社屋の移転とともに大阪タワーが…
テレビの完全デジタル化に向けて、古いアナログのシステムの改造には限界があるのか、思い切ってフルデジタルに移行した方が早いからなのか、それともただのキッカケにしているだけに過ぎないのか、会長が移転すると決めたから誰も文句を言えない社風だからなのか…。各局それぞれに様々な思惑があるのでしょうか、ここ数年で、新しい社屋に移転するテレビ局がたくさんあります。
名古屋周辺でもCBC、東海テレビ、メ~テレ、そしてぎふチャンが新社屋へと移転しましたが、大阪ではこの6月23日に、朝日放送(ABC)が新社屋からの放送を開始しました。
さっそく、新社屋に移行したばかりのABC・朝日放送へと行ってきました。
ロゴを変える大英断
大阪のテレビ局といえば、先に移転した毎日放送や関西テレビなどを見ても、奇抜だったり洒落ていたりと、ただの普通のビルのような面白みの無い名古屋のテレビ局とは違って、社屋そのものにアイデンティティを感じることができるデザインになっていることが多いものです。端的に言うと「名古屋と違ってセンスがある」です。
阪神電鉄で阪神福島駅へとやってきました。ここからは、ABCの旧社屋・新社屋ともに近く、両方への案内看板が設置されていました。
その看板にはさっそく、アクサダイレ…じゃないや、ABCの新しいロゴが。
最近、テレビ局はロゴをコロコロ変える風潮がありますが、ABCは一度マイナーチェンジをしているものの、これまでのロゴは、まだテレビがTBS系列だった30年以上前から使われてきたもので、略称を前面に出しているABCにとっては、ロゴが局イメージそのものであり、今年1月1日からのロゴ変更は、かなりの大英断といえます。
水都OSAKAとの調和
ABCの新社屋は堂島川のほとりにあります。この街の再開発プロジェクト自体が、水都大阪の再生をコンセプトとしていて、そのなかにあるABCの社屋は、川と空に向かって開かれた広場というイメージで、木目や緑があふれ、環境と対立しない建物となっています。
再開発プロジェクトの名は「水都OSAKA・α(アルファ)プロジェクト」。その名を聞いて思わず、「♪こんな時アルファ~」と口ずさむのが、ABC新社屋での正しい振る舞いです。
社屋のガラス壁面を木で覆っているのは、調和のとれたデザインのためだけではありません。もうひとつの理由は、深夜まで残業していることを、労働基準監督署に見られないように隠すため…ではなく、これによって直射日光を避け消費電力を抑えるという、環境への配慮もされてのことです。
まあ、放送局は深夜まで電気がついているのが当たり前ですからね。ラジオも24時間放送を行っているわけですし。
社屋をぐるっとまわってみます
新社屋には4つのテレビスタジオと、5つのラジオスタジオが設けられています。また、唯一生放送中に阪神大震災に遭遇したテレビ局としての教訓を生かして、免震構造となっています。
ABCの新しいロゴは、社運を賭けているのか全てが「右肩上がり」。しかもABCという3文字だけでなく、全ての文字が作られているようで、サイトのアドレス表示や、英語社名表記など、アルファベットは全てロゴと同じ書体となっています。
イメージとしてはかなり違いますけど、コンセプトとしては、テレビ朝日の現在のロゴに通じるものがあるような気もします。あちらも「右肩上がり」にこだわっているようですし。
見学施設はありません…が
東京のテレビ局はここ最近、観光施設化していて、フジテレビやテレビ朝日をはじめ、見学スペースや常設のグッズ販売スペースなどを設けていますが、ABCにはありません。ただ唯一、リバーデッキに「ABCキャラクターステーション」という移動可能なグッズショップが設けられています。
これまでABCはグッズ販売を一切行わず、ABCのグッズは番組のノベルティとして手に入れるしか方法はありませんでしたから、ABCのキャラクターであるキュキュのファンには朗報です。
局キャラよりも有名!?な…
普通、テレビ局のグッズというと、局のキャラクターのものばかりなのですが、ABCの場合はちょっと違います。ABCでキャラクターといえば、まさに存在自体がゆるキャラの「おはよう朝日です」でおなじみ「おき太くん」ですよね。他にも、高校野球中継で登場する「ねったまくん」グッズもあって驚きました。
もちろん、グッズ買いましたよ。すると、ラジオのタイムテーブルも手渡してくれながら、店員さんは声をかけてくれました。
マニアですみません
「キュキュバス」という、ナンバーはもちろん、ABCラジオの周波数「1008」の、かわいいバスがグッズショップとなっていて、店員さんが一人常駐していました。私がキュキュグッズを買うと、「今日はどこからいらっしゃったのですか?」と聞かれました。
まあ、嘘をついても仕方が無いので、正直に「名古屋からです…」と答えると、一瞬「え?」という表情をされてから、「近鉄で?」と聞かれました。
図星なわけですけど、やっぱり大阪の人にとって名古屋は近鉄というイメージなのでしょうかね。新幹線で行き来するというイメージではないのですね。
ほたるまちと福澤諭吉
この区画にはかつて1993(H5)年まで大阪大学医学部附属病院があり、再開発された際に区画一体に「ほたるまち」という名がつけられました。ABCのほかにはスーパーやカフェのある複合商業施設や、マンション、大学のサテライトキャンパスなどが設けられています。
その一角にあるのが、「福澤諭吉誕生地」の碑です。1835(天保5)年、ここには豊前国中津藩の蔵屋敷があり、下級藩士福澤百助順の次男として諭吉は生まれています。ABCの新社屋建設にあたってしばらく仮撤去されていたのですが、再び整備されました。
そりゃ、これをないがしろにするわけにはいきませんよね。公共性の高い放送事業とて、福澤諭吉さんがどんどん入ってこないことには、事業として成り立ちませんものね。
新社屋から見る旧社屋
ABCの新社屋前からは、旧社屋を望むことができます。ABCの旧社屋は公園やホール、ホテルなどを兼ね備えていて、敷地でロケをすることが多かったことから、私のようなエリア外在住者でもイメージを思い浮かべることができます。
そのABCのシンボル的存在ともいえるのが、「大阪タワー」です。
大阪在住の方でも、特に放送に興味をお持ちでない人は、「大阪タワーって?」と思われるかもしれません。
さようなら大阪タワー
大阪タワーは、ABCの電波塔として建てられたものですが、放送局併設のタワーとしては珍しく地上102メートルのところに展望台を持ち、そこにスタジオも設けられていて、お天気カメラで高い位置からの映像をバックに合成するのではなく、実際に高いところから放送するという画期的な番組を制作していました。
高さ160メートルを誇り、通天閣よりもはるかに高い大阪タワーは、1966(S41)年の完成時から一般開放されていましたが、入場者の減少に加え、テロなどへの脅威に備え、放送局敷地への一般人立ち入りを制限するテレビ局が多くなる風潮のなかで、1997(H9)年9月をもって一般開放は終了しています。
かつてABCの関連会社として存在したホテルプラザはかなり前に廃業し、現在は低層階のみ大塚家具のショールームになっています。ホテルと大阪タワーと社屋からなる、いかにもABCという感じのするこの空間も、間もなく姿を消すことになります。
大阪タワー、一度上ってみたかったな…。
昔は、新婚さんいらっしゃいとか、ラブアタックとか、ABC制作の番組でプレゼントとして「ホテルプラザ」の名を聞くことも多かったですし、ホテルプラザと大阪タワーが消えてしまうことに、エリア外の人間ではありますが、感慨深いものがあります。
ところで、そういえば名古屋でも、東海テレビの旧社屋は大塚家具のショールームになっていますね。大塚家具は放送局関連の古い建物に入居するのが好きなのでしょうかね。
パブが家賃に込みだったりして。
コメント
大阪の各放送局が、建物のデザインに凝ったりするかと言えば、やはり東京のキー局に対する対抗意識が根底に有るんじゃないでしょうか。
僕は兵庫県西宮市に住んでいた事がありますから、その気持ちは充分分かります。
でも、放送局の外観だけを見て、名古屋がセンスがない、と卑下されるのは、僕の考えとしては「それは違うぞ」と思いますよ。
僕は九州の出身なので、福岡を筆頭とする九州各地の放送局も、そんなに外観には凝っていません。
それに放送局は「情報発信で勝負するもの」であって、名古屋の場合は「地方の雄」として、模範を示していると思いますけど。
各地の民放で盛んなキャラクターグッズや局のサイト紹介でも、名古屋は中京TVやメーテレを始め、結構いかしたものが多く見受けられますね。
(2008/07/03 8:44 AM)
>ジョー&リッキーさま こんにちは
確かに、大阪の局には東京への対抗意識があるとは思うのですが、そもそも大阪の方ってセンスがいいと思うのです。たとえば、街を歩いている女の子の服装を見ても、画一的な東京に対して、大阪の場合はひとりひとりが個性を表現する方法を知っているという印象を受けます。安価なアクセサリーや時計を品揃えしている雑貨店を覗いても、大阪や神戸のお店はバラエティに富んでいます。デザイン=個性を表現するもの、という意識も強いのだと思います。
この記事に対して「それは違うぞというのは違うぞ」と思ってしまいます。なぜなら、放送局が情報発信で勝負するもの云々といわれるのは一般論であって、この記事の主題はあくまでも「新社屋」なので…。
(2008/07/03 9:24 AM)
そのお気持ちは分かります。
確かに大阪の場合は観光都市としての一面を持っている故に、梅田の朝日放送や、西天満の関西テレビ、そして今度中之島に移転した朝日放送といった新社屋が一種のランドマークである必要性があるから、凝った外観デザインを採用して、関心を惹き付ける戦略をとる文化なのでしょうね。逆に名古屋の場合は、その必要性がない訳であるから、文化の面でも堅実指向になるのでしょう。
(2008/07/03 10:41 PM)
大阪の朝日放送新社屋に行ってきたのですね。
朝日放送は、大阪局では一番後の移転になりましたが、思ったよりおしゃれな感じで、よみうりや関テレや毎日放送と並んでデザインが良くて、他の関西局や東京局と同じように街作りの一部に放送局があるのだ思いました。
そして、直射日光が当たりすぎたり反射が多い日テレやテレ朝、TBS、メーテレや、あまり日光を取り入れついなそうな東海TVやCBCと違い、ほど良い感じで日光を加減して取り入れていると思います。
名古屋局は東京や大阪と違い、社屋を違う場所に移転せずに新社屋を造りますが、それは土地があり、中心部に近く利便性が高いからだと思います。中京テレビは名古屋駅から遠く、移転もあるような気がしますが、日テレと違い納屋橋や笹島ではなさそうですね。
あと放送局で気になるのは、CBCの旧社屋が今後どうなるかで、赤坂サカスに近い形に隣にビルが出来るのかという事や、お台場のフジテレビ社屋が地震に対して大丈夫なのかといったところです。
また、以前朝日系でアニメ制作した花男がTBSでドラマ化したり、ラブコンがテレ朝制作で映画化したのち、TBSでアニメ化したりして、TBSと朝日放送は系列では無くなっても何か縁があると思います。
(2008/07/06 5:46 PM)
>ジョー&リッキーさま こんばんは
そうですね。放送局というものの定義が全く違うんですよね。東京や大阪の場合は、観光地として遊びに来て欲しいという思いがあって、門戸を広く開いている印象を受けますね。
一方名古屋の場合は「おまえら素人の来るところじゃねぇ!」という雰囲気さえありますからね。昔のCBCなんかはそうじゃなかったんですけどね…。あ、でも、ぎふチャンだけはかなりウエルカムな感じですね。警備員は超感じ悪いですけど。
>西三河のまささま こんばんは
関西テレビはかなり個性的ですし、毎日放送もシャープですよね。ytvは…見たことが無いのでちょっとわかりませんが…。
確かに、名古屋のテレビ局は新社屋といっても移転はしませんね。そして中京とテレ愛のUHF組は新社屋を建てる気配もありませんね。CBCは特に何もしないんじゃないでしょうかね?右肩下がりの決算状況を見ていると、そんな設備投資をする余裕があるとはとてもとても…。
(2008/07/06 10:29 PM)
こんにちは。ABCが福島新社屋に移ってから半月になりますが、福島新社屋にだいぶ慣れたかなあという感じですよ。
ところで、ABCの新社屋には免震構造を取り入れているということで大きな話題になっていますが、新潟県中越地震で新潟県の関連施設が大被害を受けたのに、地震保険をかけていなかったため、大損害を被っただけではなく、世間からの大批判まで浴びた三洋電機とは全く大違いの対応ですねえ。
日本は地震国ですから、お金の許す限り、地震に対するあらゆる対応を家庭・企業問わずしっかりと行いたいものです。
ただ、不況のご時世ではなかなかうまくいかないのかなあ?
(2008/07/08 11:57 AM)
ABCは新社屋になってからは、足を運んでいません。
以前はホールにも行きました。ホテルプラザにも落語会(ABCラジオ主催)に行きました。
今となっては懐かしいです・・・。
免震構造については、ラジオで妹尾和夫さんもお話をされていました。
私も機会があれば、足を運びたいものです・・・。
(2008/07/13 6:09 PM)
「♪こんな時アルファ~、α~!♪」
懐かしいですね、近畿の視聴者でも覚えている人は少ないでしょう・・・。
(2008/07/13 6:34 PM)
>歌姫LOVEさま こんにちは
放送局で免震構造を取り入れたのは、基幹局以上ではABCが初めてですし、まだまだ地震対策は進んでいないところが多いと言うのが実情でしょうね。
三洋電機に関しては、あの業績ですから、対応したくともできないといったところではないでしょうか。元WBSキャスターの野中ともよさんもきっと悲しんでいるでしょう…。
>とくながたかのりさま こんにちは
ABCホールやホテルプラザに足を運ばれたのですね。これらのものが姿を消してしまうのは寂しいですよね。
「こんな時アルファ」は母がよく見ていました。たまーに、名古屋テレビのスタジオから放送するの日があったのを覚えています。あのジングルは本当に耳によく残りました。もちろん、「2時のワイドショ~」のインパクトも大きかったですけれどもね。
(2008/07/15 2:07 PM)
私は大学時代(昭和50年代後半)大阪府下に住んでおりまして、大阪タワーに上ったことがあります。
展望台には有料の体重計(乗ると紅白の模様が入った円盤が廻って、電車の切符みたいな厚紙に体重が印字されて出てくる仕組み)がありました。
それから売店(確か1階)があって、そこでピンマイクならぬ「マイクロホン型ネクタイピン」を買いました(紛失)。
大阪タワーも間もなく解体なんでしょうねぇ。
淋しい限りです。
新局舎と言えば、大阪では旧局舎から離れた場所に新局舎を構えて移転するケースがほとんどですが、名古屋の場合は旧局舎の跡地もしくは隣接地に新局舎を建てるケースがほとんどですね。
こうした傾向はやはり名古屋の土地柄なのでしょうかね。
(2008/11/21 9:52 PM)
>いちみ。さま こんばんは
その有料の体重計って、昔はあちこちの観光地で見かけましたよね。懐かしいです。当時そんな放送関連の品をモチーフにしたグッズをおみやげにして売っていただなんて、結構先進的だったんですね。大阪タワー…当時、行ってみたかったです。
名古屋のテレビ局が新社屋を旧社屋の隣接地に建てるのはやっぱり、田舎だからだと思いますよ。大阪のように都会ですと、隣接地を取得するのがなかなか難しいと思いますから…。近ければ、引越しの費用も手間もラクですからね。
(2008/11/22 3:37 AM)
大阪もMBSが南港USJスタジオとの契約が切れるため、数年後隣に新社屋建てますよ。
田舎とかじゃなく、ちょっと時代遅れの場所
になったので移転せざるを得ないって事情がありました。
今は梅田ですがMBSは市内外でしたから、
比べると名古屋内ですらなかったことになります。時代は梅田ですね。
よみうり、朝日、テレビ大阪と水の隣に居を
構えてるので、MBSには是非とも南港の
海の隣に居を移して欲しかったのですが…
残念です。
(2009/02/06 6:28 AM)
>通りすがりさま こんにちは
毎日放送はキー局化構想が無くなった時点で、あの大きな社屋を持つ意味がなくなったとか、そういう話もありましたけど、実際のところは都心から離れているという利便性の悪さだったと言うことなのでしょうかね。
名古屋の場合、中京テレビは市内とはいえ、住宅街の丘陵地という、かつてのMBSを彷彿とさせる場所に今もありますよ。
(2009/02/07 2:35 PM)
今日17時のNHKニュースで「大阪タワーの解体工事が始まった」と報じられました。
「達磨落とし」の要領で下から5㍍ずつ解体していくそうです。
いずれはこの日が来るとはわかっていたものの、いざ始まってしまうとやはり寂しいものがありますね。
>いちみさま こんにちは
こちらでも、全国ネットのニュースのなかで報じられました。
だるま落とし工法といいますと、
こちらでは刈谷市の依佐美送信所の鉄塔を倒す際にも採用された方法で、
確か1人お亡くなりになっていたと思います。
今回は大丈夫ですよね…もちろん。
それにしても、これだけ大きく取り上げられたのはちょっと意外でしたね。
取り上げていたのは他系列でしたし…。
いよいよ本当に寂しくなりますね。
大阪朝日放送アナウンサーに、ミスせともの(角野さん)が!
なかなか記事に、してもらえないので、お願いします。
ABCの、HPのアナウンサーの所は、すべて有料!こちらからは、彼女の仕事ぶりは、判りません。2ちゃんでは、彼女のスレッドは無く、朝日スレッドでは、あまり話題にならず、名古屋時代は、お水などと評価は辛口です。
瀬戸のお祭りでは、気さくに話せる娘でした。
(他の二人は、無愛想だったけど)
そんな瀬戸つながりで、お願いします。
>大府市のテレ東オタさま こんばんは
そうなんですね~。
ミスせとものだった方がABCでアナウンサーを
されていらっしゃるんですね。
日本一給料の高い民放局ABC…うらやましい…。
そうじゃなくて。
ホームページのアナウンサーコーナーが有料とは。
さすがですね。