- 同人サークル発・地下街のキャラからアニメ化へ
- グッズ展開も台湾ご当地色濃く思わずゲット
- 日本のフラッシュ黄金時代を思い出す絵ではあるよね
私は動物をモチーフとしたキャラクターが大好きなのですが、そんな私にとって台湾はまさにパラダイスといえます。台湾は日本のアニメ文化が深く入り込んでいて、日本のキャラクターが人気を集めているのですが、一方で、台湾オリジナルのキャラクター展開も盛んです。しかしその方向性は、ゆるキャラに傾いている日本とは違って王道を歩んでいます。
台湾で街あるきをしていると、いわゆるゆるキャラではなく、動物をモチーフとした、ゆるくないキャラクターにたくさん遭遇します。動物を擬人化したキャラクターを愛好する人々の総称である「ケモナー」狙いのものから子ども向けまで、本当に様々見かけます。
そんな台湾で今、出世頭と言えるネコキャラを台北地下街で見かけました。その名も「DNAXCAT」。同人サークルから始まりアニメ化まで上り詰めたその人気の秘密を紐解きます。
台北地下街のキャラ展開
アニメやキャラクターが人気を集めているのは日本も台湾も同じなのですが、日本と台湾でひとつ大きな違いがあります。それは、台湾では市民権を得ているということ。もちろん日本でも、ゆるキャラという形では一般の人もキャラクターに親しむ時代を迎えていますが、萌えキャラやケモナー的なキャラなどはやはり、マニアから一般人へと越えられない壁があります。
ところが台湾にはその壁がありません。電車のイメージキャラクターに萌えキャラが採用されたり、街角にケモナーキャラがいたりするのです。そんななか、注目したいのが台北駅の台北地下街です。
台北地下街は一見普通の地下街なのですが、日本のオタク文化が入り込んでいます。その名も「Oh!taku」という名の日本のマンガを売っている専門店があったり、メイド喫茶、はたまた執事喫茶まであったりするのです。
そんな台北地下街が2011(H23)年に採用したのが萌えキャラ「莉洋(リオン)」でした。ポニーテールのかわいい女の子で、なんと日本の人気アニメ声優・花澤香菜さんがキャラの声を担当されました。
ところが、大きく方針を転換します。2012(H24)年の夏に登場するのが、ネコキャラDNAXCATです。
地下街はネコキャラだらけ
台北地下街を歩くと、すぐにそのキャラクターは目に入ってきます。赤いスカーフをしたグレーのネコがメインキャラで、それを取り囲むようにいくつものネコキャラクターがいます。ちょうどこのときは旧正月前ということもあって、それを祝う「新春賀禧」という大きなイラストが。
台湾の旧正月の賑わいが伝わってくるようで、また、それぞれのキャラクターの個性もよく出ています。一方で、台湾のキャラクターにもかかわらず、日本の世界観を取り入れている部分が多いことがわかるイラストも。夏祭りのイラストには焼きそばやかき氷の屋台が描かれているのですが、そこには「氷」の文字。まあでも、漢字は台湾も共通だからなあ…と思ったら、「焼きそば」という日本語が。
さらに「おめん」「りんご飴」の屋台の様子も。台湾にこういう文化があるのかどうかはわかりませんが、でもやっぱり、日本語で書いてあるところを見ると、日本の夏祭りがモチーフなのでしょうね。
他にも肝試しやみんなで花火。どれもかわいくて、ネコキャラ好きの自分にはもうパラダイスです。
DNAXCATとは
このDNAXCATは、台湾では「九藏喵窩(じょうざんみゃおうお)」という名で、その名はこのキャラクターを生み出したメンバー全体の名前ともなっています。そう、それは同人サークル。もともとは同人サークルのオリジナルキャラクターとして誕生したものが、地下街の公式キャラとして採用されたというわけです。
さらには、台湾総督府法務部とコラボした、ドラッグ防止のキャンペーンにもDNAXCATが登場しています。政府のキャンペーンにまで採用されているとは、すごい。そんな「ダメ!」って感じで怒った顔をしてても、やっぱりカワイイ。
DNAXCAT自体が誕生したのは1998(H10)年といいますから、長い期間活動されてるんですね。台北地下街にはこのDNAXCATグッズ売場もあり、様々なグッズ展開が行われています。
思わずいっぱい買っちゃいました。台湾の名所を描いたポストカードに、クリアファイル、日本語で書かれた「ネコのミルクキャラメル」なんてのも。
そして台湾の名物料理とネコを描いた陶製コースターも。重いし結構なお値段で実はちょっと躊躇したのですが…もう、いいよね!と、思いきって買っちゃいました。これでひとつわかったことが。臭豆腐を前に、笑顔のネコと鼻をつまむネコがいるのです。台湾の人でも臭豆腐が苦手な人がいるってことね。日本でいうと納豆みたいなものかな…。
しかも、台湾地下街での買物のレシートを持っていくと、このDNAXCATショップでの買い物は2割引になるというのですが、その説明が日本語でしか書いてないんですよね。日本人に特に買って欲しいということですかね。
今年も浴衣祭開催&いよいよアニメ化
そのショップで、特に安く販売されていたのが「浴衣祭」のマウスパッドでした。どうも、この地下街に描かれている夏祭りのイラストはその浴衣祭を表現しているもののようで、毎年8月には実際にここで浴衣祭のイベントが開かれているとのこと。今年もこの8月10日に大々的に浴衣祭が行われるようです。
さらになんと、この夏にはいよいよDNAXCATがアニメ化されました。Youtube上にて公開されていて、日本から見ることも可能ですが、全て現地の言葉ですので理解するのはなかなか難しいです。でも、かわいいので、動きを見てるだけで癒されます。
台湾発のオリジナルキャラクターとしての地位を築いているDNAXCATですが、それでも台湾の方に話を聞くと、やはり、日本のキャラクターに押されてしまっている部分はあるとのことです。
いやあ、そんなそんな。もうね。ネコキャラ好きの自分のハートは鷲掴みですよ。DNAXCATのストーリーを理解したいがために、台湾の言葉を勉強しようかと思うくらいにです。
台湾のコミケにあたる「2013第14回漫画博覧会」には、DNAXCATブースも登場して、新しいグッズがいっぱい販売されるそうです。今年の漫博は8月15日から20日かあ。覗いてみたいけど、うーん。ちょっと台湾にその日に行くのは難しいな。
しかしこのネコキャラ、どこかで見たような…。かつて日本のネット上であった、フラッシュアニメの黄金期に、巨大掲示板2ちゃんねるから登場したキャラクター「しぃ」を思い出すような、そんなところも惹かれる理由でしょうかね。
それにしても、夏祭りや神社がモチーフになっていて、台湾生まれのオリジナルキャラクターなのに、日本らしさを取り入れているあたりを見ても、日本と台湾はうまくやっていけるよね、という気にさせてくれますね。
日本からのアニメやキャラクターが台湾にどんどん入り込んでいるように、逆にいつかこのDNAXCATが、日本に上陸する日を待っています。また今度台湾に行くときには、DNAXCATの新グッズいっぱい買いますね!アニメも注目してます。
それにしても、同人サークルが生み出したキャラが、厳密には首都ではありませんが、事実上の首都で一番大きな地下街の公式キャラになり、アニメーションも製作。このパワー、見習わないとですね。
それではこのあとも、台湾のカワイイを探しにあちこち巡ってみます!
コメント
はじめまして。としねこといいます。
このキャラクターが好きなのでコメントさせていただきました。台湾に実際に行って見てこられたとは羨ましいです~
日本でも一部の方は知っているでしょうが、旅行とかで見かけない限りはこのキャラを知る機会が少ないためか、あまり日本での知名度がない気がします。すごく可愛いので、もっと広まって欲しいですね。
あ、ニコニコ動画に、私の知り合いの方が日本語訳して下さった動画がありますよ。どうぞご覧ください(^^)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21622834
>としねこさま コメントありがとうございます
はじめまして!
DNAXCATのファンの方なのですね。嬉しいです~。
自分は台湾で見かけて、もう一目惚れですね。
かわいくてたまりません。
もっと日本でも多くの人に知られて欲しいと思ってます。
動画拝見しました!日本語訳、これは嬉しいです。
しかもお知り合いの方とは。感謝、感謝です。
情報ありがとうございます!
http://grace.ujj.co.jp/information/event/201310_01/
もしかして、国内コンテンツと初コラボ?を達成したのでしょうか。
日本語でこの物語を読む日が来ようとは…。
国内でどの程度知名度を広げたかも、気になるところです(笑)
少し脇に逸れた見方ですが、
「ずる賢く狡猾なサルが現れて、弱いモノいじめを行いました。」
のくだり、僕にはどうしてもテレサ・テンの、ある歌の歌詞が
思い出されてしまいます。
そうした歌詞の意味や台湾の歴史を知っているユーザーには
DNAX自体がかわいさだけではなく、少し深みのあるニュアンスを
感じ取れる存在なのかも知れないな とも思いました。
(勘繰り過ぎでしょうかね?
でも日本の色を押し出して来る一面もまた、無関係とは思えない気はします。)
>YKさま コメントありがとうございます
「蒼空のグレイス」を運営しているのは、
台湾のオンラインゲーム会社の日本法人で、
代表者も台湾の方のようなので、そのつながりでの、
日本進出ということになったのでしょうかね。
仰るとおり、こういった形で、DNAXCATについて、
日本語で触れられるのは感慨深いですね。
もちろん、歴史についても現状そして未来についても、
台湾はとても微妙な位置にあると思いますし、
「3種のにゃんぎ」のという設定なんかは特に、
「あー…」という気持ちになりますね。
いろんなことが頭の片隅に思い浮かびますが、まずは純粋に、
これからも、機会があれば台湾には訪れたいと思いますし、
台湾の方とは交流したいと思いますし、
DNAXCATのことも応援し続けていきたいと、そう思います。