を見かけますけれども、それはこの20年間にここから広がっていったわけですね。

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相方はもちろん自分のおみやげ用に「いちご大福」を購入。でもここでちょっと食べたいな…ぱいん大福も気になる…という私たちのような人のために、2階には「甘味どころ・尾花茶屋」があり、お茶とともにいただくことができます。「大福セット」は大福ひとつとお茶がセットになっていて、抹茶、ほうじ茶などお茶によって値段が変わります。

私たちはいちご大福とぱいん大福の両方を味わってみたかったので、大福セットを2つ注文しました。するとお店の方が気を利かしてくださり、それぞれを半分ずつ切り分けでくださいました。

発祥の地のいちご大福とは

白あんの甘さといちごの甘さ、そして酸味が絶妙のバランス。さすがです。そしていちごの大きいこと。食べ応えも充分です。いちご大福はこれまでにも他のお店などで食べたことがあるのですが、ぱいん大福は初めて食べました。食べてびっくり。あんの甘みをしっかり感じるのに、パインの甘みも決して打ち消さないこのバランスの良さは一体何なのでしょうね。う~ん、おいしい。

もちろん、いちごやぱいんといったフルーツは旬がありますから期間限定です。いちご大福は11月から5月までとなっていますので、ご注意ください。それ以外の時期にも栗や巨峰など季節ごとのフルーツ大福があるとのことです。

でも、どうして巷にはこれだけ「いちご大福」が溢れてるの?と思われるかもしれません。それはなぜか。なぜならとらや本家はいちご大福の特許を申請しなかったからです。特許を申請するということは作り方を人に教えるということです。製法を一切の門外不出にするために特許を申請しなかったというのは津では有名な話です。

「真似できるものなら真似してみろ」といったところでしょうか。これまでに私が食べたいちご大福のなかで一番味のバランスが良かったのは確かです。

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天むすもこの津から名古屋へ

続いてもうひとつの日本初をいただくことにします。アーケードの百五銀行のある角を西に曲がって少しのところにある「千寿」です。千寿といえばそう「天むす」。最近は名古屋名物として確固たる地位を確立していますが、発祥はこの津の千寿です。

元々は天ぷら料理の定食屋さんだったのですが、まかない料理としてエビ天をおにぎりに入れたのが始まりだそうで、今では天むすの専門店となっています。こちらもいちご大福同様、偶然の産物だったというわけです。お持ち帰りもできますが、店内のカウンターでもいただくことができます。

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1人前は天むすが5個で600円、赤だしを付けると700円です。見た目には「あれ?エビ天は?」という感じで、しっかりとおにぎりのなかにエビ天が埋め込まれています。味はまずご飯にしっかりと塩味がつけられていて、その味の濃さとエビ天のバランスがこれまた絶妙です。名古屋のその辺で食べる天むすとはちょっと違い、ご飯とエビ天がひとつに融合しているかのように食感はしっとりとしていつつも、味はガツンと来ます。

エビはその時々で全国から選りすぐり物を仕入れ、米はコシヒカリにこだわっているとのこと。そしてやっぱり、天むすにはきゃらぶきです。

天むすというのは、名古屋で食べても、名張で食べても、必ずきゃらぶきがついてきます。なぜたくあんやシバ漬けではなくきゃらぶきなのかがずっと気になっていました。ここは天むす発祥の千寿、その千寿がきゃらぶきを出しているということは、このお店が天むすにきゃらぶきを添えるということも考案したはず。

ということで、長年の疑問を解消すべく、おかみさんに聞いてみました。「なぜ天むすにはきゃらぶきなんですか?」と。

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なぜ天むすにはきゃらぶきなのか

すると「天むすを考案した先代が、きゃらぶきが好きだったんですよ。」と明快なお答えをいただくことができました。

なるほど、しかしそれにしても…、いまや名古屋だけではなく、全国に広がりつつあるメニューである天むすには必ずきゃらぶきがついているわけですが、それが考案者の好みによってつけられたもので、正統な後継者だけではなく、バッタものでさえもそこは変えないというのもなかなか面白いですね。でも実際、天むすにはきゃらぶきが合うんですよね。塩味の強い天むすとの相性が良いのかもしれません。

以上、いちご大福と天むす、津市大門を発祥とする名物をいただくことができました。どちらもやっぱり本物は違いますね。ぜひ発祥の地である津で本物の味をどうぞ。考案したお店なわけですから、これが本物の味です。

やっぱり本物は本物、バッタ物は所詮バッタ物。ホームページやブログも一緒ですね。

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だいたてアーケード内にあるCDショップに、相方の友達で、津市出身で歌手をやっているシンガーソングライター「あつ」のポスターがたくさん貼ってあるのを見て、やっぱり地元というのは暖かいなぁと思いながら、津観音の方へと戻ります。津観音では花桐祭が開かれていて、境内では骨董品や食べ物を売る露店が出ていて賑わっていました。

津観音といえば、津の阿漕浦で漁をしていた漁師の網から出現した聖観世音菩薩を本尊として祀り開山しているお寺です。その阿漕浦にはある伝説が残っていて、その伝説を基にしたお菓子がこの大門にはあります。そして「あこぎ」という言葉の意味は、その伝説から生まれているのです。

大門を発祥の地とする食べ物を食べた後は、その「あこぎ」という言葉の発祥の地である阿漕浦の悲しい伝説と、その悲しい伝説を基にしたお煎餅をいただくことにします。(つづく)

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