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中京テレビの移転で名古屋のもうひとつのテレビ塔はどうなるの?

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★名古屋テレビ塔の存続が決まった一方で
★もうひとつのテレビ塔「東山タワー」はどうなる?
★既にアンテナは撤去されていました。

 少し間が空いてしまいましたが、前回のレポート「名古屋テレビ塔はマルチメディア塔に生まれ変わる! 」では、アナログテレビ放送の電波を発射するという役目を終えた、名古屋テレビ塔の、この春からの新たな役割をご紹介しました。

 気になるのが名古屋のもうひとつのテレビ塔です。

 名古屋テレビ塔は、NHK(3ch・9ch)、CBCテレビ(5ch)、東海テレビ(1ch)、メ~テレ(11ch)、以上5つのVHFという電波を使って放送していたアナログテレビ放送の電波を発射していました。

 一方、中京テレビ(35ch)とテレビ愛知(25ch)、この2つの放送局は、UHFの電波を使っており、アナログテレビ放送の電波は「中京テレビ放送センター」通称「東山タワー」から発射されていました。このタワーの行方にも、今、静かに注目が集まっています。

中京テレビの仲間はずれ感・マイナー感

 名古屋のテレビ局は順に、NHK総合テレビ、CBCテレビ、東海テレビ、NHK教育テレビ(現在のEテレ)、名古屋テレビと開局しているのですが、この時点で、名古屋テレビ塔はスペースがいっぱいになってしまいます。

 そして、それまでのVHFとは違い、新しくUHFという周波数帯を使ったテレビ局が認可されるようになり、1969(S44)年に中京テレビが放送を開始するのですが、既に名古屋テレビ塔はスペースがありませんでした。

 また、どちらにしろ、それまでのVHFとは別に、中京テレビを見るためには全ての家庭が新たにUHFのアンテナを設置しなければならなかったため、名古屋テレビ塔とは違う場所からの電波の送信でも問題がなかったことから、中京テレビは郊外の昭和区の丘陵地に本社を置き、そこに高さ160メートルの「東山タワー」を建設。その独自のタワーから放送を開始したのです。

 新しくアンテナを買った上で、さらにコンバーターを買わなければ見られなかった中京テレビ。UHFのテレビ局ということで「U(ユー)」と呼ばれ、また、本社を八事の丘陵地に置いたことから、都心から離れた山にスタジオのある、普通では見られないテレビ局という位置づけで、この時代を知る人にとって、中京テレビは「マイナー感」が非常に強いといいます。

 実際に当時の番組編成もとてつもなく地味でした。それまで、日本テレビとNETテレビ(現在のテレビ朝日)の人気番組を選りすぐって放送していた名古屋テレビは、中京テレビが開局してもその形態をつらぬき、また、全国区スポンサーもUHF局を敬遠したことから、開局当初の中京テレビは、名古屋テレビが「いらない」といった番組と、東京12チャンネル(現在のテレビ東京)の番組をなんとか組み合わせて編成を行っていました。そのため、朝は9時半からしか放送することができず、ハード面でもソフト面でもマイナー感あふれるテレビ局だったのです。

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時代は流れ日本テレビ系になりますが…

 その後、名古屋テレビと日本テレビの関係が裁判沙汰にまでもつれ、名古屋テレビ、中京テレビ、日本テレビ、NETテレビの4社間で協議がもたれ、1971(S46)年12月27日に「NETテレビ-名古屋テレビ」「日本テレビ-中京テレビ」にて系列を一本化することに全社が合意し、翌年春から番組が再編されました。

 それまで、日本テレビとNETテレビのいいとこどりをしていた名古屋テレビは一転、地味なNETテレビ系列となり、逆に、全てがマイナーだった中京テレビは日本テレビ系列に。巨人主催のナイターも全て中京テレビで放送されるようになり、その存在感を一気に大きくします。

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 そして、テレビもUHFに対応したものがほとんどになり、中京テレビの必死なPR活動により、UHFのアンテナ普及も進み、山の上にあるテレビ局という印象を除いては、中京テレビは「普通に見られるテレビ局」となったのです。

 逆に、中京テレビは自社でタワーを所有していることを誇りに思っていたようで、なぜか、「2時のワイドショー」の「またあした」というエンドフリップに、このタワーの写真を使用していました。

 時は流れ、1983(S58)年に愛知県域のローカルテレビ局、テレビ愛知が開局すると、テレビ愛知はこの中京テレビの東山タワーを間借りさせてもらうことに成功。同じUHFの電波を使用する2つのテレビ局が、仲良くここから電波を発射することになったのです。

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デジタル放送はUHFだから…

 それから20年。2003(H15)年12月1日に地上デジタル放送がスタートします。

 地上デジタル放送は、UHFの電波を使用することになったため、それまで中京テレビとテレビ愛知がアナログでUHFの電波を出していた、この東山からデジタルの電波を発射すれば、どの家庭もほとんどアンテナを買い換えたり調整したりすることなく、地上デジタル放送を受信できる環境になることから、東山からの電波発射が検討されます。

 実際に、地上デジタル放送が始まる前に「通信・放送機構」が、土岐を本局として電波発射の実験を行った際、この東山タワーは「東山中継局」として、デジタル放送の実験電波がここからも発射されました。

 しかし、この東山タワーには、実際の放送に使用できる規模の送信設備を設置するスペースを確保することができませんでした。そのため、新たなデジタルタワーの建設構想が東山地区で練られ、発表に至ったのですが、様々な障害から実現に漕ぎ付けることができず、結果として行き場を失い、受け入れを唯一表明していた、瀬戸市への建設になってしまい、各家庭はデジタル放送のために新たにアンテナを建てることを求められ、特に電波の弱いテレビ愛知を中心に、テレビ局もその対応に追われることになるのです。

 地上デジタル放送は、名古屋の全てのテレビ局が瀬戸デジタルタワーから電波を発射することになったため、以前のVHFとUHFという区別もなく、さらに、中京テレビはキー局と同じチャンネル「4」を獲得し、そのイメージをさらに向上させます。

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中京テレビが新社屋移転を表明

 ソフト面でも、電波の面でも、他の広域民放テレビ局と同じ土俵に立った中京テレビ。残るはそう、「山の上にある都心から離れたテレビ局」というイメージ。この最後のイメージも、中京テレビは払拭する計画を発表するのです。

 中京テレビは、名古屋駅近くのささしまライブ24地区東街区、7,120平方メートルの土地を取得したと発表。2016(H28)年の竣工を目指し、新社屋を建設するというのです。

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 これでようやく、中京テレビは完全に、他のテレビ局と何ら遜色の無い「メジャー」な存在となるのです。開局から47年。本当に長い道のりでしたね。

 そこで問題になるのが、この東山タワーです。

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まだ電波は出ているのです

 中京テレビとテレビ愛知がアナログテレビ放送の電波を発射していた東山タワー。しかし、発射されていた電波はそれだけではないのです。

 実はここから、NHK名古屋FM放送、FM AICHI、ZIP-FMという、3つのFM放送局の電波が発射されているのです。今もです。

 民放テレビ局のタワーから、NHKがラジオを放送しているというのも然ることながら、現状は、テレビ局が必要としなくなったタワーから、無関係のラジオ局の電波だけが出ているという状態なのです。

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 既に、東山タワーからは中京テレビとテレビ愛知の送信アンテナは外されており、テレビ愛知の送信局舎の取り壊し工事も進んでいました。テレビ愛知は、中京テレビに対して賃料を払ってアンテナを乗せていたわけですから、終わったとなればさっさと外して賃料の支払いを発生させたくないと思うのは当たり前のことでしょうし、テレビ愛知が外すのであれば、中京自身も一緒に外してしまおうということで、名古屋テレビ塔よりも先にアンテナ撤去が行われたのでしょう。

 ただ、先述の、通信・放送機構が設置した、地上デジタル放送実験用のアンテナは今も取り外されていません。地デジの予備アンテナとして残されているという可能性があります。

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FM局はどうするどうなる

 先述のとおり、中京テレビはここから移転します。しかも、今は瀬戸から電波を出しているので、この東山タワーは中京テレビにとってはもういらないものです。移転先にアンテナを建てる必要もありません。しかし、FMラジオはここから電波を出し続けています。

 FM局のタワー使用料・賃料とタワーの維持費を天秤にかけたら…。さらには本社移転。いつまでこの東山タワーがここに存在してられるのか、このまま存続という可能性は、かなり低いと思われます。

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 そうなると、FMラジオの送信アンテナをどこかに移転しなければならなくなるのですが、名古屋テレビ塔はマルチメディア放送に取られてしまいました。

 さらに、名古屋テレビ塔と東山タワーを比べると、ビルに囲まれている分、名古屋テレビ塔は電波の飛びが悪く、また、電波が反射するために質も悪くなってしまいます。

 ここ最近、関東では、FM局がよりよい電波環境を目指して、より高いところに送信アンテナを移す事例が相次いでいます。この時代の流れのなかで、電波の飛びも質も悪くなるところへの移転は、逆行でもありますし、ラジオを取り巻く営業環境が年々悪化しているなかで、自らさらに首を絞める行為に出るとは、とても思えません。

 FMラジオ局は、電波を発射する新天地を見つけることができるのでしょうか。それとも、中京テレビはこの東山タワーをFM局たちに押し付けて去っていくのでしょうか。まだ、その動向はわかりません。

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 実は名古屋には、この東山タワーよりも数段環境の良い場所から電波を発射していたFM局がありました。

 どれだけ環境が良かったのかといいますと、そのFM局は、他の名古屋のFM局に比べて、出力が半分だったにもかかわらず、本州で一番電波の飛ぶ、エリアの広いFM局になれるほどの場所から電波を出していたのです。

 そう、それはRADIO-i(愛知国際放送)です。経営難から一昨年の9月でその放送を終えたFMラジオ局です。今、使っていないのなら、そのRADIO-iの跡地から放送すればいいじゃない!ということで、そのアンテナがあった場所へと、今度こそ行ってみます。そこで見たものとは…。

追記

 2013(H25)年7月22日、中京テレビは本社移転後もこの東山タワー、放送センターを残すと発表しました。地デジの予備、FM局の送信所として引き続き存続させるとのことです。

取材協力

KAZ Communications
なにかな

関連情報

中京テレビ放送センター・東山タワー(名古屋・昭和区)MAP

名古屋市昭和区高峯町154

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コメント

  1. いちみ。 より:

    私が小学生の頃に地元でも中京テレビが見られる様になったのですが、当時はUHFアンテナの他にブースターという装置をテレビの上に取り付けていました。
    選局ひとつ取っても、VHF局は「ガチャガチャ」で簡単に合わせられましたが、中京や岐阜に合わせる時はラジオのチューニングを合わせる時の様な微妙なダイヤルさばき(笑)が要求されました。
    朝9時半からのオープニングも何回か見たことがあります。
    当時はモノクロ映像で、東山タワーから電波をイメージした同心円が出てきて広がっていく映像で始まり、白い鳩(アニメ)が名古屋の空(実写)を飛ぶ映像(鳩のアニメと言ってもABCの「未来都市」に出て来る様な感じのものです)があったのを記憶しています。
    音楽はハープの演奏で、アナウンスでは周波数を「メガサイクル」で紹介していたり、「チャンネルナンバー35」と言ったりしていました。
    朝最初の番組は『川崎敬三の料理ジョッキー』だったと思います。
    確か雪印がスポンサーだったのではないかと記憶しています。
    ちなみに現在も使われている「Uマーク」と社名ロゴは3代目のものなんですよね。
    開局当時に使われていた初代マークは「CTV」の文字を組み合わせたもので、2代目マークは今とは違う「Uマーク」でした(2代目「Uマーク」入りベリカードを持っています)。
    3代目マークが一番寿命が長い様に思います。
    長文失礼致しました。

  2. >いちみ。さま コメントありがとうございます
    ウチにも、VとUの回転式のテレビがありました。
    中京テレビが見られるのはそのリビングのテレビだけだったので、
    やっぱり、中京はマイナーな感じがしましたね。
    3代目なんですね。
    チュウキョ~くんが登場した際に、ポップなロゴが登場して、
    そちらが正式ロゴになってしまうのかと思ったら、
    最近になってまた、古くからの局ロゴもよく見るようになったので、
    やはり正式なロゴは変えずに行く感じみたいですね。

  3. アイ・フロッグ より:

    ごぶさたしてます。
    今、このコメントを綴っている時刻は3月24日・土曜日20:15ですが、綴りながらふと、こんなことを考えてしまいます。
    やはり役人というのは、何としてでも地上アナログTV放送を平成23年度いっぱいで終わらせたいのだろうと。
    話がそれてしまいましたが、その地上アナログTV放送のすぐ下の周波数帯である名古屋のFMについては、個人的な意見として名駅、そうミッドランド・スクエア近辺からの送信でも考慮したほうが良いのではと思います。
    理由は単純。名古屋で一番高いビル群だから。そして空中線電力(送信出力)は、その標高を利用し、最大でも3KWほどで充分でしょう(実際には「実効放射電力」がものをいうからです)。
    省エネの点からも、いつまでも出力10KWを続けるというのは考えものでしょうし、東山タワーの家主が笹島への移転を打ち出した今、音質向上の点からも良いのではと考え、ここにコメントしました。

  4. トッピー@管理人 より:

    >アイ・フロッグさま コメントありがとうございます
    ただ、そういったご意見は、ここよりも、
    放送局や関係省庁などにお伝えいただいたほうが、
    いいかもしれませんね。

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