名古屋テレビ塔は役目を終えた?いやマルチメディア塔に生まれ変わる!

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  • アナログテレビ放送の役目を終えた名古屋テレビ塔
  • 廃止論議が突然消えたそのワケは
  • 春から新しい放送がスタートします

昨年の7月24日、地震で被害のあった一部の県を除いて、わが国のアナログテレビ放送は終了しました。日本初の放送電波集約鉄塔として誕生した「名古屋テレビ塔」は、アナログテレビ放送の電波を送るというその役目を終えました。

そこで噴出したのが、名古屋テレビ塔自体の撤去論議です。なぜなら、電波を出さなくなった以上は、放送用鉄塔ではなく建築物扱い。するとなぜか不思議なことに、同じ建造物にもかかわらず建築基準法の対象となり、法律上の耐震基準が変わるため補強をしなければならず、その費用として約15億円がかかると試算されたからです。

ところが、この撤去論議はある日を境にパタっと鳴り止みます。そうです。名古屋テレビ塔が、電波塔として存続することが決まったからです。

日本初の放送電波集約鉄塔

名古屋テレビ塔が着工されたのは、1953(S28)年のこと。翌年竣工し、1954(S29)年6月20日より、東海3県に向けてVHFによるアナログテレビ放送電波を発射してきました。

それはテレビ塔ふもとの銘板にもありますとおり、

NHK名古屋総合 JOCK-TV 3ch
NHK名古屋教育 JOCB-TV 9ch
中部日本放送(CBC) JOAR-TV 5ch
東海テレビ放送(THK) JOFX-TV 1ch
名古屋テレビ放送(NBN) JOLX-TV 11ch

これらのVHFテレビ5つのチャンネルの電波です。

社章がどれも古いですね。しかも、東海テレビと名古屋テレビの社章は、一度修正された形跡があります。名古屋テレビの方にはうっすらと、「NBN」という社章の跡が見えます。これも、アナログ放送の電波が止まった今、工事で撤去されてしまうのでしょうか。

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またそれ以外にも、名古屋テレビ塔には、電波の中継タワーとしての役割があり、CBCラジオの送信所への中継回線や、テレビ中継のFPU用アンテナ、さらにはお天気カメラなども設置されていました。

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撤去工事が始まっています

アナログテレビ放送の電波を出すという、本来の役割を昨年7月24日で終えてしまった名古屋テレビ塔。現在は徐々にその設備の撤去工事が行われており、アンテナへと繋がる同軸ケーブルは、既に根元で切断されていました。

さらに、1月10日より本格的な工事に入るため、テレビ塔自体の営業が休止されます。その期間は4月25日までと長期。アンテナや配線など、アナログテレビ放送用の設備が全てが取り払われることでしょう。

加えて、よく見ると、CBCラジオの中継回線用のアンテナが、CBC本社社屋にも設置されていたり、お天気カメラなども見当たらず、放送設備以外の撤去も始まっているように見受けられます。名古屋テレビ塔は、本当にその役割全てを終えてしまうのか…と思っていると…。

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アンテナ据付工事!?

名古屋テレビ塔の工事の案内に、こう書かれているのです。「アンテナ撤去・据付工事」

据付!?

そうなんです。実はこの工事、アナログテレビ放送用のアンテナを撤去するだけでなく、新しい放送用のアンテナの据付工事を兼ねているのです。

発注主の名は、「株式会社ジャパン・モバイルキャスティング」

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マルチメディア放送が名古屋テレビ塔から!

ジャパン・モバイルキャスティングとは、2012(H24)年春にサービスの開始が予定されている「携帯端末向けマルチメディア放送」を行う会社。放送の通称は「モバキャス」、そのモバキャスに、基幹放送事業社として「NOTTV(mmbi)」が乗っかります。

モバキャスは、ストリーミングやデータ配信を行う、全く新しい放送の形で、使われる周波数は207.5MHz~222MHzの14.5MHz。そう、これまでのアナログテレビ放送が使用していた、VHFの電波なのです。

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どのような内容が放送されるのかと言いますと、これまでの放送とは異なり、「番組」だけでなく、新聞や雑誌、ゲームも「放送」に乗せてしまうという、これまでの放送という概念とは全く違ったもの。その名のとおり「マルチメディア」な「放送」となるわけです。

その、この春始まる、新しい「マルチメディア放送」の電波を発射するという役割が、この名古屋テレビ塔に与えられたわけです。さしづめ「名古屋テレビ塔」は「名古屋マルチメディア放送塔」になるのです。

これにより、名古屋テレビ塔はこれからも放送の電波を発射する電波塔であり続けるため、建築基準法の適用は受けず、耐震補強をする必要にも迫られること無く、存続し続けるということが決まった、というわけです。

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ここでふたつ。気になることがあります。

電波塔であれば耐震補強をしなくていい、というのは、あくまでも法律上の扱いでそうなってるということですよね。ということは、大きなのが来たら…うむむ。

そしてこの「マルティメディア放送」通称「モバキャス」。なんか、「モバHO!」と同じ空気を感じてしまうのですが…。採算が取れずになくなっちゃうなんてことにならなければいいのですが。名古屋はもう懲り懲りなんですよ。放送局がなくなるってこと…。

次回は、その、無くなっちゃった残骸を見に行きますか。

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取材協力

KAZ Communications ♣ MyFM 883
 
なにかな

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株式会社ジャパン・モバイルキャスティング

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コメント

  1. tasuya より:

    こんにちは。
    「放送塔」自体が建築基準法では別扱いというのは初耳です。てことは、携帯の電波塔もでしょうかね?

  2. トッピー@管理人 より:

    >tasuyaさま こんばんは
    毎日新聞が報じたところによりますと、
    鉄塔やアンテナは「工作物」であって、
    「建築物」には該当しないために建築基準法の対象とならないとのことですよ。

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