トッピーの放送見聞録 放送事情レポート

これはおいしい!セブン&アイで発売の「ぎふチャン弁当」...その真の狙いは?

記事公開日:2008年6月20日 更新日:

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 穀物高、原材料高、燃料高でにわかに注目されている地産地消。地元の食材を地元で食べることで、輸送に係る二酸化炭素排出削減にもつながり、さらには自給率アップにつながることも期待されています。

 流通大手のセブン&アイホールディングスは、農業に本格参入するなどその方向に特に力を入れていて、ここ最近はあちこちの県で、各県でとれた食材を盛り込んだ弁当などを各県限定で販売するというキャンペーンを行っています。

 それがこのたび、岐阜県で展開されることになりました。しかし、セブンイレブンが岐阜県に進出したのはわずか2年半前のこと。そんな岐阜県で、セブンイレブンが単独でキャンペーンを張ったところで周知力はイマイチです。そこで、岐阜県で「県内最強の媒体力」を誇るあの会社に協力を求めたようですが、その真意は果たして?

まさにこれは総力戦ですね!

 岐阜県内限定弁当を発売するにあたって、セブンイレブンが協力を求めたのは、あの「ぎふチャン」の岐阜放送。岐阜放送といえば岐阜新聞グループ。岐阜放送と提携するとなれば、岐阜新聞も徹底的なバックアップ体制となるのは明らか。いきなりそれが如実に現れました。

 弁当の名は、岐阜放送の愛称をそのまま採用した「ぎふチャン弁当」。6月17日から2週間の期間限定で販売されています。

 岐阜放送の番組で大々的にアピールされるとともに、発売からわずか2日後の岐阜新聞には「連日売れ行き好調」の文字が躍ります。岐阜放送・岐阜新聞にとってこれは総力戦です。

 ただ、岐阜放送・岐阜新聞を味方に付けてしまった以上、中日新聞系での露出はゼロになってしまうのが諸刃の剣。

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さっそく買ってみましょう!

 前置きはこれくらいにしておきまして、さっそく買いにいきます。ぎふチャン弁当は岐阜県内のセブンイレブン63店舗と、イトーヨーカドー2店舗で発売されていますので、セブンイレブンへ。

 すると店先には手書きのポップがあり、「売ってなかったらどうしよう」という不安を払拭してくれました。

 ポップには、「岐阜県限定発売ぎふチャン弁当」という文字とともに、ぎふチャンのマスコットキャラクターである「はちゃ丸」のイラストが。こういう時にいいですね、はちゃ丸は。四角と丸さえ描ければ、誰にでも簡単に描けます。

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かなり大々的なPR

 店内には特設売り場が設置されており、さらにレジの後ろにはポスターまでもが。わずか2週間の販売期間のわりにはかなりの力の入れようです。

 さて、肝心の弁当の中身についてですが、見た目にとってもヘルシー。野菜がたくさん入っていて煮物もあります。しかも食材は全て純国産で、ほとんどが岐阜県産です。

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セブンなのに8つのこだわり

 ぎふチャン弁当には8つのこだわりがあります。セブンイレブンなのに8つです。これは、ぎふチャンのデジタル8チャンネルにちなんでいます。

1.岐阜県産小松菜の彩り菜飯
2.郡上産味噌の葱味噌焼き
3.岐阜県産若鶏の柚子胡椒焼き
4.飛騨牛の炭火網焼き
5.岐阜県産ほうれん草の煮浸し
6.郡上産味噌仕立て岐阜県産大根のふろふき大根

7.野菜使用量約110g以上
8.約532キロカロリー

 650円の弁当に、飛騨牛が入っちゃってます。しかし、最後の2つはなんかこじつけのような感じがしてしまいますね。どうせなら、ぎふチャンのアナログテレビチャンネルにちなんで野菜使用量を37gに、そして、ラジオの周波数にちなんで1,431キロカロリーにでもすれば良かったのに。

 それでは全然ヘルシーじゃないですけど。

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今この時期だけに大丈夫だよね?

 おとなりの愛知県で、三河一色産のウナギが実は台湾からやってきた「里帰り」品だったというニュースが、ぎふチャンのラジオから聞こえてくる中で、もちろんこのお弁当は大丈夫ですよね?

 飛騨牛はわずか1切れでしたが、崩れてしまうようなやわらかさ。若鶏の柚子胡椒焼きも上品な味で、なんといっても郡上味噌がいい味してます。そしてやっぱり野菜が豊富なのがいいですね。1日に必要な野菜の約3分の1がこのお弁当で摂取できてしまうのが嬉しい。

 これで650円はいいと思いますよ。ぜひ、期間限定といわずに常備して欲しいなぁ。

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地元の声も聞きました

 このお弁当の開発に当たって、ぎふチャンのラジオで放送されている「月金ラヂオ2時6時」のリスナーに「岐阜のおかずを使用した理想のお弁当」というテーマで意見を求めて開発されたとのことで、まさに地元生まれ。

 放送局とコンビニエンスストアが提携して、お弁当やおにぎりを販売するという戦略は結構前からあり、この地方では、名古屋を地盤とするサークルKサンクスと、名古屋の放送局や三重の放送局が提携してメニュー開発という話は、もう数え切れないほどにありました。

 しかし、セブンイレブンと放送局の共同開発は、東海地方では今回が初めて。岐阜を、そして岐阜放送を選んだその狙いとは?

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岐阜はこれからが勝負

 冒頭に書きましたが、セブンイレブンが岐阜県に進出したのは2005(H17)年11月。わずか2年半前のことです。まだ店舗数もわずか63。しかも飛騨地域にはゼロとまだまだ認知度としては低いものがあります。

 セブンイレブンは地方に新規に進出する際、必ずその地方に馴染もうという戦略をとります。名古屋に進出した際に、名古屋のうどん店に指導を求め、味噌煮込みうどんに力を入れたのは有名な話です。

 まさに、セブンにとって岐阜はこれからが勝負なのでしょう。

 岐阜県限定となれば、岐阜放送・岐阜新聞を選ぶのは当たり前のことだとは思うのですが、でもでも、広域局や中日新聞と連携するという選択肢も別にあったわけで...。ひょっとしてこれって実は、弁当の売れ行きを見て、岐阜新聞・岐阜放送の媒体力を図ろうという思惑がセブン側にはあるのかも...。

 弁当が飛ぶように売れれば、ぎふチャンでセブンイレブンのCMがたくさん流れるようになるかもね。2週間の販売期間中、岐阜放送・岐阜新聞社員全員の昼ごはんがこのお弁当だったりして。

 なわけないか。

関連情報

ぎふチャン弁当(岐阜放送)


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