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だいこくさまに縁を結んでもらうために..出雲大社のムスビの御神像

記事公開日:2008年8月13日

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 前回は、59年ぶりに行われました、出雲大社の御本殿特別拝観について書きましたが、今回は出雲大社そのものについてレポートします。

 出雲大社といいますと、縁結びの神さまの印象がとても強く、実際に、出雲大社に奉納されている絵馬を見ますと、夫婦や恋人同士で末永く結ばれることを祈っているものや、とても切実かつリアリティーに満ちた出会いのお願いをしているものばかりです。

 出雲大社に祭られているのは大国主大神、つまりだいこくさま。だいこくさまというと、どちらかといえば五穀豊穣のイメージなのに、なぜ縁結びなのか。そして、この出雲大社で年に1度、全国の神さまが集まって決めることとは。

出雲大社と神有月

 そもそも、七福神のだいこくさまと大国主大神とは、仏教と神道で別の存在だったのですが、神仏習合により神道の神として、大国主大神がだいこくさまとなっています。その大国主大神を祀る出雲大社は、縁結びを含んで「むすびの神」として有名です。それはなぜなのでしょう。

 大国主大神は、かなりのイケメンであったとされています。苦労して国づくりを行い、出雲の国を形成するのですが、いざ国が完成すると、高天原にいた天照大神らは、天照大神の子孫こそが国を統治するべきだとして、健御雷神を出雲に遣わし、大国主大神から出雲を譲らせます。

 その際に大国主大神は、出雲の国を譲る代わりに、高天原に届くような壮大な御殿を作って欲しいといい、その結果、高天原が建てたのがこの出雲大社と言われています。伝説では、古代の出雲大社は96.8メートルの高さを誇っていたとのこと。そして大国主大神は、それまでの国造りから変わって、人間の幽事(かくりごと)を司ることになるのです。幽事とは、人の縁や運命など目に見えないものをを指します。それにより、大国主大神は結びの神さまとなったわけです。

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 しかし、この世の人間の縁や運命について、大国主大神ひとりが全てを決めるわけではありません。我が国では旧暦10月のことを「神無月」といいます。これは神さまが地元を離れておでかけするからです。その一方、この出雲では旧暦の10月を「神有月」といいます。なぜならその時、全国の神さまが出雲大社に集まっているからです。旧暦の10月は、留守番をする神さまを除いて、出雲以外には神さまは無く、出雲には神さまがたくさん集まっているのです。

 出雲大社に集まった神さまたちは、何をするのかといいますと、大国主大神とともに、1年の人間の幽事を決めるのです。この際、男女の縁も決められれ、誰かと誰かがくっつけられるわけです。ですから、出雲大社で縁結びを祈ることは大変意味のあることなのです。

 結構意外だったのは、昔描かれた絵で、出雲に集まった神さまたちが流れ作業的に男女の縁を結んでいるというもの。そりゃ、この世の人間の数は半端じゃないですものね。一ヶ月で決めるとなれば流れ作業にもなります。だからこそ、希望のある人はあらかじめ、出雲大社で良縁をお願いしておく必要があるわけです。

鼻がてかてか

 出雲大社の拝殿(御仮殿)で「二礼・四拍手・一礼」という独特な作法で私たちも縁結びをお願いして振り返りますと、銅鳥居の近くには、青銅製の神馬と神牛がいます。これは1667(寛文7)年に奉納されたものとのことですから、本殿よりも古いことになります。安産の神馬と信じられていて、鼻を撫でると子宝に恵まれると伝えられていることから、鼻の部分だけが光輝いています。

 平成の大遷宮にあわせて建物が新しく立て替えられていて、歴史を重ねた神馬・神牛と、取り囲む木目の鮮やかさが対照的です。男女の出会いだけでなく、生まれてくる子どもの命ともやっぱりそこは縁ですものね。

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注連縄にコインよさされ

 本殿や拝殿とは別に、西側にある神楽殿には、なんと重さ4.5トン、長さ13メートル、胴回り8メートルという、ものすごい迫力の注連縄があります。この注連縄に向かってお金を投げ上げて、注連縄の先に差し込むことができると願いがかなうとされています。

 私の場合は2回で差し込むことができたのですが、相方は10回以上投げてようやく...でした、しかも、その間に他の人が以前差し込んだお金を落とす落とす...。果たしてそれでも願いは叶うのでしょうか。やっぱり、一発で決めないとダメだよねこれは。

 まだまだ願いはすんなりかなわない...ということでしょうか。頑張ります。

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松並木の参道で神話の世界に触れる

 拝殿の手前にある銅鳥居から、入口の正門鳥居までは松並木の参道が続いていて、その両側には、大国主大神の像などが置かれています。川が流れ池もあり、夏場でも多少涼しく感じられます。

 正門鳥居から拝殿に向かって歩き、祓橋を渡りもうひとつの鳥居をくぐると、「神話の杜」というモニュメントが置かれています。神話といいますと、どうしても神さまたちの印象が強いのですが、登場する動物たちも個性的です。

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 このモニュメントは、だいこくさまに縁のあるウサギ、ヤマタノオロチ、イノシシ、ネズミが集って遊ぶ姿を表現しているとのこと。ウサギとイノシシとネズミはわかるんですけど、ヤマタノオロチも一緒に遊ぶんでしょうか...。

 ちなみに、ヤマタノオロチを退治したのは大国主大神の正妻の父であるスサノオノミコト。スサノオについてもこの後、縁の地へと行ってみます。

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ムスビの御神像

 そして銅鳥居の手前、手水舎の反対側にあるのが「ムスビの御神像」です。大国主大神が両手を挙げて、海の神から「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」を受け取っているシーンです。

 大国主大神は、この幸魂奇魂の「おかげ」を受け取ったことで、生き物が幸福になるための「縁」を結ぶ「えんむすびの神」となる神性を養ったとのこと。人もみな、この幸魂奇魂から「みたま」をいただいて生きているのであり、縁を大国主大神からいただく以上は、それを生かしきりましょうと書かれています。確かに、縁があっても実際にそれが実を結ぶかどうかは自分自身次第ですものね。

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やっぱりイナバだ!

 ムスビの御神像と、参道をはさんで反対側にあるのが「御慈愛の御神像」です。大国主大神といったらやっぱり「因幡の白ウサギ」ですよね。このシーンでは、騙したサメに皮を剥がれ、さらに他の神さまたちにからかわれて、皮を剥がれた皮膚に海水がしみこんで痛がっているウサギに対して、大国主大神がやさしく治療法を教えているところです。

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 なぜその時、大国主大神はウサギのいた海岸を歩いていたのかといいますと、大国主大神の異母兄弟たちは、美女の「八上姫神(やがみひめのみこと)」と結婚をするためにそのもとへと向かっていたのです。末っ子の大国主大神は結構いじめられっこで、この時もただ兄神たちにつきあわされていただけでした。

 しかし大国主大神はこのウサギから、「兄神たちは八上姫神とは結婚できず、大国主大神が八上姫神と結婚するでしょう」という予言をされます。結局予言どおり、八上姫神は大国主大神との結婚を望み、結婚するのですが...その後、兄たちの執拗な仕打ちが大国主大神に下されるわけです。

 そのあたりの話は、次々回の古代出雲歴史博物館で触れることにします。

 結果だけお話しますと、大国主大神は八上姫神と結婚し、子どもをもうけるものの結局、須勢理毘売命(すせりひめのみこと)を正妻としています。つまり子連れ再婚。

 ということは、一度縁がありながらも残念ながら離婚をしてしまって、再婚の縁結びの願いであったとしても、それがたとえ子連れだったとしても、大国主大神は「そんなの全然OK~」って感じで、縁結びの願いをかなえてくれそうですね。

関連情報

出雲大社

出雲大社(島根・出雲市)MAP

出雲大社


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