1962(S37)年に開局し、今年開局45周年を迎える岐阜放送は、この11月11日に社屋を移転します。これまでは筆頭株主である岐阜新聞のお隣に3階建ての社屋を構え、そこからテレビとラジオの放送を送出してきたのですが、新社屋は新しい岐阜市の顔となる、JR岐阜駅前に建てられた岐阜シティ・タワー43となります。と言っても、もちろん43階全部が岐阜放送なわけはありません。4階のワンフロアに入居します。テレビとラジオの両方を兼営する局がワンフロア...。スタジオ狭そう。
岐阜放送にとってこれは第2の開局とも言える出来事。これを機にキャッチフレーズや、呼称を変えるのではないか?という憶測が飛んでいたのですが、やはりそうでした。しかし、そんな発表があった矢先に、私は衝撃の真実の目の当たりにしてしまったのです。正直、岐阜放送は何をやっても無駄なのではないか、そんな気さえしてしまいました。
独立U局では珍しいラジオからのスタート
岐阜放送は、どこの系列にも属さない独立U局としては珍しく、ラジオからスタートした放送局で、わが国で唯一、ラジオもテレビもどこのネットワークにも所属していないという貴重な存在です。よく言えば独立独歩。悪く言えば仲間はずれです。岐阜新聞が作った放送局というイメージが強く、岐阜新聞と犬猿の仲と言われている中日新聞での扱いは悪く、中日新聞は岐阜県のみの版を印刷しているにもかかわらず、ラジオ欄、テレビ欄ともに意図的に岐阜放送のスペースを小さくしています。
そんな岐阜放送ですが、かつては「岐阜放送テレビ」「岐阜放送ラジオ」という呼び名を使用しており、斜体のロゴを採用していました。
岐阜テレビ・岐阜ラジオ 新ロゴGBS
それが1992(H4)年4月、新CIを導入をします。テレビは「岐阜テレビ」、ラジオは「岐阜ラジオ」とし、GBS岐阜放送のロゴも一新。GBSと岐阜放送という文字がワンセットでデザインされたロゴはとてもセンスが良く、当時の業界紙でもデザイン性の高い放送局のロゴとして紹介されました。
そのロゴのセンスの良さをアピールしたかったのか、テレビの「岐阜新聞ニュース」は「GBS TVニュース」と改められました。しかしよくわからない点があります。「岐阜テレビ」という呼称を採用したにもかかわらず、「GBS TV」という表現を使用し、それがロゴをアピールしたいからかと思いきや、ニュースの最後には「GBS TVニュース 終」とゴシック体で表示する始末なのです。一体どうしたいのでしょう。
さらには、岐阜新聞・岐阜放送あすの住まい展という住宅展示場(現・ハウジングギャラリー)があるのですが、その岐阜放送というロゴはずーっと古いまま。新CI導入から10年以上経ってようやく修正されました。それどころか、岐阜放送本社社屋のロゴですら、新CI導入時に変更されたわけでなく、しばらくしてようやく新しい「GBS」ロゴが付けられたものの、しばらくは古い岐阜放送ロゴも併記という中途半端さ。
いくらセンスのいいロゴをデザインしても、運用がこれでは…。
まあ、地震速報などでもわざわざ「GBS」ロゴをカラーで送出しているところをみると、やはりこのGBSロゴに誇りを持っているんだろうなぁとは思うのですが...。よく見ると、なんとGBSそれぞれの文字の色がロゴと違うのです。ロゴはGが赤、Bが緑、Sが青なのに、テロップはGが緑、Bが青、Sが赤と全て間違っています。もう何がなんだか。
愛称を「ぎふチャン」に
さて、そんな岐阜放送が新社屋移転に伴って、社名は変更しないものの、局名を変更すると発表しました。
新局名は「ぎふチャン」。
併せて制定されたキャッチフレーズは「ぎふ100%」。しかもその新局名はテレビもラジオも共通で、どちらもぎふチャンになります。岐阜のチャンネルという意味なのでしょうけど、テレビはわかるのですが、ラジオにはチャンネルという概念が無いので、ラジオがぎふチャンというのは不自然な気もするのですが、デジタルラジオを見据えたものなのかもしれません。
まあどうあれ、以前の新CI導入とは比べ物にならないほど、「ぎふチャン」は岐阜放送にとって大きな変革となることでしょう。
ひょっとして社内に守旧派が!?
「岐阜放送はぎふチャンになるのかぁ」と思いつつ、ふとコンビニに立ち寄ると、そこには衝撃の真実が。コンビニには岐阜新聞と岐阜放送からの特報ポスターが貼られていました。それは、多治見市の選抜少年野球大会が岐阜テレビで放送されることを紹介しているものでした。それを見てビックリ!
そこには驚くべき実態が。なんとその特報に表記されていたのは、「岐阜放送テレビ」という、1992(H4)年で使用を終わったはずの古い表記と古いロゴ。
一心同体のはずの岐阜新聞と岐阜放送。そんな関係なはずにもかかわらず、岐阜新聞が岐阜放送について、15年前に変更したはずなのに古いロゴで表記するだなんて...。
「ぎふチャン」本当に浸透させることができるのでしょうか。ていうか、浸透させる気あるのかな。
ところで、岐阜新聞とは犬猿の仲のはずの中日新聞は、すでに10月1日分からテレビ欄表記を「ぎふチャン」に変更済みです。
しかし、新社屋移転が11月11日なのに、「ぎふチャン」導入は10月1日。ということは、旧社屋の看板は変更するわけがありませんし、結局、新社屋移転まではローカル番組もハイビジョン化されるわけでなし、新社屋移転と同時に機材も全て新しくなることでしょうし...。
ぎふチャンの船出も相変わらず中途半端な感じになりそうですね。いくらかっこいいデザインのロゴや、斬新な愛称を付けたとしても、しっかりとした運用ができなければ結局は中途半端に終わってしまいますからね。
第2の開局とまで宣言した「ぎふチャン」導入。今度こそは本当に「おお!変わった」と思わせてくれることを期待しています。