12.モノレール あまのじゃくツアースペシャル

前途多難な出発進行-多摩モノレール

記事公開日:2007年12月15日

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  神奈川県横浜川崎の失われたモノレール跡を見てきましたが、廃線跡ばかりでなく、そろそろモノレールに乗ってみたいという衝動に駆られましたので、それらからそれ程遠くない、東京都多摩市の多摩ニュータウンへとやってきました。

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 多摩ニュータウンは昭和40年代後半から開発の始まった住宅団地で、先輩にあたる大阪の千里ニュータウン、愛知の高蔵寺ニュータウンとともに、都市郊外型のニュータウンの先駆け的存在です。

 この多摩ニュータウンからモノレールが走っているわけです。ニュータウンと新交通というと、愛知県の桃花台線を思い出します。多摩はニュータウンの先駆けですから、モノレールも先駆けかと思いきや、そんな桃花台線なんかよりも、多摩の方がはるかに後輩で、なんと1998(H10)年開業という新しい路線だということにまず驚きました。

 とはいえ、ここは東京です。住宅団地に公共交通が無いわけがありません。もともと多摩センターからは、京王電鉄と小田急電鉄が都心へのアクセス路線として昭和50年前後から存在していました。それとは別方向、東京都を南北に貫く形で、多摩センターから立川を経て、東大和市の上北台へと16キロに渡って走っているのが、多摩都市モノレール、通称多摩モノレールです。

 1998(H10)年に上北台から立川北までが開業し、2000(H12)年に立川北から多摩センターまでが開業し、現在の形となっています。さっそく乗ってみましょう。

 まず驚いたのは、利用者の多さ。1日平均約11万人が利用しているとのこと。桃花台線の3,000人前後とは桁が違います。そして運行本数も、通勤時間帯は1時間に9本、日中でも10分に1本のペースで運行されています。車内にも活気があります。

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 現在は多摩センターから上北台までの約16キロですが、計画では上北台からさらに、JR八高線の箱根ヶ崎へ、そして多摩センターからは町田、八王子方面へと、構想としては合計約93キロの区間があります。

 これだけ多くの乗客がいれば、さぞかし順風満帆で、どんどん延伸されていくんだろうなぁ、さすが公共交通が愛されている東京は、車社会の名古屋とは違うなぁと思っていたのですが...。

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 多摩モノレールは、コンクリートのレールをゴムタイヤで走る日本跨座式なので、レールの上を走ります。トンネルをくぐったりもして結構高低差があります。場所によってかなり高いところを走っており、遠くまで見渡せます。東京とはいえ、若干田畑も残るのどかな風景が広がります。モノレールが通ったことで開発された場所も多いのか、真新しい街並みも時折見受けられました。しかし、立川駅周辺に差し掛かるとその都会ぶりにびっくり。

 面白かったのは、途中にある駅の名前。

「中央大学・明星大学駅」。

 大学名を駅名に採用することはありますけど、大抵は地名とともにだったり、一校単独なわけですが、この中央大学・明星大学駅は二つの大学の名前をくっつけた駅名という、かなり変わったものとなっています。

 そしてもうひとつ気になったのが、これだけ見晴らしが良いのに、イオンのショッピングセンターを見かけないということ。名古屋だったら10個くらい見かけてもいい雰囲気なのに。

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 立川を過ぎると、さらに静かな風景になります。多摩センターを出発して36分、上北台に到着です。16キロ乗車して400円。名古屋の感覚でもちょっと高めです。東京では尚更でしょう。

 でも、36分という長時間でしたので、モノレールを満喫することができました。ドリームランドも向ヶ丘遊園も失ってしまった夢が、ここには現実のものとしてあるのです。それだけ多くの人が利用していて、運賃も高いのであれば、新しい路線ですし、さぞかし健全経営かと思いきや...。

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 地元の方にお話を伺うと、この多摩モノレール、かなりの負債を抱えていて、債務超過に陥っていると言うのです。

 なぜ?あんなにたくさん利用者がいるのに?

 それは、自己資本の低さと、工事の遅れなどによる建設費の膨張による借入金の多さによるものだそうです。稼いでも稼いでも借金利息の支払いにどんどんお金が消えていく状況とのこと。

 そんなことでは、いつ延伸が実現するのか...。いや、それ以前に...存続すら大丈夫?と思えてしまうと、その方は仰っていました。

 多摩モノレールのキャッチコピーは「みらいをむすぶ」。

 その意味合いには、かなり深いものを感じました。

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 利用者数どうこう以前に、借入金利息が膨大なことで経営を圧迫しているのであれば、その根本的な原因を正さなければならないと言うことで、東京都が主導で、300億円規模の大胆な増資案が決定しており、少しは楽になるようですが...。それでもまだまだこれでは延伸どころか、存続させることが精一杯のようで...。

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 二つの失われたモノレール跡地を見た後に、新しいモノレールを見て、乗って、爽快な気分になるはずだったのですが、なんだか寂しい気分になってしまいました。

 全線開通は夢のまた夢ですか...。

 モノレールは夢を見てばかりの生き物なのでしょうか。

 だったら視点を変えて、最も長生きしているモノレールを見ることにしましょうか。現存する最古のモノレールを見に、今度は上野へと向かいましょう。

 それにしても、1日11万人が利用する多摩モノレールでこの状況なわけですから、新交通システム桃花台線がいかに無謀な計画だったのかが、よくわかります。

関連情報

多摩モノレール

取材協力

KAZ Communications

多摩センター(東京・多摩市)MAP

多摩センター

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